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-幕間-韋駄天と吸血鬼

『我の影を倒し者、その身に我が力の一端を。更に力が欲しくば、神の国へ参られよ。その時は我が直々に相手しよう』


《シヴァの子の化身-韋駄天-を討伐しました》

《『agimax』は称号の獲得条件を満たしています》


《韋駄天の称号を獲得しました、これにより一部称号が消滅しました》

《称号の効果により、一部装備がクラスチェンジしました》

《飛翔の衣に仏力が宿り、韋駄天の天衣へとクラスチェンジしました》

《飛翔の草鞋に仏力が宿り、韋駄天の足袋へとクラスチェンジしました》

《飛翔の合羽に仏力が宿り、韋駄天の羽織へとクラスチェンジしました》

《ロングランナーの称号が統合され、消滅しました》

《トップスピードの称号が統合され、消滅しました》


《韋駄天の称号により、韋駄天の守護、スキル韋駄天を獲得しました》

《韋駄天の守護を獲得しました、これにより以下の効果を得ます》

《仏紋:韋駄天の力を扱う際に光る刺青》

《スキル韋駄天を獲得しました、これにより以下の効果を得ます》

《静動合一:瞬時に加速、停止ができる》

《韋駄天の脚:AGI補正極、走行による疲労軽減極》


《スキル韋駄天により、一部スキルが統合されました》

《天駆が韋駄天へと統合されました》

《飛脚の心得が韋駄天へと統合されました》

《難場走法が韋駄天へと統合されました》


《種族レベルが121にレベルアップしました》

《隼鷹の目が、隼鷹じゅんようの心眼に変化しました》

《奇襲と急襲が、先手必勝に変化しました》

《先手必勝が韋駄天の称号により懸待対の兵法に変化しました》


プレイヤー名:agimax

種族:ヒューマン(韋駄天時半仏化)

レベル:121

HP:1300 MP:1300

STR 0 (+70)

DEX 0

VIT 0 (+13)

INT 0

AGI 700

MND 0 (+13)

LUK 0

※職業、装備、スキル補正は入ってないです。

※括弧内は相乗効果ボーナスです。


職業

猟師


武技スキル

韋駄天(静動合一、韋駄天の脚) new

韋駄天の守護(仏紋) new

隼鷹の心眼 new

懸待対の兵法 new

空間把握

アクロバット

短剣術

猟師の三原則(勘、心得、歩法)







「すごいな」


 その一言に尽きる。

 今回僕は、同じギルドのDUOを引き連れて韋駄天クエストの最終ボスを討伐しに来ていた。そして始祖ヴァンパイアというレア種族を持つ彼と共に無事にクエストをクリアした。

 このゲームは信用度と言う物もあって、仏門に入りハンター協会とは別の信用度を上げて、韋駄天のクエストにたどり着くまでが長かった。


 神仏相手に始祖ヴァンパイアはまさに反則だった。

 神を倒す為には神と同等の力を得るしかないというDUO。そして、彼は見事に匹敵する力を得たらしい。


 神父にボコボコにされる姿を僕も一度見ていたけど、恨みまくりだろ。その様子が更に邪悪さをかもし出しているんだけどね。

 ロールプレイ人はかなり強いと呼ばれているが、僕はそんな変態には混ざりたくないな。


 と、言いつつノーマルプレイヤーの中でも大分この世界に溶け込む一人である。

 いつだか、僕らが優勝したプレイヤーズイベント後の公式発表により、リアルスキンモードもノーマルモードも色々な垣根を越えたという形になっている。


 僕はクエストやって、敵倒してってゲームがしたかったから初期固定でノーマルモード。

 このゲーム、今ではリアルセカンドライフと呼ばれる程の一大ゲームになっているようだった。

 ノーマルモードからは、リアルスキンプレイヤーとRIOのNPCが判らない程人々は溶け込んでいたりする。


 いやぁ、武器職人とか職人スキルを鍛えたい人はマジでリアルスキンに行ってみると良いね! オリジナル装備、今かなりキてると思う。

 ま、僕はリアルスキンにしても初期でつまづきそうだからノーマルプレイ専門で行こうと思う。


 今では大分垣根を越えた両プレイモードだからね、何ら不満はない。

 プレイスタイルは半リアル的な感じでヘルプシステムはオフにしている。


「サマエルさんもありがとう。って言っても僕には声が聞こえないんだけどね」


「サマエルも久しぶりの神仏相手にちょっと本気だしちゃったって言ってるぞ」


 DUOがサマエルの声を代弁してくれる。

 僕の予想では、ノーマルプレイではサマエルの力の一端を使える称号が手に入るクエストだったんじゃないかと思う。

 しかも彼等の出会いの発端を聞くと、よくある期間限定イベントクエストで『行商人の呪いの仮面』とかそんな感じだろう。


 イベント潰されたって事?

 あんまり考えないでおこう。


「でもよくこのクエストについて来てくれたね、DUOさん」


「頼まれたからな。Eveには恩があるから、受けた恩は倍にして返す」


「そっか、僕も今日かなりの恩を受けたからいつか返すね」


 その言葉に、DUOさんはフッと鼻で笑って返した。

 ロールプレイすると本当に変態だが、普段はまともなんだよな。


 とりあえず、DUOさん相手に称号の力を試してみる。


「じゃ、いくよ。韋駄天!」


 スキルを発動させると、身体に刻まれた刺繍が光り出す。

 韋駄天へとクラスチェンジした装備が揺れている、まるで力に呼応する様に。


 感想は、身体が凄く軽くなってるけど速さ分の威力はしっかり残っている感じだな。静動合一の効果が凄い、武術の達人が薄皮一枚でピタッと攻撃を止める様に、僕の身体も停止する。

 そして脚を出した瞬間から最高速度になっている為、瞬間移動したという感じだった。


「時止めしてるのにも関わらず、その距離まで俺に近づくなんてかなり速いな。いずれ止まる時の世界も動ける様になるんだろうな」


 DUOさんも絶賛である。

 止まった時の中を動いてるんじゃなくて、時が止まるコンマ数秒の間に行動が出来るという点だろう。


 攻撃に活かせるかというと僕の目が動きについて行けないので、本当に最高速度を使う時なんてエスケープする時しか無いと思う。


 一瞬で空へと走りエスケープ。良い川柳が出来た。


 次は使いこなす為の目を取りに行かなければならないんだろうな。このゲームはクエストもヒントが無いから、それらしい物を選ばないと時間の無駄なんだよな。


 まぁ速さを追い求める為には、必要だろう。

 これが限界速度だとはまだ思っちゃい無いしね。


「それより、俺が殺した始祖ヴァンパイアが魔の軍勢が来る準備をしていたと殺す直前に言っていた事についての調べはついているのか?」


「仏門の関係者に少しは話を聞いてみてるけど、そんなクエストの兆しは無いよ。まず、僕はノーマルプレイヤーだしね」


「そうか、このギルドは情報戦に弱過ぎると思わんか。戦闘力はピカイチだと思うがな」


「なにせノーマルプレイヤーも居るし、その中でもギルマスが能天気で行き当たりばったりだからね」


 自称天才で事ゲームに掛けては本当に天才なのが悔しい。

 リアルスキンモードにしないのかと聞いたら「デブがバレるだろ! あとありゃ異世界であってゲームじゃないから俺はパスだぴょーん」と言っていた。


 いや、キャラメイクが既にデブキャラにしている時点でギルマスがデブな事は皆承知だと思う。


「いや、アイツはリアルでは糞もやしだからな。ゲームばっかりやってるからそうなるんだ」


「え、そうなんですか? 衝撃の事実なんですけど」


 何故、デブキャラにしてんだ。


「男は、このくらい肉付きがあった方が良い。という願望だ」


 そんなギルマスだが、事ゲームに掛けては圧倒的な腕を持つし、莫大なプレイ時間をかけている。平気で今の僕のレベルを大きく上回って来る。

 僕がレベルを1上げる間にギルマスは3くらい上げてる感じだ。そりゃ剣鬼にも勝てる筈だ。


『ゲームは全部レベル命』


 ギルマスの名言である。

 ある意味裏をついて来る様なリアルスキンプレイヤーには圧倒的な高レベルで、圧倒的なステータス補正で勝てるらしい。

 まぁこの手法にも限界があるから、いずれ時がくればリアルスキンにして強欲なデブ商人プレイして、ギルドで作ったコネと財力で一つの国を建国してみたいと言っていた。


 もやしなのに。

 これは秘密にしておこう。


「お前のその速さを活かして、情報集めに回ってほしかったがダメか」


「う〜ん。ノーマルプレイヤーは、基本そう言うイベントは公式発表を待つしか無いからね。もし普通のクエストだったりするんなら、DUOさんがフラグ立ててるからその土地で話を聞くしかないかもね」


 むむむ。とDUOさんは唸りながら動かなくなる。

 サマエルさんと喋っているのだろうか。


「う〜ん。ヴァンパイアの幹部連中は、消し炭にしたからな。残っているのは俺に服従を誓ったヴァンパイアレディやカスみたいなヴァンパイア野郎共しか居ないんだよな。重要な情報を持ってる奴は全部殺したし」


「それでよくプレイヤーキラーになってないのが救いだよね」


「そうだな。プレイヤーキラーではないけど、一部では怪物扱いされてるぞ。ハッハッハ!」


 そりゃそうだ。

 豪快に笑ってる場合じゃないよなー。


暗黒地帯ダークサイドフォードの先って魔界だっけ?」


「いや、魔大陸だ。魔界は暗黒地帯の中でも少し特殊な場所にある」


「あ、行ったの? 何しに?」


「サマエルが旧友ディーテに会いたいと言っていたからな。悪魔達とも戦っておきたかったし」


「へぇ、サマエルさんは会えたんですか?」


「いや、その旧友ディーテも別の魔界に既に移っているようで居なかった」


 サマエルの話をするときのDUOさんは意外と止まらない。

 少しズレてしまった話を、戻す。


「そうなんですね。だったら、魔大陸に直接行ってみて探ってみたらどうですか? 僕と違って魔族的な感じですし」


「吸血鬼は魔族じゃなくて吸血鬼だ」


 魔族ではない。と言い張るそうです。

 何を言ってんだか、元人間の癖に。と思うけど。


 本当にヴァンパイアになってしまうなんてリアルスキンモードって本当に無限代だよね。と思ったら、僕も何気に半仏化するらしい。


 DUOさんは、少し考えるような仕草をすると閃いた様に言った。


「そうだな、俺が直接魔大陸を統べる物に会って聞くしか無い。何より俺の上に立つなんて許せない。この俺が最強であって頂点で居るべきなのだ」


 そして手を引かれる。

 握力強いんだよこの人。


「じゃ、次はお前が俺の手伝いをする番だな」


「いやいや! 僕は仏門ですよ。無理ですって! クエストも無いですし」


「クエストは俺が出す。暗黒地帯を統べる者だからな。直々の依頼、勅命だ」


「いや、魔王側プレイを僕は望んではいないんですよあああああ…」


 振りほどけないまま、僕はこのまま暗黒地帯を目指す事になる。

 そして本当にクエストを出しやがったコイツの勅命を受け、魔大陸の動向を探る為にクエストによって行ける様になった魔大陸へと足を進めた。


 DUOさんの付き添いでな。

 クエスト出した本人が来るっていうね。

 まぁそれも有りじゃなかろうか。


 そんな事より、ヴァンパイアレディ達は綺麗でした。

 クエストを受けると急に丁重な扱いを受けた。


 クエスト、受けっぱなしにしようかな。





仏紋は真言で出来ています。


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