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魔導師様の護衛(世話係?)  作者: 仰上 彩輝
【閑話①】
18/19

閑話・7日目の非常識

三月に入ったのにちょっと寒いですね

 3日目は、特に何があるわけでもなく終わった。

 強いていえば、リディが好んで食べる物はお子様向けのものが多いということがわかったくらいだ。

 昼飯を何にしようか迷っている時に、オムライスを食べたことがないというので作ったやったら感動に打ち震えて(誇張してるわけではない)キラキラした目でこちらを見つめて来たのだ。

 実家の妹弟を思い出して、夜にはハンバーグを作ってやると、これまたプルプルと美味そうに食べるのだ。

 こういってはなんだが、とても16歳の少女とは思えなかった。

 いや、年齢は3つしか変わらないはずなのだが。



 4日目は実験室に篭もりっ放しだった。

 いくつか試したい魔法があるそうで、俺も端で見ていたが、やはり魔導師はとんでもない。

 無詠唱とかいう普通なら超一流魔法士が死ぬ間際まで修行し尽くしてようやくたどり着く技を、この歳で軽々と使いこなしている。

 リディは自覚がないようで、たいしたことないなどと言っているが、俺は魔法士の友人から愚痴のように聞かされたことがあるのでそのへんの価値観は理解している。

 まるで指揮をするように杖を振り、雪を降らせ、花を咲かせ、水を操り、その水を凍らせる。

 その姿はまるで神話に出てくる女神が優雅に遊んでいるようだ。──その直後、凍った氷で足を滑らせなければ、の話だが。



 5日目、6日目も、リディが魔法薬を零して床の色を紫に変えたり、無理やり取らせた休憩時間に少し目を離したらいつの間にか空間魔法で実験室に戻っており、1時間にわたる説教をするなどという小さいゴタゴタはあったが、 比較的平穏に過ごした。






 そうして迎えた7日目。

 今日も今日とて俺はリディの後ろに控えている。

 リディはかなり集中しているらしく、ブツブツと何かをつぶやきながら資料を漁っている。

 今見ているのは違ったのか左に放り投げた。それを俺は拾い、軽く整えて箱に移す。

 いらない資料は、この箱に入れておけば後から片付けるそうだ。

 ちなみに必要な資料は右に投げる。それも俺が回収して、また別の箱に入れるのだ。

 しばらくその作業が続く。

 そして、正午の鐘が鳴る少し前に、昼飯の支度をする旨をリディに伝える。聞こえているかは定かではないが。


 ……今日はかなり集中しているようだったので、片手で簡単に食べられるサンドイッチにした。

 鐘が鳴り、改めて声をかけても、生返事しか返ってこない。

 仕方なく、リディが持っている以外の、周りの資料を退かし、紅茶を置いて、手にサンドイッチを持たせる。

 すると、リディは資料から目を離しはしないものの、口に運び始めるので、その間にまた資料を整える。




 …………この状況に慣れつつある自分が怖い。

 俺は執事でも世話役でもない、ましてや母親でもない。

 今朝のように「おはようございますお母さん」などと言われるような事はあってはならないのだ。単なる言い間違いだったから許したが、これが団長や副団長なら問答無用で斬りかかっているところだ。



 そうして昼が終わり、また資料を整え…………十五の鐘が鳴ると、もう一度休憩させる。

 ここで休憩をとらせないと、リディは研究がある程度まで進むまで意識をこちらに戻さなくなる。

 今度は昼のように半分向こうに片足突っ込んだままではなく、意識ごと帰ってこさせる。


 「リディ、休憩時間だ。戻ってこい」


 資料を手から引きはがす。


 「……水で…いや……光?……うーん……」


 目は資料に向いていても意識は違う方に行っていたのか、全く反応がない。


 「リディ、休まないとまたソファーで寝ることになる。それはアンタの体に負担がかかるだろう」

 「なら、いっそのこと焼いてしまえばいいのかしら」


 相槌ではないのは分かっているが何を物騒なことを言っているんだアンタは!!

 そう言いたいのをぐっと堪える。


 「紅茶を淹れよう。ダージリンとアッサムどちらがいい?」

 「でも焼くと…ダージリンでお願いします」

 「よし、戻ってきたな。休憩だ。しばらく魔法から離れろ」

 「そうします、行き詰まってたので」

 「ちなみに今度は何をするつもりだったんだ? 焼くとか物騒なことが聞こえたんだが」

 「東の方でアンデッドが大量に湧いてしまったそうで、今度退治に行かなきゃなんですよ。それの殲滅方法を考えてたんです」

 「それは俺も同行可能か」

 「もちろん、大丈夫です」

 「ならいい。で、なんで焼くのが嫌なんだ? アンデッドは物理で壊しても効果が薄いから、焼くのが一番早いだろう」


 光にも弱いが、光には攻撃用魔法がほとんど無いので大量にいる場合は使いづらいはずだ。


 「焼いたら臭いじゃないですか。あ、よし、光を広範囲に広げて、強化した聖光で強制浄化することにします。これなら臭くないしあとも残りませんよね!」

 「……そうか」


 圧倒的な魔力にものを言わせていくスタイルに決めたようだ。

 もちろん、普通の魔法士には100人束になっても到底出来ることではないのだが。







 今日も藍の宮では常識が壊れていく。

久しぶりに書いたせい、ますます文が……

精進します


次は本編に戻ります

しばらく時が飛んでしまうかも知れません

飛ぶと言っても、さすがに年単位ではありませんのでご了承ください

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