副団長からの連絡
「つーか今日からかよ……普通もっと早く通達するだろ……」
団長への愚痴を零しながら、荷物を取りに与えられている寮の自室に向かう。
先ほど渡された任命書をもう一度確認するが、そこには変わらぬ文字が羅列されている。
「そもそも何で俺なんだよ。もっと他にいるだろ、護衛なんて……」
魔導師のことなんざ考えてもわからないが、納得できない。納得はできないが、任命されて拝命した以上は従わなくては。
ため息を吐きつつ角を曲がり、自室の扉に目を向けるとそこには──
「何をブツブツ言っているんです、ロギル。眉間のシワが凶悪な目つきと相まって、顔面が魔物のようですよ」
「……俺の自室の前で何ニヤニヤしてるんですか、副団長」
俺の自室の扉にもたれ掛かり、失礼なことを笑いながらつけてくる副団長に言うと、肩をすくめ心外そうにする。絶妙にイラつく顔をするのが腹立つ。
「おや。無茶苦茶な任務に任命された部下を心配し、顔を見にきた上司に向かって何をしているなどと、無粋なことは言うものではありませんよ?」
絶対嘘だ。面白がって顔を見にきたに決まってる。この人が笑っている時なんてそんなもんだ。基本的に他人の不幸は蜜の味って素で考えている人だからな。
「で、本当は何しにきたんですか。そこに立たれると俺は部屋に入れないわけですが」
「あぁ、すまないね。君に連絡があるんだ。どうせあのクソジジ…もとい、団長は連絡を忘れてるだろうからね」
「あのジジイ……」
いつかあの頭かち割ってやる。たった今そう決めた。
「重要なことに限って忘れるあの鳥頭はどうしようもないので諦めなさい。私は副団長になって二日で諦めましたから」
「……うっす」
「で、連絡ですが」
副団長は胸元からなにやら書類を取り出すと、それを読み上げる。
「ロギル・ガルム・アーシェイドは、本日付で魔導師リーデウルの住居である王宮参ノ宮『藍の宮』に移り住むこと。その際、騎士団寮の私物は藍の宮に運び込むことを許可する。魔道具を使って送ってもよい」
「………………………………は?」
魔導師と!!絡めませんでした!!!←
まぁ薄々気がついてはいましたが……
副団長のご登場です。団長が鳥頭の脳筋オッサンなので基本的に書類仕事はこの人がやることになりますが、この人も割と自由なので部下が若干胃を痛めます。