クリフォトの斧
どうも、ブレスオブザワイルドの続編を聞いてテンションマックスな作者でございます。
「【煌炎皇】が封印されたのはドワーフの国近海だと言うのに何故大陸の内側で発生したモンスターがその灰を糧に成長したのか疑問だろうがそれは奴が、クリフォトが海底に根を張る木の魔物と言うかなり特殊な立ち位置にいたことが原因だ。
500年前の【煌炎皇】と人類との戦いの余波で決戦の地となった海域の周囲はあらゆる生命が死滅し、一時的な死の世界となっていたらしい。その影響で【煌炎皇】の大多数が灰が海底まで他の魔物に摂取されることなく届いてしまった。それによりクリフォトは【煌炎皇】の灰をたっぷりと吸い込み急激に成長した。後はそのまま周囲の陸側に逃げて戻りつつあった魔物や魚達を喰らい力をつけ続けて産まれたのがクリフォトだ。」
議会場はシーンと静まり返っている。
「お話はわかりました。ですが個人的な恨みだけで先陣を切らせることは出来かねる。何かそれ以上の利点か見返りが示せるか?」
「示せる。。これには僕の個人的な恨み以上の価値がある。」
「と言うと?」
「簡単なことだよ。この特典武器【侵食樹海森林斧 クリフォト】は亜害神の力をそのままコンバートされている。つまり奴の内包していた概念がそのままこの武器の力となる。神を形成する概念は逸話と実績。何を為しどの様に扱われたかという面が強く浮き彫りになる。そしてこいつは【煌炎皇】の灰を喰らったという確かな事実を持つ。それはつまり間接的とは言え奴への特攻能力を持つ。こいつの持つスキル『祖は万物侵す邪悪の斧』で奴の周囲を囲む熱量の結界を侵食し、その際に発生するこいつの灰ごと吸収してその結界を打ち破る。こいつなら確実に可能だ。それに僕はこいつの能力の影響下にあるから奴に焼かれる心配もない。」
そう言ってシンはガチガチに束ねられた武器の山の中から流動する液体をそのまま取り出した様な盾を取り出した。
「【三態自在鏡盾 リキッド】だ。こいつを持っていると所有者はあらゆる熱変動への完全耐性を持ち極論を言えば凍獄の底だろうが煉獄の最奥部だろうが関係なくなんら影響を受けることなく生きていられる。」
「成る程。確かにそれであればこの後対策を行う予定であった問題の一つを片付けられるだろう。ここまでの物を代替えとして出すことも出来ぬし私はこれで構わないと考える。皆はどうか?」
その意見に反対する物はいなかった。大多数の人はそれに納得し、それに納得出来ない者達かいても仮に反対したところでそれ以上の最善となる案が浮かばなかったからだ。
「それでは【七罪天魔王 シン】殿に先陣を切って頂くこととし、各国の魔法兵は【共鳴の宝珠】を用いて集団複合攻性防御結界を貼って防衛に当たるものとする。では続いての議題だが…」
こうして着々と議題は進み【煌炎皇】に対抗するための作戦は着々となられていった。
〜その日の夜〜
◆◇首都の宿屋◇◆
「というわけで俺たちの配置は最前線の一歩手前でシンさん達を含む主力部隊の援護を行う。能力的に相性が良ければ最前線に駆り出されることもあるだろう。なんせ【煌炎皇】の能力は殆ど判明していないからな。」
「そうね。わかってることが物凄い熱量を放ち炎を操るなんて曖昧な物じゃ対策しようにも火への耐性を高めるアイテムや防具を揃えるくらいかが出来ないんだもん。」
「本体が焔という概念へと変化しているらしいし流石に実態がなければ私のユニークスキルも意味が無いわ。」
「近くにいたら焼き殺さらそうだし私の《魔獣魔法》も効果は期待出来ないかな〜。」
「俺は精霊の力を借りればワンチャン。」
「…俺も概念を殺せるとは思えないから無理だ。」
「こう考えるとこのパーティって近接攻撃に偏ってるよな。俺くらいしか物理的な遠距離攻撃使えないし。せめて【煌炎皇】が魔法攻撃をもう少し受け付けてくれればね〜。」
「周囲の魔力を高速振動させて魔力が魔法の形を維持できずらくさせてある一定以下の魔法魔術は完全無効、高位の物であっても大幅に威力を減衰するとか私みたいな魔法特化型にとっては天敵みたいな物ね。」
「松屋の《重奏魔法》ならワンチャンあるんじゃ無いか?」
「それに掛けるわけにもいかないし今回はおとなしく後方で攻性防御結界の威力増幅補助に徹する予定かな。」
「そうか。まあそれも大事な役目だし頑張ってな。」
「ありがと。」
決戦を行うのは3日後。全ての戦士達が揃いドワーフの国の最高峰の技術が注ぎ込まれた武具達を惜しげも無く与え万全に万全を期して戦いに挑む。もし万が一にでも敗北すればその時が【魔王】や【邪神】の復活を待たずしてゲームオーバー、この世界は【煌炎皇】によって焼き滅ぼされ後に残るは星一つが燃料となった灰だけだろう。元の世界に戻るためにもこの戦いは絶対に負けられない。




