流転・終
ペーパーマリオの新作だぁ!!
【第三永久機関 劣化流転式悠久循環炉・連環星】
やたら長ったらしい名前のそれは頭の方に付いている通りの永久機関。『叡智之王』によればそれは最大熱効率が1.0で稼働する熱力学第二法則の否定であり、不足分の熱量を虚空より生み出して補う熱力学第一法則の否定。法則の外で稼働する非現実的な機関である。
『これがある限り私は無限に再生する。だが、心してかかれ。下手に破壊すれば無限に膨れ上がる熱量が惑星ごと世界を蒸発させるぞ』
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「で、アレどうする?」
【連環星】を残して肉体を失った<焔燼星皇>は、肉体を再生するまで声を伝える以外何も出来ないらしく、その上肉体の再生にかなり時間がかかるとの事なので一旦戦闘を切り上げて全員で相談する事にした。
「ソウタ殿が刻んだあの術式で再生した傍から全て魔力に変えるのはどうでしょうか?」
「あの規模の熱量を変換し続けたら術式が先に焼け落ちちゃいます。仮に《時間魔法》で不変性や最初の状態に戻る機能を付けてもそれごと焼かれますよ」
「《虚空魔法》で虚空へと封じるのは?」
「それだと虚空側は耐えれてもこの世界との空間接続面からエネルギーが漏れて詰みね。空間連続性の問題から転移魔法で飛ばすのも駄目」
「《廻廊魔法》ならどうだ?」
「大陸間移動装置が未来永劫使用不能になるのはリスクが大き過ぎる」
「【宙の巫女】に頼んで丁度いい邪神を呼ぶとか?」
「無理。今呼べる範囲にいるのじゃどうしようもない」
会議は踊る、されど進まず。
ああでもないこうでもないと意見が交わされるが、結局根本的に消滅させないと駄目と言うこと以外何も分からなかった。山本の【タチキリ】や【ワカタチ】みたいな純粋な破壊ではアウト。別空間への転送や封印もこの世界との接続面から焼かれてアウト。放置したら復活してアウト。と八方塞がりである。
「おーっす! なに悩んでんだ?」
「おう、三十速かったな」
『な!? 貴様はあの時確かに心臓を貫かれた筈! 何故生きている!?』
そう、今俺の隣に居るは<焔燼星皇>の動きを止める為に自分の心臓ごと相手を雁字搦めにする特典点武器のスキル『我は報いの血盟鎖』を発動した三十の姿だった。勿論幽霊とかではなく生きている。忘れているかもしれないが三十は俺達異世界勇者組の中でも取り分け異常な奴だった。
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【名前】 ユウヘイ=ミト
【種族】 人族
【年齢】 16
【職業】 自由人
【レベル】 0
【体力/空腹度】
♡*10/◇*10
【称号】
《異世界の自由人》《完全体》
【加護】
【復活寝神 リスポーン】の寵愛
【混沌神 ケイオス】の加護
【装備】
頭:無し
胴:制服・上
腿:制服・下
足:スポーツシューズ
【MOD】
▼バニラ
《簡易クラフト》《バニラレシピ》《万物破壊ノ右手》《インベントリ》《特殊体質》《チャット閲覧》
▼イルスMOD
《立方化》《異界レシピ》
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これが以前見た三十のステータス。HPなんてものがあるこいつは、【復活寝神 リスポーン】とか言う意味の分からない神の加護がある様にリスポーン能力がる。最後で寝たベットからの完全復活。加護が失われるか寿命が尽きるまで永劫の生を約束されたコイツは自分の命の消費を前提とした自爆や生贄系のアイテムや特典武器のスキルを多用しているらしい。予め聞いていたから良かったものの、マジで心臓ごとぶち抜いた時には本当に焦った。
「いやあ、神様さまさまだぜ。で、アレの対処だっけか? 簡単じゃねえか」
そう言って三十はスタスタと【連環星】に近づいていく。……ちょっと待て何する気だ!?
「《立方化》」
三十がその一言を発すればメビウスの輪を無数に重ねた様な構造の【連環星】が、たちまち精緻なドット絵の様な立方体の集合体に置き換えられてしまった。
「これで衝撃とかで壊れたり暴走する性質は消えた。後はソウタがやればいいだろ?」
「俺に何をしろと?」
「お前の金ぴかハンマーで殴った奴は生物でないなら何でもリソースとか言うのに変えられんだろ? アレは意思があったりするけど何処まで行っても物だ。それでコレをリソースにしちまえよ」
「あ」
そうかその手があったか。
「【創造】」
右手に金色のハンマーが握られる。これを使えば【連環星】は膨大なリソースへと還元されて消えるだろう。
「……いいか? <焔燼星皇>」
『勿論だ。多くの命を奪い、星の危機にすらなった私が何を言うのかと言う話ではあるが。最後に君たちに合えて良かった。……こうして私を終わらせてくれてありがとう』
特に長々と長く語るつもりは無いらしい。それ以降一言も言葉を発さなくなった<焔燼星皇>の核たる【連環星】を見て俺は右手の金槌を振り上げた。
“カーーーーーン!!”
雲すら蒸発して晴れ渡った空に澄んだ音が響いた。
ペーパーマリオの新作だぁ!!




