理外スキル
「このちょっと下の部分は先代勇者召喚が行われた時の記録だと思われるんだが権限が無いとかで閲覧出来なかった。
あとこれ詳細閲覧機能も制限されてるみたいで大まかな事しかわからないらしい。
■■の部分に至っては相当高位の権限を得るか、その該当部分に関する情報を別の手段で識れば読めるみたい。」
「なら今解るのはここまでか。」
さて、この色々とやばそうな情報についてだが
「見なかったことにしよう」
「おい」
「いやこれ俺たち対処出来る範囲思いっきり逸脱してるし相談出来そうな人もいないですし」
つか俺に見せんなよ絶対知らない方が平和に過ごせたよ。
「そんなことよりお前の能力見せてくれよ。名前からしておあつらえ向きな木材が此処にあるんだし」
「ん?ああ、いっちょやりますか《立方化》」
するといきなり目の前の縦横5cm長さ1mの木材の束が1mしほうの立方体の束になった。
「………質量保存の法則ってなんだっけ?」
「ファンタジー世界でそれを言うか?」
「それもそうだな。」
「続けて《簡易クラフト:木材×4》」
目の前にさっきの木材と同じサイズの作業台が出てきた。
「木材×4で工具付き作業台とか………」
「はいはいファンタジーファンタジー。
作業台を使って《クラフト:木材×2(縦)》で木の棒。《クラフト:木材×2、木の棒×1》で木の剣完成。んでこれ鑑定して見な。」
「どれどれ」
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【量産型木剣】
【ランク】汎用級
【品質】C
製作者:■■■■=■■
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「おい製作者がバグってんぞ。あと地味に品質高いな。」
「どうも俺が作った物は例外はあるが殆どの物が品質C固定かつ正規の方法で作って無いせいか製作者の欄がバグるらしい。」
「なにそれ面倒くさい。」
「他にも色々と試したいけど今日はもう眠いから寝る。」
「そうか。んじゃおやすみ〜」
「おやすみ。」
◆◇次の日◇◆
勉強週間6日目
「今日は先代勇者様達について学びます。
ですが先代の勇者様がたも皆さまと同じ様に何十人かいたのでその中でも有名な方々を紹介しますね。」
いつもの様に空中に文字が映し出された。
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『聖光の勇者』
別名『真なる勇者』『常識人』『導く者』
職業【神級勇者】の持ち主であり数々の伝説や逸話を持つ者。
有名な話は『万魔侵攻』と呼ばれる万を超える魔物の軍勢を一人でなぎ倒した話や、『天斬り』と呼ばれる天を斬ったという逸話が挙げられる。
数少なき勇者の中の常識人
『創造の勇者』
別名『破壊の創造神』『真理に至りし者』『神の天敵』
職業【錬金神】の持ち主であり、有名な話は魔王軍と向かい合う兵士全員に聖剣を生み出し授けたとされている『聖剣創造』や『創城』と呼ばれた今ある人類種の国の城を全て造ったと言われている。
非常に思考が危なかった。
『漆黒の勇者』
別名『夜喰い』『夜の化身』『カタチ無キモノ』
職業【暗黒主】の持ち主。エルフの国に現存する『夜のない街』にて起きた魔王軍との戦いにおいて『夜を千年借りた』と言い、その街における千年分の夜を代償に十万の軍勢を倒した。
勇者なのに恐怖の象徴だった。
『雷神の勇者』
別名『良心の塊』『雷の英雄』『天の支配者』
職業【雷神】の保持者にして当時の雷の聖霊帝に人の身で至った人物。
その身は常に雷を纏っており触れた者を焼き尽くしたという。戦闘時においては『無限に感電する雷』で大軍を一瞬にして滅ぼした。
性格がまともだった。
『異法の勇者』
別名『改変者』『因子王』『千の理持つ者』『変界者』
職業【不明】数多の世界の理を持ち、対邪神戦において最高の切り札であったと言われている。しかし稀に姿を消し、存在が安定していなかったと言う。この世界に『ステータスウィンドウ』と言うステータス開示システムをもたらした。
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「この様に先代の勇者様達は単体で数万の敵に打ち勝つ一騎当千の力や世界のシステムを書き換える程強力な力を持っていました。
皆さまにこれを目指せと言っても一様に「無理」とおっしゃってられると思います。」
その通りだ。いくら今日なスキルがあってもこんな事簡単には出来ない。
「更にこの世界にはこれと同等レベルのことを成せる者が複数存在します。ならばそもそも何故自分達を召喚したのかと思いますがそれには大きな理由があります。
我等が討伐を目指す【邪神】にはこの世界の生き物ではダメージを与えられないからです。」
はい?
「混乱していると思うので順に説明しますと、まず【邪神】には『単一因子無効』と呼ばれるスキルがあります。このスキルの効果は単純かつ凶悪で、『指定した世界に存在する法則の関わるあらゆる事象を無効化する』と言う者です。
このスキルによって現在【邪神】がいるこのイルスの者達はあらゆる魔法やスキルで邪神にダメージを与えられません。ですがそもそも生まれた世界の違う勇者様にこのスキルは適用されません。しかしこの世界で獲得したスキルが邪神に効かないのも事実です。
ですが勇者様達別世界の者は必ず理に縛られない『理外スキル』と呼ばれるその人固有の能力を持ちます。これこそが私たちの求めていた力なのです。
『理外スキル』は厳しい鍛錬を積み、己の力を極限まで高めた時に発現すると言われています。だからこそ我々はあなた方に知識と力を与え強くなってもらいたいのです。」
今まで謎だったなんであんな強い人とかがいるのに俺たちを召喚したんだ?と言う疑問がようやく解けたのだった。