再会と魔法都市
ログインした。
ここからは一人旅である。
当然鍛冶の国にユウジンは残った。
グランツ氏の商会は、グラノフ氏を鍛冶部の顧問に据え、ユウジンが刀匠の技術を伝え更に成長して行く事になる。
なんだかんだ、ちゃんと親子やっているようで安心した。
アダマンタイトの刀剣は、一体どんな物になるのだろうか。
俺も負けない様に頑張ろう。
魔法都市へは簡単に行けた。
鍛冶の国から魔法都市へガラスの材料を運ぶキャラバンに同行する事が出来たから、特にハンター教会から依頼と受けた訳でもなく。
お願いしてみると快く乗せてくれた。
キャラバンの方々に神のご加護があります様に。
そして魔法都市への入国の最中。
俺はあの三人と再会を果たす。
なんとエリー、凪、セバスも魔法都市への入国をしに関所へとやって来ていた。
ちなみに魔法都市と鍛冶の国は、技術的な結びつきが強いのでお互いのやり取りがしやすい様に砦でしっかり審査をする。
と言うよりも、簡易的な中継施設として置かれているに過ぎない。
関税もかからない。
さすが魔法都市。
一体どのような街並になっているんだろうか?
気になる所でありますな。
俺達は共に再会を喜んだ。
「いつの間に戻って来ていたんだ?」
「ハイ、少し前ですが、師匠を驚かせようと思いマシテ!」
俺を驚かせるねぇ。
いや嬉しいけど、嬉しいけど念話くらい入れてくれたって良いじゃない?
おじさんびっくりしたよ。
ラルドも元気そうだ。
なんか鬣が伸びてるな。
前まではもっと爬虫類みたいな顔をしていたと記憶しているんだが、こうして見ると竜種。
ドラゴンと言う物を深く思わせる外観になっているな。
ドラゴンか…。
未だ地を行く竜種にしか見ていないが、このゲームにももちろん居るんだろうな。
飛竜と呼ばれる空の王者が。
いつか見てみたいね。瞬殺されそうだけど。
そう思いながらラルドの鬣を撫でる。
ラルドも嬉しそうに唸る。
可愛いやつだ!
さて入国だ。魔法都市だ。
俺はさも当然の様に竜車に乗り込んだ。
我ながら図々しいなとは思った。
断じんて寂しかったとか、それを表に出すのが恥ずかしかったからとかじゃない。
「あ」
目が合った。
だ、誰でいらっしゃいますか?
「ああ、ハザードさんデスヨ。ほらリヴォルブの」
エリーがそう言って俺の隣に座って来る。
ハザード?ああ思い出した。
顔を隠しているから判らなかったよ。
「ロバストさんは元気ですか?」
「いや実は、まだ連絡してないんだ」
彼は自身の実力に納得が言ってから返そうと思っているらしい。
彼は彼で、自分の進むべき道を見つけ歩んでいるそうだ。
何故、彼がこの馬車に乗っているかというと。
ここまで来る途中の村でオークキングの強襲があったらしい。
その村の防衛で、三人は辛うじてオークキングを倒すのは良いが、村の守りを疎かにしてしまっていた。
焦って村に戻ると、村の回りには死骸となったオークの群れが。
村を守っていたのはハザードさんでした。
そう言う出会いが有り、たまたま目指す場所が魔法都市で同じだからと一緒に行動を始めたそうだ。
「ハザードさんは凄いんですよ。世界大全に乗ってない魔法をどんどん使ってますし、どんどん吸収させて頂きました」
極々自然にハザードさんの隣に座った凪を合図に竜車は走り出す。
なんと、彼はメリンダさんの弟子だった。
そして最終試験に合格して、無事世界へと旅に出たらしい。
ってか魔法とな!?
彼は武器を使っていた記憶があるのだが、魔法の才能もあったのかな。
彼の装備を見てみると、リュックには大量の杖、横には剣が数本立てかけてあった。
おっそろしいな。
ってか凪が居ればオークの強襲くらい村の守りとして機能した筈だがと思っていると。
竜車が走り出してすぐ酔い出してる凪を見て納得した。
肝心な時に使えねー。
ハザードさんに寄っかかるんじゃない!
あ、コイツ吐くな。
関所で食べてたもの全部吐く気だ。
凪の吐きそう、ダメ。の一言で竜車のキャビン内は軽くパニックに落ち入りそうになったが、嘔吐物を迅速に魔法で浮かせ窓から外に投げ捨てたハザードさんの超絶ファインプレーに寄って事なきを得た。
マジ流石っす。
宙に浮くゲロっていかがなものかね…。
そして俺達5人は無事に魔法都市への入国を果たした。
魔法都市は、素晴らしい!
日本で言う首都圏って感じだな。
全ての魔法技術がここに凝縮されていると言った形だ。
人口も多いし、背の高い建物も多い。
かつ、コンクリートジャングルみたいな?
無機質な感じは全くしない。
ファンタジー。万歳。
教会は無かった。非常に残念である。
このゲーム魔法とは、簡単に説明すると。
魔法文字を詠唱し、この世界の神の力を借りるという事らしい。
これは聖書の一節がそのままヒールやリカバリーとしての機能を担う事と同じだな。
まぁ俺もあまり詳しい事は知らない。
ここには魔法を学びに来たんだから。
手っ取り早い方法としては、俺は魔法都市の『グリモワール魔法学校』に通おうと思っている。
色んな所で配布されている魔法学校の資料を見てみると。
なんとハンター協会とも繋がっているらしく。
魔術系のハンターを育成する取り組みの一環として、ハンタークラスと言う物を設けているらしい。
通える時にいつでも通って、魔法講義を受けれるらしい。
これなら、ログイン時間と魔法講義時間のスレ違いに悩まされる事無く無事に講義を受けれそうである。
まるで免許の教習所みたいな感じだな。
俺はこのハンタークラスの入学を決めた。
聖火の発動法を調べなければならないからな。
あと、インテリジェンス系のアイテムの知識を学ばないといけない。
やる事は沢山あるぞ。
頑張らなくては!
それを言うとエリーと凪とセバスも一緒に通ってくれるらしい。
みんな良い奴過ぎる。
だが俺に合わせる必要は無いからな?
ちなみにハザードも通うつもりな様だ。
流石だな。
途中で遭遇した魔物を狩る姿を見せてもらったけど。
流石だ。
もともと大会決勝に上がって来るだけの実力を備えていた訳だし。
それが更に剣と魔法の制限が解除されてから自己流として洗練されて行ってるのが伺える。
彼は魔法戦士と言った形だな。
それもハイレベルな。
相手がDUOじゃなければ、相性の問題等が無ければ俺はノーマルプレイヤーであった時期の彼にすら負けていたかもしれんな。
それだけ彼の剣と魔法は縦横無尽の活躍を見せていた。
さて、魔法学校からそう遠くない宿屋にチェックインする。
因みに魔法都市はみんなカード制になってある。
ハンター協会でも、同じ様なハンターカードと言う物を配布しており、対応しているハンター協会系列のお店であれば利用できると言う物だ。
魔法都市には、それプラス『アリアペイ』と呼ばれる物を利用する事になる。
関所で聞いた。
特殊金属で作られたそのカードは、魔法都市でしか使えないが魔法都市ではスタンダードな立場として扱われている。
グリモワール魔法学校の学生なら、入学と同時に発行されるのだが。
つまり、学生カードである。
と、同時に魔法都市は巨大な学生街なんだな。と思えて来た。
学生カードと称したが、別にアリアペイは簡単に発行できる。
金貨や銀貨の価値がゴルドと同じだったので、余計な混乱をするコト無く両替は終ったしな。
ちなみに、ハンタークラスでもグリモワール魔法学校の設備をしっかり利用できるのかと思ったが、その辺は大丈夫だった。
そして、割りかし自由な校則であった。
なんかちょっとワクワクして来たぞ。
学生か俺!
うきうきするなぁ!
だが入学前に問題が発生した。
俺、あまりお金を持っていなかった。
アリアペイに換金している時に気付けば良かった。
どうしようかと思っていると、ハザードがお金を渡して来た。
「そう言えば、ブレンドと言う男が渡してくれって言っていた。すまん忘れていた」
そこには金貨がそこそこ入っていた。
これは、もしかしたら俺達の利権分の金貨。
もうこんなに堪っていたのか。
エリー、凪、俺でわけた。
ハザードにもお礼として渡す。
俺はユウジンに渡す分も構わずアリアペイにぶち込んだ。
これで一安心だ。
この距離だったらあの鬼野郎にもバレないだろう。
神様のご加護が私にあります様に。
やっとこさ魔法都市に着ました。
行き当たりばったりで書いています。
本日は申し訳ないですが3話更新しか出来ませんでした!




