表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/168

海溝での戦い

正月更新ですなぁ〜

 リヴァイが魔法を放ち乱海流を巻き起こす。それに巻込まれた邪海の魔物達は、しばらくは戦場に復帰できないだろう。

 まぁそれもただの時間稼ぎに過ぎないが。


 乱海流など屁でもないと言う風に塞がる魔物達が居る。

 甲冑魚人達と、イビルクラーケンと死海蛇・帝種である。


 いくら何でも数が多過ぎるとは思わんかね。

 邪の波動に呼応する様に俺の鼓動もアクセル全開になって行く。


「応援は呼べないのですかリヴァイ」


「もうとっくに回りに応援のエコーは飛ばしておるが、この海域は隠された海域じゃぞ? 届くかどうかが問題じゃよ」


 クボヤマの問いに、リヴァイはそう答えた。

 だが朗報もある。


「古き友人にパスを飛ばしたらの、大至急駆けつけるそうじゃ。しばらくの辛抱じゃから耐え忍ぼう!」


 リヴァイは先陣を切って魔法を放つ。

 本来の姿に戻らないのは、俺達が巻き添えを食らわない様に配慮している為だ。


 だが彼女は水系魔術のプロと言っても良い。

 水流操作によって俺達の戦闘を補助してくれていた。


 対する俺は、水流のお陰で直線的な動きと敵からの遠距離攻撃は防げていると言う物、凍らないんだよ流動する水は。


「ちょっと、神父だけにしてくれないかその水流。凍らないんだよ」


「あ、私も水中適応の魔法だけでもやって行けますので大丈夫です」


 俺とクボヤマが同時に言う。


「なんじゃ! 人がせっかく手助けしとるというのに、まぁ仕方ないの。十分強いしなおぬしら」


 拗ね出した幼女は放ったらかしにしておく。

 俺が相手すべきは甲冑魚人。


 イビルクラーケンはリヴァイに。

 帝種はクボヤマにそれぞれ任せてある。


 と、言うよりも甲冑を破壊できそうなのが俺のゲンノーンしか無かったんだよな。固い岩肌に突き立てる道具としても使っていたので、俺のゲンノーンは放置して気泡が溶けて強固になった氷すら砕く。


 全身から冷気を出す。

 凍れ魚共。


 海流の動きが徐々に停止して行く。

 結構難しい。


 ってか本当に凍るのかよ。

 だが、俺の足下から結晶化していく地面。


躍動する鼓動アクセル・ブラッド


 身体が温まって来た。

 それに合わせて俺の身体を血管の様に張り巡らされた刺青が光を帯びて行く。髪も白銀を帯びて行く。


 大物二人の手助けをしないといかんのでな。

 お前らの相手は出来るだけ手短に住まそう。


 俺は甲冑魚人・新種に肉薄すると。

 ゲンノーンを両手で振り下ろした。


 二つの切先が甲冑魚人の兜割りする。

 かなり固い手応えがあった、そして魚人の頭はヒビが入って中身を剥き出しにする。


 甲冑で覆われた魚人の頭は割ってみれば白い膜で包まれた中身があった。

 脳髄を覆う膜は水圧に耐えられない様で、拉げて潰れた。


 香ばしい匂いを漂わせ水揚げされた魚の様にビチビチ痙攣する新種を放っといて、古代種に向かう。

 デカい図体のわりに速いとは思うが、今の俺からすれば愚鈍である。


 関節部を凍らせる。

 これ、内部から凍傷にしても行けるんじゃないか?


 新種の中身は案外脆かったしな。

 甲冑を着ていると言うより、皮膚、鱗が甲冑に進化したと言った方が正しい見解なのであろう。


 ゴリゴリと関節部の甲冑が擦れる音が響く。

 水中適応魔法すばらしい、音迄聞こえるんだもんな〜。


 今回は相性が抜群だ。

 ポケ○ンで表示するならば『こうかばつぐんだ』なんだろうな。


 少しイタズラ心が芽生える。

 甲冑魚人・古代種の装甲を剥がしたらどうなってるんだろう。


 とりあえず胸の部分をゲンノーンでテコの原理を使って引っ剝がした。

 わお、透き通っているのね。シースルー。




 全然嬉しくないわい。

 さっさと死ね。


 俺が直接手を下す事も無く、脆い部分は水圧で拉げて霧散した。

 ってかこの装甲って何かに使えるかもな。


 一応拾っておいて覚えたばかりの空間拡張された袋に突っ込んで行く。






 さて、とっとと応援に回ろう。

 リヴァイはキングクラーケンを追っ払えるくらい何だから、イビルになったクラーケンと戦っても戦力差は変わらないだろう。


 そう思ってクボヤマを見ると、ぶっ飛んでいた。

 俺に方に向かって。


 一緒に弾き飛ばされて光る珊瑚礁に減り込む。

 光る珊瑚の破片で水流を濁らせながらも、戦場復帰した。


 クボヤマの回復魔法が地味に聞いている。


「う〜む。考えものですね。適当に攻撃してくれれば弾いて消滅まで持って行けるんですが、知能も発達しているようで迂闊に頭を向けてくれません」


「帝種はユニーク個体だと鑑定結果が出たぞ」


「精密鑑定では弱点までわかりますよ」


 そう言うクボヤマに弱点を聞く。


「頭を消滅させれば勝ちです」


 ニヤリと言うクボヤマ。

 このバトルジャンキー神父め。そんなの誰だって死ぬだろが!

 だが、その戦いでは単純な所嫌いじゃないぜ。


 共同戦線と行こう!

 共に足並み揃えて戦場へ踏み出したその時、帝種の咆哮が響いた。


 耳を劈く様な振動が押し寄せる。

 リヴァイも思わず怯んでしまう程、だがこの一瞬の隙はイビルクラーケンの絶好の機会となる。


「うぉ! やめんかタコ! やめぬかぁああ! キャッ」


 真っ黒で極太なタコ足に捕われてしまったリヴァイアサン。

 ウネウネと嫌らしい動きでこの捉えた小娘をどうしようかと悩ましい動きをするタコ足。


 おい、それ以上アレすると児ポに引っ掛かるぞ!


「邪の波動。イビルクラーケンが持つと思ってましたが、まさか本命は帝種だったなんて…」


「心臓がバクンと来るあれか?」


 そんな事を言っていると、帝種の死海蛇が話しかけて来る。


「我、邪神様の野望を果たさんとここへきた。その竜種の小娘の命と引き換えにその船を渡してもらおう」


 取引ですか。本当に魔物ですか?


「止すのじゃ。絶対にダメなのじゃ。方舟は我が海竜種が命を賭しても守るもの。揺れるな神父と英雄の血族モガッ!」


 リヴァイの口を塞ぐ様にクラーケンの足が口内に侵入する。

 顎に力が入り辛いのか、なかなか噛み切る事が出来ずに暴れるリヴァイ。


 だが、完全に四肢を絡めとられている彼女の動きは網にかかった魚の様だった。

 そんな彼女の身体を舐め回す様に蠢くタコの足先。


 ジポ!ジポオオオオオオオ!


「本当に彼女を離してもらえるんでしょうか?」


 オースカーディナルを置き、手を挙げてクボヤマがそう尋ねる。


「約束は守ろう」


「まて、俺は退かない。屈しないぞ。抗い続けてやる!」


 それがたとえ無駄だとしてもな!

 お前は一人で戦ってるのかクボヤマ。


 何の為に俺は山を下りたんだ、あの時デッキの上で協力する事を誓ったじゃないか。海上での戦いでもそうだが、一人で背負い込むな。


「退かぬ心! 今なら出来る気がするぜ、英雄アラン! 動けよ神父! 役目を判っているはずだぜ」


 帝種に向かってゲンノーンを投げつけると駆け出した。

 たこ焼きにして来ますと一言に、クボヤマも同時に駆ける。


 鼓動が躍動している時、俺の魔力は英気へと変わる。

 そして英気は俺の存在価値でもある。


 爆発的に膨れ上がった英気は相手を威圧するだろう。

 そう、誰かが語りかける様に俺を行動させる。


「ぬっ、無駄。我は竜種に近い存在になった帝種。そして邪神様のお陰で竜種すら驕れる様になった存在」


 帝種の咆哮と、俺の咆哮が重なる。

 ずいぶん野性的な戦い方だが、自分を鼓舞して勝利を勝ち取れ。


 横目で見ると、イビルクラーケンの腕を十字に輝く光が焼いている所だった。その表情は少し辛そうに焦っていた。

 だが、無事に取り戻したようだ。そしてリヴァイに何かジェスチャーしていた、喋れば良いのに。


 俺は勢いを保ちながら帝種とかち合う予定だった。

 だが、その勢いは途中で失速してしまう。


 ガボッ。

 海水が身体中の至る所から侵入して来る。


「ふんっ、所詮水中では生きれぬ下賎が」


 叩かれた俺は身体から空気を一気に失い酸欠状態に突入しそうになる。

 身体が丈夫で良かった。


 だが、相応のダメージは負ってしまった。

 クボヤマが回復魔法を施しにやって来る。

 彼も水中適応の魔法が切れているはずなのに、いや、俺よりも才能が無い彼は、とっくの昔に切れていた可能性がある。


 その状態だからこそ無謀な駆けに出なかったんじゃないか。

 俺はつくづく無駄な事をしてしまっている様な気がする。


(リヴァイ、もう魔力は回復しましたか!?)


(ひ、一人分だけじゃがの、イビルクラーケンは魔力を吸収してしまう能力を持ってるみたいじゃ、そしてわしの魔力の回復も邪の波動で遅くなっておる…)


(彼をここで死なせてしまう訳には行きません、彼に水中適応を。私は回復に勤めます)


(しかしおぬしは!?)


(私は仮死状態でもシスターズがいれば最復活できます)


(しかしの)


(お願いします)


 と、広域テレパスが伝わって来る。

 そして身体が急激に酸素を取り込む事が出来る様になった。


 グッと親指を立てたまま知らない海流に流されて行く神父。

 ちょっとまて、何やってんだおまえ。


「おい! おい! ふざけんなっ!」


 英気が戻る。波動になって回りに伝わる。

 これには流石の帝種も怯んでいる様だった。


 海流止まれや!

 こんな広大で真っ暗な海に流されたらどうなるか判ってんのか!


 すっかり死に戻りする事すら頭に入っていなかった俺は、ただただ流れ行くクボヤマに縋ろうとしていた。

 そんな俺をリヴァイが止めに入る。


「まて、今は帝種を止めるのが先決じゃ!」


「くっそ!」


 わしも後で追うの手伝ってやるとリヴァイはそう言って帝種に向き直す。

 邪の波動が繰り出されてから、リヴァイの動きは目に見えて遅くなっていた。


「何者かにこの海域に竜脈が汚染されておる…そっちもどうにかせねばならぬのに」


 焦りは禁物だ。

 だが、このパターンは何処かで聞いた事があるな。


「北の大地でもそうだった。その竜脈を守るのはだれだ?」


深海鯨ディープホエールのマっくんじゃよ。応援に呼んどるんじゃが、そろそろ着ても良い時間じゃと言うのに連絡がとれん。万事休すってやつじゃ」


 弱音を吐くな馬鹿。

 ここは俺に任せて竜脈の汚れを払って来い。


「しかしの、また切れたらどうするんじゃ」


「掛け直せるのか?」


 その問いには首を振るリヴァイ。

 どうやら既に魔力が回復しないレベルに到達してしまったらしい。


「なら時間前に終らせるまでだな!」


 そう言いながら帝種を改めて見据える。

 竜の様な巨大な体躯から不気味に光る目が此方を粛々と窺っていて、その瞳には間違いなく理性が宿り行動させている。


 そして魔力供給が追いつかなくなった最初にリヴァイが出した水流の防御壁も霧散して消え去って行く。

 そして戦場から強制離脱させられていた凶悪な魔物達の残りが次々と戦線復帰して俺達二人を取り囲んで行った。


「ハハハ。あの神父に逆らわなければよかったな。人間とはこれほどまでにおろか!!」


 もっともな言葉を魔物から浴びせかけられる。

 考えなければ、この境地を切り抜けれる方法を。


《笑え、少年。逆境であればある程》


 あの男の声が聞こえた気がした。


「ハハハ…ハハハハッ! ハッハッハッハ!!」


 いきなり笑い出した俺にリヴァイが困惑する。

 そしてそれが癪に障ったのか、帝種の魔物は身じろぎをしながら叫び返す。


「なにがおかしい! 下賎が笑うな!」


「言葉を覚えたばっかりの赤ん坊が喋ってるみたいだぜ」


 ニヤリ。

 ぶっちゃけどうしようもない、当たってくだけろ作戦しか今の俺には思い浮かばない。そんな状況でとりあえず笑っている俺は狂気に満ちあふれている様に見えるのだろうか。


「な、何か良い作戦があるのじゃな!?」


 そ、そんなもの……。




「ある!」





 当たって砕けろ作戦だけどな。

 そう心の中で呟くと、どこからとも無く何かの声が聞こえて来た。


《…ォォォオオオオオオン…》









《…オオオオオオオオン…》















『オオオオオオオオン!!!!』








 特大の咆哮を上げながらとんでもなく大きな黒い鯨が一隻の潜水艦を引いてこの空間に突撃して来た。

 帝種の死海蛇は辛うじて急な襲撃を交わしたが、イビルクラーケンは直撃してしまった。そして、噛み付いた鯨と巨大なタコの揉み合いが勃発する。


「マっくんじゃ! お〜い! マっくん!!」


 急に手を降り出す幼女。

 そして引かれていた一隻の潜水艦が近づいて来る。


 中から出て来たのは神父クボヤマと一人の少女だった。


「助かりましたよ。ありがとうございます釣王」


伊㚙留我イカルガの友達の鯨に付いて行ったら貴方が死んだ様に流れて来るんだもの、マリアもワタシも心臓が止まるかと思ったわ」


 伊㚙留我と呼ばれる巨大なダイオウイカが帝種を牽制している。

 マリアは水圧に耐えられないので潜水艦の中で此方を見守っていた。


「そうだ釣王、貴方なら方舟を動かせるかもしれません!」




戦闘描写荒くってすいません。

正月なのでノリで書いてます。

久々の3話更新でした。

もう2回今日中に行けたらいいなぁです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ