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中央聖都ビクトリア1

頑張って更新します。

「そうですね。まずは魔大陸へ行ってみるのはいかがでしょうか」


 セバスの一言で、これからの進路が決定した。

 下手に人海戦術等と言いながら、大勢引き連れて邪神の居る大陸へ向かうと、確実にそのお膝元の魔族達を刺激するであろう。同時に横断する魔大陸の情勢に大きな負担をかけかねないというのがセバスの意見だった。


 事実、この世界はゲームであってゲームでない。様々な要素が絡み合っている訳で、ハイ仲間を集めました。ボスを倒しに行きましょう。じゃ、通用しない。

 第一人海戦術とか言いながら、仲間達を輸送する手段と遠征に掛かる諸々の費用を、一体どこから捻出するのか。


「そうだな、俺はセバスの意見に賛成だ。リアルプレイモードはそこまで甘ったるい物じゃないからな。今でこそノーマルプレイ時期からギルドの運営についてはある程度予測を立てて改善して来たから廻して行けているが、それすら回して行けない程のギルドは世界に多数ある」


 何をするにしても費用がかかる。

 念願のギルドホームを手に入れました。だが、ただ集まれる場所が欲しいからホームを作ったのでは、確実に維持費を払う事が出来ずにそのギルドホームは潰れてしまうだろう。


 クエストを定期的に受けてその報酬を当てる自転車操業ギルドは世界に多数ある。ある程度の実績が積み上がればギルドが有る街のハンター協会と契約を結ぶ事によって固定で維持費の収入を得る事が出来るが、そこに至れるギルドはなかなか少ない状況だ。

 物作りや商会系のギルドは比較的生き残り安い。目的が維持費と直結していたりするからだ。その商人の護衛とかでクエストがもう少し出回ればなんとかギルドも上手いやり方が在ると思うんだけどな。

 実際傭兵の国だったり、そういう仕事はライバル業が多い。生半可な実力では押しつぶされるであろう。

 リアルプレイヤーが爆発的に増えたアップデートだったが、ノーマルプレイモードに比べてかなり制限が厳しくなった部分も在るという。

 モンスターを狩ってドロップを売ります、それを卸します。でも市場は飽和していますとか良く在る。だが、そこを上手く突いて一定の品質ドロップを世に送り出すノーマルモードプレイヤーギルドもある。


 う〜ん。一概に何とも言えないんだよな。


 ロバストさんのギルドはプレイヤーが多いのもそうだけど、元々攻略メインの探求系ギルドだった部分で色んな地と開拓や発掘し、色々な所で報奨金やら各国で公認ギルドとしての称号を貰っているらしい。

 それだけで全然賄える規模になって来ているという。

 これは王道風で在りながら、特殊なパターンだろう。


 最早ギルドの垣根を越えて、開拓協会的な人間の文化圏を広げる為に尽力する団体へと様変わりしている。

 そんでもって、ウチのギルドはセバスが居るからこそなんとか持っている状況なのである。


 まぁ大教会の正面に設立されてるからな。

 女神教団の目の前に『福音の女神』とか、喧嘩売ってるどころの問題じゃないんだけど、何故それが可能なのか。


 俺が特務枢機卿という教団のナンバーツーでは無いが、別域でそれと同等の位に位置しているからだ。

 癒着が激しい、マジでそれを考えると頭痛がして来る。


 お布施も含めて、教団の魔物討伐業務を代わりに請け負っていたりするからな。やってる事は普通のギルドやら傭兵の国の派遣社員達とは変わらない。


 だが、信用度が格段に違っている。

 そしてその信用度を利用した商売をブレンド商会と手を組んでセバスがするもんだから自重しない程に、巨大化して行く訳である。


「先ず敵の情報を知る事から始めませんと」


 そう短く告げたセバスには、妙な説得力があった。


「そうだな、先ずは敵陣潜入が一番都合いいだろう。邪神のお膝元に近い所だが、神父、お前の信用度なら行ける筈」

「そうですね、クボヤマ様には特務枢機卿という教団の中でもまた別枠の立場が在りますから、一番動きやすいですし」


 ニヤリと二人して笑う。

 コイツら、いつの間に仲良くなってんの?


「ちょっとまって、セバス。せっかく落ち着けると思ったのにまた出張? あとロバストさん、貴方はどうするんですか? 一緒に行きます?」

「ええ、とりあえず話は既に通してますんで、今日はそのままマリア様が迎えに来られますので教団まで伺って来てください」

「ほら、俺巨人だし? 身体大きいからバレるって」


 セバスの中では既に俺が向かう事は確定事項だったようである。

 ほら、俺一応トップだよ?

 それも見通して、俺にしか出来ない事をあっさりと告げる。

 そして悪のりするロバスト。

 貴方、確かに以前よりも遥かにデカくなってますけど、ヨゼフ・デヴィスマック氏にはまだほど遠い体格ですよ。


「まぁ仕方ないですね」


 俺も俺であっさりと承諾した。

 やまんにも久々にあってみたいけど……魔大陸は前々から気になっていた。世界の縮図で見た通り、海竜王女から聞いた通り、元々獣人族と魔族の住まう土地に人族も住まい、多国籍国家の様な位置づけになっているそうだ。

 そして、邪神により圧政を強いられた過去を持つ民は、自由の意思を持つとか。


 魔大陸ドリームである。


「クボヤマ様、マリア様がお迎えに上がられています」


 ギルドの会議室のドアをノックして入室した使用人がそう告げる。その言葉と共にこの会議は解散した。


 ってか、意味合ったのか……?

 結局の所、俺が現地出張という事実しか残っていない。


 と、言うよりも邪神について俺達は知らな過ぎた。

 それをはっきりさせなければならない様だな。


「クボヤマ、聞いたわよ。また出張ですってね?」


 彼女は、相変わらずのボンテージ姿である。と、言うよりも昇格して権限が強くなってからより一層尼さんらしく無くなってしまった感がある。

 今の状態で鞭なんか持ち出したら、一体どんなプレイになるんだろうな。尼さん神に感謝しながら鞭を振るうんだろうか。そして鞭に撃たれながら過激な性癖を持つ一人の男は昇天してしまうのだろう。


「なんか失礼な事考えてない?」

「いえ、全く。そんな事よりまたスカート短いですよね? いい加減にシスターとしての……」

「あ〜また説教? もう聞き飽きたわよ。これトレンドなんだから。女神アウロラ様もこれくらい表現の自由としてお許し下さるわよ」

「……」


 心の中で溜息をついているのは内緒だ。ただでさえ美人なのに、そんな美人がもの凄い格好をしているから目立つんだよな。

 未だ俺がギルマスだという事を知らなかったり、ただのNPCだと思っているギルドメンバーが羨望の眼差しでマリアを見る。


「すごく視線を感じるわ」


 そんな事を言った所でな、お前一目を集めたいからその格好してるんじゃないのかよとツッコミたくなる。実際は本気でボンテージが好きなんだろうな。


 ギルドを出た所で、俺は意味も無くギルドを振り返る。

 実際、ギルド自体を見るのは、この間冥界から戻って来た時が初めてだったのだが、大教会の大聖堂に負けず劣らずの大聖堂には度肝を抜かれている。

 そしてだ、なんと宿舎と呼んでいた場所が俺のプライベートルームになっていて、『始まりの教会』での宿舎をそっくりそのまま真似て作られていたのには、かなり感動した。


 そして少し成長した始まりの街の孤児院の子供達が、プライベートルームからほぼギルド全域の清掃業務を手伝っている。

 それを見た俺は、この宿舎も孤児院にする事を決めた。


 最初に、俺がこの世界にログインした当初、助けてくれたエリック神父の孤児院を見習ってである。


 ってかあの教会で神父をしていたエリック神父。

 絶対何処かにゲートがあるはずだ。


 そんな事を思っていると、マリアがぽつりと話し始めた。


「クボ……。その、助けてくれてありがとう」

「何言ってるんですか、当たり前ですよ」

「……違うわよ。北へ向かう道中とか、後冥界での事も、全部よ」

「私はかなり楽しかったですよ」

「私もよ」


 少し頬を染めたマリア。

 何がそんなに恥ずかしいのか、多分船の上でゲロを吐きまくったのを思い出して恥ずかしくなったんだろうな。


「どうしたんですか?」

「な、なんでもないわよ」

「アレですよ、貴方の嘔吐物もまるっと抱え込める程、私の中では馴染んでいますよ——ォッァ!」

「最ッ低!」


 遠い目つきになった俺の鳩尾付近に一撃、とんでもない重さの拳がめり込んだ。危うく吐きかけた嘔吐物を堪える。

 聖核を宿して半端な攻撃じゃ削られない俺の身体にダメージを通すとなると、余程純粋な魔力を乗せた拳に違いない。


「あ、私が貴方を呼びに来たのは、法王のプライベートエリアに貴方を案内する為だったの。いつだったかしら、貴方が死にそうになった時って、精々またしぼられて来るといいわね!」

「えっ」




 え!!!





頑張って更新します。

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