護衛対象
言われた通り、右の階段を上がり、部屋をノックする。
「入れ」
さっきの声と同じものが聞こえたので、扉を開く。
そこは、応接室と思わしき部屋で、部屋の真ん中にはテーブルとソファーが置いてあった。テーブルには温かそうな紅茶が湯気を立ち上らせており、その脇にはお茶菓子としていい焼き色のクッキーが添えてあった。ソファーにはもちろん、この宮の主が座っている。
座るように言われ、魔導師の向かい側に腰を下ろした。
「アンタが、魔導師リーデウルか?」
「あぁ」
「俺はさっきも言った通り、騎士のロギル・アーシェイドだ。あんたの護衛になった。これでも騎士団の中では強い方だからな」
「そうか……」
魔導師は何かを考え込んでおり、会話が途切れたので、俺は相手を観察することにした。
(噂通り、だな)
黒く大きいローブに、白い動物の面(間近で見てようやく動物と分かった)を被っており、やはり声がこもっている。フードを被っているし、面をしているため顔はわからない。肩口から垂らしていて、バラけないようにか飾り紐で軽く結われている。
ローブの割には、座った印象は小さい気がするが……
そんなことを考えていると、魔導師が突然口を開いた。
「騎士ロギル・アーシェイド。お前は私の護衛だと、言ったな」
「あぁ。アンタを護るのが、俺の仕事だ」
「その護る対象は、私の身体以外も含まれるのか?」
「身体以外?」
「そうだ。例えば、機密や私の研究などだが、それは護られるのか?」
少し、考える。
護衛対象となるのは魔導師リーデウルだ。それ以外は聞かされていない。しかし、魔導師リーデウルが望んだ場合はどうなる? それは護衛対象なのだろうか。機密はよくわからないが、魔法の研究は国にとっても大切なものだ。それは、護るべき対象となりうる……よな?
「……それを含め、護衛対象だと思うぞ。細かいことは知らんが、アンタの護衛ってことはそういったものも護る対象になってもおかしくはない」
「なら、これから言うことは絶対に口外しないことを約束してくれ。これは、大事なことなんだ」
「あぁ。わかった」
さて、どんなことを言われるのだろうか。
そう身構えていると、魔導師がおもむろに、フードを外した。
(本当に、根元から黒いんだな)
そんな場合ではないかもしれないが、そう思った。この国では、黒髪は珍しい。茶色や赤が主で、そのほかにも様々な髪色があるが、黒髪はあまり見ない。いないわけではなく、ただ単に珍しいだけだが。確か、北の方の国に多いはずだが、南寄りのガレ王国には、あまりいないのだ。
「実は──」
魔導師が、仮面に手をかけた。
白い動物の面/イメージは狐のお面。
リーデウルの髪は黒です。
書いてないけどロギルの髪は灰色です。耳も尻尾もあるよ!!獣人設定が空気だけどね!!!
まだ名前が出てこない団長と副団長はそれぞれ色味の違う茶色です。書いてないけど。ちなみに団長は暗い茶色、副団長は明るい茶色です。渋めのがっちりしたおっさんと飄々としたお兄さんと思っててください。
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