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WORLD ONE ~遥かなる流星~  作者: 二毛猫
第二章 彗星の冒険者
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第七話 依頼を受ける

 祝賀の翌日、朝日が昇り都市全体が活動を始めた頃、僕達はギルドを訪れた。


「今日は依頼の方を見てみようと思うんだけど、どうかな?」


 迷宮(ダンジョン)攻略だけではランクも上がらないし、経験を積んでおく事も大切と考えての提案だが、パーティメンバーから反論の声は挙がらなかった。決まりだ。


 あと、僕達は既に組んで活動する事にしたけど、そういったパーティを結成するときはギルドに申請しなければならない。

 だからそれも今日済ませようと考えている。


 入口を抜けると、そこは墓場だった。

 昨夜限度を超えて飲み明かした結果、二日酔いの半死人が死屍累々、というところか。


「うっわ、ひっどいなこりゃ。他人の祝い事でよくこんななるまで飲めるよなぁ」


「口実さえありゃ常にこうなんでしょ、どうせ。馬鹿じゃないのかしら」


「いけません……いけませんね…………何ですかこの体たらくは。昨日あれほど神の教えを説いたというのに……ですがこれもまた神の…………」


 僕達は酒類は嗜まないので昨夜は早々に部屋を取った宿へと戻ったけど、彼等はその後も気を失うまで飲んでいたのだろう。自制というものの重要性を身をもって教えてくれているかのようだ。ありがたく反面教師にしよう。


 屍で舗装された通路を通り、何だか頭か痛そうにしているギルド職員のいる窓口へと向かう。登録を担当してくれた人がいる。


横の依頼の張り出された掲示板をチラリと見た限りでは、『鍛冶師の捜索』『商人の護衛』『魔獣(モンスター)の核の売却』とあまりパッとしないものばかりだ。やはり初回は斡旋してもらうのがいいか。


「すみません。依頼を受けたいのですが、何か丁度いいものを見繕って貰えませんか?」


「依頼ですか?はい、少々お待ちください…………えーと、皆さんFランクでいらっしゃいますので、こちらなど如何でしょうか?」


 職員さんが提示した依頼書を全員で覗き込む。


 冒険者はある種の便利屋的な側面もあり、そういった依頼の多くはギルドを経由して冒険者に受注される。

 無論その場合、冒険者への報酬とは別にギルドへ手数料を支払う必要があるが、その分依頼を達成するに足る実力の冒険者を選別して派遣されるため、余程の事情がない限りギルドを通さず依頼を出す者はいない。

 また、依頼にも迷宮と同様にランク付けがされており、自分のランクと同等以上の依頼を数回こなす事でランクが上げられるのだ。


 今回の依頼はメイデン近隣のロビア村からだ。内容は小鬼(ゴブリン)退治。ギルドからの認定はFランク。

 二日前の昼、村を数体のゴブリンが襲撃。自警団で撃退に成功したものの小鬼達は武装しており、近くの森を巣としているらしい。

 まだ被害は出ていないがその森で採れるものは村にとって貴重な収入源で、安全のため駆除してほしいとのこと。報酬は銀貨一枚、必要があれば宿と食事を提供。


 これは…………いや、みんな次第かな。


「同ランクの迷宮を攻略できる皆さんの実力なら、問題はないと思いますよ。こちらの依頼にしますか?」


 職員さんの確認に、僕は仲間の顔を見る。

 銀貨一枚はFランクの討伐依頼としては妥当な報酬だが、迷宮に比べるとあまりにも実入りが少ない。

 他を探せば、もっと高額な報酬のものもあるだろう。


 でも、きっとそうはならない。彼等なら見過ごしはしないだろう。


「相手がゴブリンってのは物足りないが、ま、英雄目指すなら受けない手はないよな」


「勿論引き受けます引き受けない理由がありませんでは行きましょうさあ向かいましょう善行は神の名のもと速やかにです」


「あたしはまあ別にどっちでもいいんだけど、この馬鹿二人がこんなんだから、ね」


 だよね。

 英雄志望に超聖職者、そしてその御者だ。この決定は事は火を見るより明らかだった。


 でもそれなら、直下に大きな問題がある。

 依頼受注の手続きを済ませながら、意気込んでいる三人に注意を促す。


「なら急いで出発した方がいいね。時間をかけ過ぎるとこの村、全滅しちゃうかもしれないし」


「は?」

「え?」

「はい?」


 異口同音に聞き返す三人。職員さんも同様だけど、時間もないし道すがら説明する事にしよう。ギルドへの報告は帰還してからで。


 今更だけどまるで僕がパーティリーダーみたいだな。最年少なんだから先頭に立つ役目はレンにでも任せるべきか。

 ああ、そういえばまだギルドに申請してなかったな。しかし事は急を要する。それも後に回して、急ぎロビア村に向かうとしよう。


意図がつかめず戸惑う仲間の手を引きつつ、僕はギルドの入口へ向けて歩き出した。

よく考えてみると呪刻の設定は不要だな、と思い削除することにしました。

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