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戦う生産職  作者: 雷炎
煌炎皇編
83/93

未だ眠る皇と神

ノンストップストーリー最高でした。


「やあ」


「っ!」


「うわっ!?シンさん?」


「うん。今はアマルティアだけど…っていい加減この説明も面倒になって来たな」


煌炎皇(ブレイズ)】の無差別範囲攻撃から逃れた俺と谷内は相太達と合流する為に移動する最中、唐突に背後に現れたアマルティアさんに驚いた。

俺は隠密系統の職業を持っていると言うのに今のアマルティアさんの出現には今の今まで気付かなかった。これだけ覇気の様な物を剥き出しで歩いているというのにだ。


「リュウ=クロヌマ、コトリ=タニウチ。君たち二人に言うべきことは特に何も無い」


アマルティアさんの言葉の意味がわからない。

何も言うべきことが無い?それは俺たち以外の誰かにも何か言ったのか?そして【煌炎皇(ブレイズ)】が暴れ回る中でそんなことをして回る理由はなんだ?対象は俺たち異世界の勇者達だけか?

幾ら考えても思考は纏まらず、その言葉の真理を図りかねていた。だが悩んでいるだけの俺と違って谷内は早々に質問に出た。


「私たちにはってことは他の人には何かあったんですか?」


「いい質問だ。君たち二人を除くパーティーメンバー全員と話をして来たよ。彼等はまだ覚悟や意味といった物が足りていなかった。その後押しをするには誰かが道を示すべきだった。だが君たちは違う」


違う、とは何が違うのか


「君達には既に覚悟がある。戦う覚悟、殺す覚悟、殺される覚悟、そして何より死ぬ覚悟が君たち二人には既に備わっていた。

それは或は生き方の所為かも知れないしそういった物を直ぐに出来る才覚があるのかも知れない。だが今大事なのはそこじゃあ無い。君達には歴とした覚悟があり、不足しているのはその力だけだ」


力。確かに今の俺たちは弱い。レベルも、ステータスも、スキルも、何もかもが【煌炎皇(ブレイズ)】と同じ舞台に立つのに不足している。


「君たちは他の勇者達に比べて己が持つ力を初めから御しきるだけの力があった。だからこそ君たちに課せられた試験はもっと単純で高度な物になった」


アマルティアさんが何を言っているのか詳しくはわからない。だが要は俺と谷内は強くなる為の条件が他の奴らとは違うらしい。


「君たちに課せられた試験は純粋な力だ。力を得る為に力が必要とは余りにも矛盾している。恐らく君たちは旅の終盤で晩成する様なタイプなのだろうね。

だからこそ今強引に君たちに必要な力を与えよう!」


そう言ってアマルティアさんが俺と谷内にそれぞれの手を突きつけて『強欲の腕(アワリティア)』と唱えるとそれぞれの手先から何かが飛び出して俺たちの手の中に入って来た。


《確認しました》

《個体名【天征七業大亜神 アマルティア】から個体名リュウ=クロヌマに【深想機真装蓋 クロックワーク】が譲渡されました。》


《特殊条件達成》

《特典武器の融合を行います》

《【機械■形 エクス・マキナ】と【深想機真装蓋 クロックワーク】が融合します》


《【真想機神人形核 クロックワーク・エクス・マキナ】を入手しました》


気付けば俺の手の中には幾重もの勝手に回り続ける歯車で出来た珠が握られていた。


ふと隣を見てみれば谷内も半透明な動物の毛皮で作られたコートの様な物を手に持っている。


「いま贈与したそれは君たちの力を十全に発揮する為の物だ。最後にそれぞれにこれを渡しておこう」


そう言うと今度はアマルティアさんの手が色とりどりに輝き俺の方には沢山の歯車が、谷内の方には七つの光の玉が飛んできてそれぞれが先程手にした特典武器に吸収された。


「これで準備は整った。後は君たちが戦いの中でその力を発揮すればそれだけで君たちは覚醒する」


「あのっ、何がなんだか…」


「ごめんね。僕はこれから短い間に呆れるほど多くの人に何かをしないといけない。その中でも君たちの様なちゃんとした人にはあまり時間を掛けられないんだ」


それは一見俺たちを突き放している様だけど多分それは俺たちを信頼してくれているからこその言葉なんだろう。


「君たちは僕の助言や後押しなんかなくたって立派にことを成し遂げられるだろう。それは何も何も変えがたい前に向かって歩み出せる才能であり、それに横槍を入れるのは間違いだ。故にこそ僕は君達には道具を与えるのみで多くを語る気は無い」


それは俺たちを認めてくれていると言うこと。フレンドリーに話していても感じ取れる超常の化身たるこの人が認めてくれている。だったら、俺は俺のなすべき事を力の限りやってやろうとそう思えた。価値観が変えれていても俺たちはまだ高校生だ。誰だって誰かに認めて貰ったら嬉しいし頑張ろうと思える。少なくとも俺はそうだ。


だからこれ以上聞くことはしないでおく。アマルティアさんがこれだけあれば十分だと思ってくれたのだから。


「あの!」


だが俺の隣で早速謎のコートを着込んだ谷内は何か言いたいことがあるらしい。


「ありがとうございます!」


感謝の言葉。アマルティアさんから言われたことで思ったのはこいつも一緒だったんだろう。だから述べるのは疑問や不満では無く感謝。


「ありがとうございます」


それなら俺も続くべきだろう。本来もっと先で手に入れるべき力をこんな所で授けてくれたのだから。


「ああ!君たちならきっとやれる。僕はそう信じている」



頑張れ!



そう言ってアマルティアさんは一瞬で消えていった。多分これから会うべき他の誰かのもとへ向かったのだろう。

…さて


「やるか」


「うん!」


目指すは【煌炎皇(ブレイズ)】の首ただ一つ。

完結する前に総合評価1,000行けそうです。皆さん本当にありがとうございます。

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新作です

【DRAGON SLAYERS】

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【終焉世界英雄譚】

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