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友人の名前はユウジン

 ログイン前にメールを見ると、友人からメールが来ていた。最初のレイドボスが終ったからとりあえず迎えに行くそうだ。彼もゲームとはいえ、リアルを重視するタイプ。世界観の中に沿ったプレイをするタイプだったな。

 そうか、それをロールプレイというのか。なるほどなるほど、驚くぞ。俺の神父プレイに、神父とは何なんだろうな。今度教会に足を運んでみるか。エクソシストでも見てみようかな。おっと、なんか毒されてるなロールプレイに。

 今日の目的は決まってるし『読書して待っている』とでも返しておくか。なんだかんだ彼と一緒にまたゲームが出来る事が楽しみである。

 今日は色々有って少し遅めログインした。時刻は昼過ぎ。

 ログイン地点はいつもの教会である。

 臨時収入も有ったし、念願の図書館に行こう!ってことでやってきました。


 図書館は、女神の広場から北に向かうその大通り沿いある。東の大通り沿いにある教会からは、裏路地を抜けて行けば図書館の裏手のあの占い屋にでる。その脇の小道を通って表通りに出れるんだが、おばあさんに挨拶でもしとこうかな。


「こんにちわメリンダさん」


「何だいあんたかい」


 ドアを潜り、黒いカーテンからひょっこり顔を出して挨拶をした俺に、メリンダばーさんはブツブツと返してくれる。相変わらず何をブツブツ言っているのか聞き取りづらいが、まぁ老人はそんなもんだろう。


「なにか用かい?」


「いやたまたま図書館に行くついでに通りかかったから寄っただけだよ」


「何しに行くんだい。あとこんな裏路地ばっかり通っても怪しまれるだけだよ」


 はは。と受け流すと、図書館の目的を話した。

 魔法について勉強するってだけだからね。


「図書館の魔法程度ならあたしが教えてあげるよ」


 まじすか!


「あんたの事はエリック坊やから聞いてるからね。欲しい魔法を言ってみな。いや、あたしにゃわかるよあんたの欲しい魔法がね」


 水晶が七色に光る。それも魔法なのかな。何魔法って言うのかな。とりあえず俺が欲しい魔法は、鑑定魔法と連絡用・生活用の魔法である。

 魔法の種類は判らん。一番欲しいのは鑑定とアイテムボックスだけど、4次元空間に収納する魔法でしょ、なんかすごく高難易度な気がする。


「鑑定、念話、空間拡張の魔法を教えて上げるよ」


「空間拡張、良いんですか?」


 すごく、特別な響きがするよね。ド○えもんのポケットって感じ。


「そのかわり、連絡・生活魔法なんてものは存在しないからね。あんたで作りゃ別だけど」


 作る?そんな事どうでも良いよ。

 はやく教えてくれ!ド○えもんのポケット魔法。

 やっぱりファンタジーの世界である。魔法という単語にワクワクしていた。


 そしてメリンダばーさんにスパルタ教育を受けた。っと言うより、初めてのコトは慣れていないはずなのに、容赦ない罵り方をしてくる。

 でも負けないぞ!初めての回復以外の魔法なんだ!


「よし、鑑定・念話・空間魔法を覚えたね。しめて金貨1枚だ、空間魔法を教えたんだから一銭もまけないからね」


 ・・・え。



 何とも言えない程の悲壮感を漂わせた俺は、そのまま北の大通りから女神の広場まで戻って来た。また一文無しである。

 ってか、ぼったくりのキャバクラじゃないか。

 ぼったくりのキャバクラじゃないか〜。


 こういう時は聖書を読むに限る。

 まだまだ日は昇っている様だから、少しだけ本を読んで過ごそうと思う。


 そう言えば鑑定の魔法で無事にステータス表示が出来た。でも詳しい技能は見れなかった。人種とレベルと才能のみ見れる感じ。精密鑑定じゃないと詳しい内容は表示されないようだな。

 念話は、俗に言うウィスパーチャットと呼ばれる物に近い。今は対一人だけど、まぁなんとかすればパーティ単位でもいけるんじゃないかな?ほら周波数とか、そんなん魔力にもあるんじゃない?でも集団で居るときは普通に喋れば良いから、緊急連絡手段ってことで。

 で、空間拡張である。これにはいくつかの制限が有った。重量制限がSTRとVIT依存であるということ。そして拡張性はINTとMND依存だった。

 そしてバックやポケットの開き口の大きさまでしか入らないという制限が有る。どこにも出現できるアイテムボックスというより、収納利用目的に作られた物を拡張すると言う物。

 バッグを無くしたらおしまいである。本当にド○えもんのポケットだ…。


 ロールプレイな…。

 はは。まぁいいや。出来るだけマシだ。


 バッグの予備を買うお金が無かったので、とりあえず胸ポケットを拡張してクロスと聖書を収納していた。今思ったんだけど、収納するだけの荷物は無かった。

 お金もないし。



 さて、今日はもうしばらくログインできる。

 友人が見つけるまで待とうかな。ってか、逆にこっちから彼に話しかけてやろうかな。念話である。相手の名前と顔を知っていれば繋がるらしい。

 問題は彼が普通のギアであるということ。で、顔をエディットしていたら、繋がらないからである。


 名前は判っている。ずっと使い続けている名前が有るからね。


『ユウジン。ユウジン聞こえるか?』


 うーん。やっぱり聞こえないのかな。顔変えてるのかな。


『おい。ユウジン。返事してくれ』


「うっさいぞさっきから!」


 うお!念話に集中していたら急に声が掛かる。公園のベンチに座っていて声をかけられるって何かデジャブ。

 顔を上げると、知ってる顔が居た。ってかノーマルモードの癖に顔変えてないとかやっぱり面倒だったか。と、言うより彼の格好は着物の着流しスタイルで、帯刀していてまさに侍の浪人だった。長い黒髪は後ろで結わえている。


 なんかかっこいいな。


「久しぶりだな。って、なんだその格好」


「今のお前に言われたくないな」


 たしかに。俺たちの出で立ちは神父に浪人である。装備やローブを身につけた一般的な冒険者というより、NPCに近い格好をしている。

 それもそうだ、俺は金銭的な目的から神父服しか持ってないし、能力的にこれで間に合ってるんだが、彼の戦い方は敵の攻撃を躱して刀で斬る。ヒット&アウェイスタイルなわけで、重い物を身につけない、可能な限り身軽な事を選ぶ人だった。


 えっと、STR&AGI型ってことか。基本育成を読んだぞ。2DMMOだったがこの黄金比は変わらんはず。


「友録送ったのに許可されないからな、しろよ。ウィスパー飛ばせないだろ」


 そうだった今の俺は個人会話や友録、パーティなどノーマルモードの便利機能が仕えないんだったな。それを含めて説明してやる。


「ああ、その件なんだけどな…」










「マジか! それ、すごいな。要するにリアルスキンモードってもう一つの現実みたいな物じゃん。異世界じゃん。どうやんのそれ」


 話を聞いた彼はテンションが上がっている。元々頭のいい彼はゲームにのめり込んでからそっちの知識も人に負けない様になっていた。PSプレイヤースキルと言う物も彼に教えてもらった事がある。いわゆる廃人と呼ばれる様になった彼は、剣道場の師範の仕事もほっぽってゲームに熱中しているのだ。

 と、言うより。自分の剣術がどこまでゲームに通用するのか、ゲームのスキルを現実で出来ないか。などを試しているそうだ。

 ああ、カメ○メ波とか、銃を避けるとか。そう言うのね。実際に矢なら手で掴んだって。


「俺のやりたい事が出来る世界じゃないか。たしかにノーマルモードでも豊富な武器、スキル、職種、グラフィックで圧倒されるけどな。そんなもん決まったデータでしかない。話を聞く限りアイデア次第では俺の剣道場をここに作れるじゃないか」


 そして、自分の流派を作ったら師範、鍛冶職人として生きるらしい。





 彼は翌日即行で推奨VRギアを手に入れて来た。アレって結構高価な物で限定販売で全然出回ってないはずなのにな。と思っていたら。


『リアルスキンモードやってる人って初心者かお前くらいしか居ないんだわ。情報も出回らないし、オークションで定価で売ってるぞ。笑』


 だそうだ。知る人ぞ知るって感じかな。ってか確かに、説明書にも詳しい概要なんて乗ってないしな。現実の自分の容姿で、一人までで、キャラデリ不可能な仕様ってまぁ普通のライトゲーマーやらミドルゲーマーとやらは選択しないらしい。

 俺たちはその辺無頓着だったからな。


 俺はユウジンからアイテムを受け取っていた。

 前のデータは消すそうだ。ってかそれをしないとリアルスキンモードが出来ないらしい。普通はアイテム化した状態で交換用のインベントリーを開いてから行うんだが、俺に渡すと普通に着物と刀と金貨は現物になった。結構な量の荷物だったが、俺には空間拡張が有る。大きなアイテムは入らなかったが、現金に変えて来てもらい預かった。


 そしてその日、エリック神父とメリンダおばさん。そして子供達に彼を紹介して、彼は金貨1枚払って俺が教えてもらった魔法を覚えていた。

 現実の感覚で刀が振れる事に彼はご満悦。ましてや応用でノーマルモード時のスキルまで放ってしまった。ってかこんな風にスキルを放ってたから行けると思ったらしい。スキル硬直やらキャンセルやらがないらしく、自分の腕そのものがPSとして使用できるこの世界にゲームを超えた何かを感じたらしい。


 また一人、世界の住人が増えたよ。

やっと入り口に来た。って感じです。

さて、あの3人は一体どうなったのやら。


因みに彼の道場では早速RIOでの経験が取り入れられ、縦横無尽な剣の流派。門下生の数はギネス記録級へと発展して行く予定。

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