表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/168

違いとは

 死に戻った。あの、教会に。


「戻って来るの早いですね」


 エリック神父が居た。

 んー身体が重い。

 ってか一瞬にして身体がバラバラになる感覚があったんだけど。

 魔法って怖いな。


「南の森に言ったら巨大な虎がいまして、襲われました」


「ほお、あの人食虎キラータイガーに遭遇したんですね。それは災難でしたね」


 あれはキラータイガーって言うのか。物騒だな。


「でも、パーティの人達と一緒に倒しましたよ。で、魔法に巻き込まれてしまって」


「あー、魔法使いの人は爆発魔法をとりたがりますが、アレは地雷ですよ。近くに居る味方も巻き込んでしまいますからね。あなたの場合そこそこ抵抗力もあったと思うんですが、余程至近距離で巻き添えになってしまったのが予想できますよ」


 エリック神父は笑いながらそう言った。

 いや笑い事じゃなくてだね。服もボロボロだよ。って思ったらあれ、破けた服が元に戻っている。


「言い忘れてましたけど、神父の祈りの効果は神父服の自動生成も含まれています。私のクロスの熟練度補正と、神父服に限って丈夫さがまして、破れても修復されます」


「ありがたいですね」


 ・・・ありがたいのか。まぁお金持ってないから今の所役に立ってる。だけどバッグが消えた。無くなった。ショック。


「あなたはいわゆるプレイヤーと呼ばれる人達ですが、私からすると、死なないだけど此方側の人と言った感じがします。向こうの常識が当てはまらず、此方の常識で左右されると言った形です」


 薄々感づいていたんではないでしょうか。と付け加える。まぁ、少しずつだけど思っていたよね。

 人食い虎の件にしても、ヤツは俺を食べる気だった。見る目が違っていた。


 リアルスキンモード怖い!

 でも違った楽しみ方がある。これはまさに自由度が高い、そう言う事じゃないか。プレイヤーとしての範疇に収まらず、成り上がりだって、町おこしだって、この世界の人々と交流して何だってできる可能性が見えて来た。

 世界の一部になった感じ。


「あなたの場合。神父しか出来ませんが」


 ははは。

 話をしていると、教会の扉が開いてエリー達が入って来た。


「師匠やっぱりここに居たんですね!大丈夫ですか!?」


「クボヤマごめん! 普通フレンドリーファイヤー切ってると思ってて!」


 セバスチャンも居る。無事だったか、良かった。

 あの二人は俺と虎がバラバラになっている所を見ていた様で、慌てた様に身体中をペタペタを触って来る。


「彼女達があなたのパーティですか?」


「そうですね。私のパーティですよ」


 まぁパーティの組み方判らないけど。

 そんなやり取りを見ていて、エリー、凪、セバスの三人は更に驚いていた。


「NPCが話しかけてる…」


 ああ、やっぱりか。更なる確信が俺の中で出来た。でもこのやり取りが見えてるなら、ある程度の制限が無くなっているもしくは、リアルスキンモードでプレイしているプレイヤーと同行しているとマップ外まで行けたりするのだろうか。

 バグ技!って感じなのだろうが、此方側?の人からすれば当たり前なのか。


 まぁここでの立ち話も何ですし。とエリック神父が教会の食堂の方へみんなを案内してくれた。


「教会って初期リスポーン地点だとばっかり思ってたんだけど、こんな要素もあったんだね」


 と凪が感心した様に言う。エリーも「師匠のロールプレイの秘訣・・・」と辺りをちらちら見回している。セバスはいつも通りだ。でも驚いているのかも。

 エリック神父が淹れてくれた紅茶を飲みながら情報を交換し合う。


「要するにリアルスキンモードとは、ゲームであってゲームでないってことなのよね、異世界だわ!」


「そしてキャラクターもデリート不可能で一つだけ。そりゃ本人だものね。でも自由度に関しては理解したわ、ロールプレイに新しい何かが見つかるかも・・・」


「お嬢様の仰る通りです」


 と、思い思いの解答が出た。コレじゃ判らないと思うが。

 少しずつ判って来たぞ。まぁ判らない事の方が多いと思うが。

 リアルスキンモードとはRIOの世界観を最大限に楽しんでもらう為に作られた物で、VRアカウント一つにつき1キャラのみ作成可能、キャラデリ不可。RIO推奨ギアのみ使える新機能である。俺のギアがそうだ。

 それと同時に俺のステータスも判明した。精密鑑定を掛けてもらった。エリック神父に。なんでそんなのも出来るの。


プレイヤーネーム:久保山

プレイモード:リアルスキンモード

種族:ヒューマン

才能:レベルアップ時MIND値追加ボーナス

レベル10

HP:430 MP510

STR 40

DEX 60

VIT 70

INT 30

AGI 5

MND 150 (+10)

LUK 0


魔法

ヒール リカバリー キュア


加護:神父の祈り(MND+10)

装備:神父服(自動修復) クロス(熟練度補正、攻撃力MND依存)

※リアルスキンモードはステータスおよびスキル振りが出来ません。


 こんな感じになっていた。強いのか判らないけど。そして発覚した。ステータスおよびスキル振りが出来ません。

 これはどういう事なのだろうか。


「おそらく個人の能力は閲覧できるが、管理は出来ないってことでしょう」


 セバスが言う。流石執事、鋭い所を付く。

 最初の能力値が判らなかった以上、平均値と成長値がどんなもんか判らないが、個人依存しそうだな。俺の場合あの過去のお陰でMIND値が高いんだと思うが。


「ノーマルモードって最初どんな感じなんですか?」


「ノーマルモードは最初にキャラ作成ボーナスポイントが100P貰えるわよ。初期HPMPは100ずつ、それを振って行くくらいね。レベルアップ時に5ポイントステータスに振れるようになるわ、それを考えるとレベル10でそのステータスは異常。MND値なんてバカよバカ!」


 凪が言う。ってことは平均でも全部に満遍なく振ったとしても10〜15くらいになるわけだ。そしてHP・MPはVIT・MID依存で数値分補正されるらしい。それぞれの分野に特化した極振りと言う物が出来やすいが、平均値は低いと。

 リアルスキンはセバスチャンが推測して計算した所、大体+100ポイント分、初期ボーナス程度の追加があるらしい。


「才能のMND追加ボーナスがくせ者ですね。どれくらいの追加なのか判らないですが、とりあえずレベルアップ分の5ポイントで計算するとつじつまが合います」


 流石セバスチャンである。出来る従者だ。ってか執事だよな今更だけど。

 ここでエリー気付く。


「師匠のステータス、職業欄がない。完全に神父だけど」


「それだわエリー!」


 ノーマルモードであれば、職業によってボーナスステータスが付くらしい。基礎ポイント+職業補正といった所だ。

 戦士系であれば種類にもよるが、STR・VITに補正。魔法使いであればINT・MNDといった形。


「聖職者であれば、毎日聖書を読む事で精神力が鍛えられますよ」


 とエリック神父の助言である。

 この辺まで話し合ったが、結局謎が解ける訳でもなく、ログアウトの時間になった。俺たちはゲームがそこまで詳しい訳ではなく、世界が楽しめれば良いや派なので結論、問題無しとなった。

 今度友人に聞いておこうかな。


 ログアウト前にせっかく教会に来たのだから、子供達の御飯を用意しておいた。子供達と戯れる俺を見た彼女達は混ざりたいと言って来た。が、それは叶わなかった。彼女達から声をかけない限り子供は無視した様に動いていた。仕込みから料理をする俺を熱心に見ていたセバスは一体何を思っていたんだろうか。子供達と戯れる俺を見て、女性陣は何を思ったのだろうか。


 未だシステムの決定的な違いは俺には判らない。

 ゲーム的にはプレイヤーを補助するシステムがある分楽だと思うが、一度この感じに慣れたらこっちがいいな。


 そして俺は友人と会えていないし、このゲームの仕様的に会える気がしない。連絡が取れないんだからな。









 ログインした。いつも通り、教会で目覚めたんだけど。

 今日はどうしようか。

 あれだよ、せっかくこっちで出来た友達との連絡手段がない。と言ったのが、現状である。

 まぁ彼女達は俺の居場所を知ってるから今日は一人で動こうかな。


 お金を貯めて、図書館で魔法の書物を読む事だな。鑑定の魔法だ鑑定の魔法!ファンタジーの小説は色々読んだ事あるので、それに当てはめて考えればなんとかなりそうな気がする。

 お金を貯めるには、狩りをするしかない。狩って、素材を売る。

 モンハン思考だ!

 いや現実にだね、モンスターハントというゲームが有ってだね、小さい頃友人とよくやったものさ、俺はあんまり得意じゃなかったけど。友人はすごい躱して、すごい攻撃してたな。

 とにかく、そんな要領で行けば、間違いは無い。と思う。

 大体何が正解で何が間違いかすら判断できない。日本の法律に照らし合わせて考えると良いのかもしれないが、そっちはカラスすら狩れないんだ。こっちはある程度無理が効く世界だと捉えておこう。


 外に出ようとしたら、十数人の人達が教会に運び込まれて来た。エリック神父の表情も硬い。何が有ったんだろうか。


「神父、何が有ったんですか?」


「ああ、町中で急に魔法使い同士のいざこざが有りまして、住人が巻き込まれたんですよ」


「何か出来る事はありますか? 治療手伝いますよ」


 お礼を言うエリック神父に続き、俺も治療に参加した。

 まったく、どこの誰だ。

 町中で魔法をぶっ飛ばすなんて、まさかプレイヤーじゃないだろうな。興味本位で人を殺す様な奴らも居るからな、安心できない。まぁある程度の自由度は有っても、システム管理されているノーマルプレイヤーはアカウントを凍結されるだろう。

 そして、なんと嬉しい誤算だが、この治療によって金貨1枚を頂いた。いつの間にか簡易クエストみたいな形になっていたようだ。

 エリック神父に「色々とイロを付けておきましたんで」とかニヤニヤ渡された。それに伴って俺の顔もニマニマしてしまった。二人そろって悪い顔だ。


 よし、まだ時間もあるし図書館に行こう!










多分もう出てこないであろうステータス。

と、すごく曖昧で線引きが謎なシステム。

ぶっちゃけそこまで詳しく説明する気にもなりません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ