亜神VS皇
ポケモン楽しくて投稿サボろうか真剣に悩んだ。
SIDE:【天征七業大亜神 アマルティア】
さてと、今僕がやるべき事は済んだ。この戦場に集まった異世界より召喚されし勇者達。その尽くが今この戦いの趨勢を担うキーとなっている。本来ここまで必要な人材が揃う事はまずあり得ない。何故ならこの場に必要とされる能力はいずれも界渡りをした際にその人物の性質を読み取った上でランダムに与えられるスキルだからだ。彼等彼女等の能力はいずれも二層以下の世界であればそれこそ救世の英雄となり得た能力。それが指定した空間内にいる人間範疇生物を無理矢理召喚する術式で40人も呼び出すなんてあり得ない。
その中でも彼…ソウタ君が存在する事はそれこそ億に一つもあり得ない筈だった。魂の強度が最も神に近いとされる第一層世界に存在する約560億人の内の誰かが魂の内に保有する【源創水】。しかもそれの適合者が勇者として召喚されるだって?馬鹿も休み休み言え。
それこそ数多の因果の内よりこの結末が選び取られたかの如き奇跡だ。
そしてそんな馬鹿げた奇跡を起こせる存在は例外なく【神】の名を冠し、恐ろしいことにこの【階差八輪世界】に複数存在する。
【騎士級邪神】すら超えるその気になれば如何なる世界をも滅ぼせるとされる【淵之神】。世界のシステムと【邪神】、それ等二つを内包し超越化した人ならざる人【超職三神】。第零階層にてこの【階差八輪世界】を創り世界を廻す原初の生命体にして全てを識る者達【真なる神】
だが、その中においてもこんな望外の御技を為せるのはたったの一種類のみ。
システムの完全制御権を持ち第一層世界にすら干渉を可とする神々【真なる神】だ。
【真なる神】の目的は一切分からないが目的は恐らくあの勇者達の中の誰かの成熟だろう。一番可能性が高いのはソウタ君だけど彼等の持つ潜在的な能力はいずれも極まれば先程挙げた超存在達に迫る可能性も秘めている。その覚醒を促すことが目的ならば今の僕は正しく【真なる神】の掌の上なのだろう。だが、そうも言っていられない。【煌炎皇】を倒すにはこれしか無いのだから。
「おーいキニゴス君。ちょっといいかな」
「あん?……おいシン、その姿は…」
「うん。僕も覚悟を決める事にしたんだ。だからここは譲って貰っても良いかい?」
「…ふん、好きにしろ」
「ありがとう」
「ああそれと」
「うん?」
「流れ弾は俺がどうにかする。だから、好きなだけ暴れろ」
「………ありがとう」
本当に僕は良き友人を持ったと思う。だからこそ彼等にとって誇れる友であるために全力を尽くそう。
「やあ、待たせたね」
「………」
「僕にとってコレは時間稼ぎ以上の意味は無く、君にとっては手のかかる面倒ごとをこなすだけだ。なんとも不毛な話だけど君にはしっかりと付き合って貰う」
「………」
「例え全てが掌の上でも構わない。僕たちの生きる今を護り抜く為とあらば僕は喜んでこの身を捧げよう」
「………循環制御」
「だからこそ、だからこそ過去の亡霊には消えてもらう。今の生きた今はとっくに過ぎ去ったのだから」
「『燃焼駆動:四天一式』」
「さあ、不毛な戦いを始めようじゃないか」
「『最初の希望足る燈』」
「【我は七業統べし亜之神】」
無数の燈となった【燈皇】のその燈一つ一つから莫大な熱量を誇るレーザーが乱れ飛ぶ。まだそれなりに距離があると言うのにこの時点で肌が焼けそうだ。
「ああ、本当に君のその熱量は羨ましいね」
途端、レーザーから溢れ出る熱量を一切感じなくなる。
『嫉妬の瞳』による僕が妬んだ事象への完全耐性だ。保有出来るのは一つまでだけどシンの時とは出力が違う。
「『燃焼駆動:無天新式』」
こちらに攻撃が効かないと見るや【燈皇】は即座に周囲の炎の精霊を操りその燈を一点に圧縮して一本の槍の如き姿を取る。
「『霊式・却火葬槍』」
あそこまで圧縮されるとプラズマが発生して『熱』だけでなく『電気』の性質も保有してしまう。完全耐性が一つしか取れない僕にとってしっかりと有効打になる攻撃だ。
「悪いけどそれをする事は許せないよ。炎の精霊達、僕に惚れて良いよ」
【燈皇】の制御下に集まっていた大量の炎の精霊達がその位階を問はずその凡そ半分が【燈皇】の制御を外れて僕の下へと集う。
万人を惑わし狂わせる『色欲の香』魅力に当てられて高々精霊如きが逆らえる訳もない。
精霊を半分も奪えば制御が不安定になり当然威力も下がる。そして…
「全てを焼き尽くす雷の性質さえ内包した槍、…ああいいな。僕も欲しいな」
一度見た技と有れば手が届かなくたって奪ってみせる
「こうかな?『霊式・却火葬槍』」
『強欲の腕』は如何なる力をも自分の物とする。
「「『葬槍放射』」」
僕と【燈皇】の丁度中間となる場所、そこに両者が全く同時に放った全く同じ太陽の如き輝きと熱量を放つ槍が激突する。当然威力は熱系統を極め抜いたと言っても過言では無い【燈皇】に分がある。だったらそれを超越して見せよう。
「全く、その程度の火力で|僕が君に負けるわけがないだろ?」
その言葉を皮切り徐々に僕の放った『霊式・却火葬槍』が【燈皇】のそれを上回り、遂には完全に上回った最早別物と言っていいレベルで変化した『霊式・却火葬槍』が【燈皇】に突き刺さる。
『傲慢なる心』を前に意思なき者が勝てる道理などありはしない。
だが僕が先程『嫉妬の瞳』で得たように【燈皇】もまた自身の熱量への完全耐性を有している。互いに互いの力が通じずかと言って無視するわけにもいかない。
「さあ、不毛なる千日手を始めようか」
願わくば奴がこの見せかけの無限の終わらせ方に気づく前に次なる英傑が現れん事を祈る。




