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神父の戦い

D○OをDUO(デュオ)にしました。

 謎の女の子の正体は、ユウジンとVRゲーをよく一緒にプレイしていたプレイヤーなのだそうだ。

 あ、そうなんだ。と思ったが、ユウジンの言い分は、


「いつも俺のやるゲームを嗅ぎ付けてきて無理矢理パーティ組んで来るストーカーだよ!!!!」


 だ、そうだ。

 無理矢理と言いつつ、パーティ申請に許可を出してる辺り、ユウジンもまだ満更でもない感じかなと思ったのだが。

 彼曰く、許可するまで永遠の申請が来るらしい。


 リアルスキンモードで解消された悩みなのだそうだ。

 うわぁ…。


 それは酷い話しですね。うん。


「ウィスパーも申請も繋がらないし! 友達申請も送れなくなっちゃったし! 師匠いい加減、システム許可出してくださいよ!」


 あ〜リアルスキンモードってそう言うの無いから、システム的に拒否してる設定として見られる訳ね。

 俺、友達居なかったから知らなかったよ。


「絶対しないからな」


「そんな〜!!」


 端から見てれば可愛いやり取りであるが、内情を聞くととても残念な感じがする。

 そんな彼女も、本戦に出場するらしい。

 へぇ、強いんだね!

 でも武技クラスだって、なら当たる事無いね。



 まぁ二人の問題なので俺からは口出ししないでおこう。

 ただでさえ、彼女に威嚇されてるのに。






 さて。次の日だ!

 俺の試合だ。




 今回は、出場者という事で来賓席には行かなかった。

 だが、椅子は未だ残っている。片付けて良いのに。


 E,F,G組の試合は滞り無く終了した。

 F組の金髪逆髪で金色の服を来た体格の良い選手。


『無駄無駄無駄無駄無駄!!』


 とユウジン並みの圧勝を遂げていた。

 D○Oかよ。かなりのロールプレイである。


 彼の後ろで彼の動きに合わせて戦闘していた存在は、おそらくスタ○ドを模した存在なのだろうな。

 精霊なのかな?

 スタ○ドって言うくらいだし。


 もしかしたらリアルスキンモードプレイヤーかもしれない。

 精霊魔法を使える職種はあると思うが、あんな風に精霊を使う奴なんて初めて見る。

 俺の切り札に似ているな。

 いや、あんなに恥ずかしい物じゃないけどね。俺のは。





 思わぬ選手にただならぬ警戒心を抱きながら、H組の予選がスタートする。

 ん〜多種多様だな。

 戦士もいれば、術師、魔術師、剣士、盗賊、弓師も色々。詳細な職業名は判らないし、こんな乱戦で鑑定を使っている余裕も無い。


 とりあえず魔力ちゃんを展開してクロスたそと聖書さんと体術で乗り切るしか今の俺には出来ない。

 ってか返る事の出来ない基本的な戦闘スタイルである。


 狙うのはHP全損ではなく場外。

 相手を削りきる程の火力が存在しないからな。


 クロスを縦横無尽に動かして、追いつめると、巨大化させたクロスでドーン。

 が、今回の作戦である。

 いやはや、武器にしか変形しないと思っていた、クロスだが。

 最近思うままなんだよね。如意棒と化してる。


 これもクロスたんと俺の育んだ愛の証だ。


 で、無事に後二人に残りましたとさ。

 決勝進出は決定してるのだが、どうせなら勝ちたい。

 エリーもユウジンも一位通過してるので、俺も。


 相手は、棒術師と言った所か。

 多分武器は一般的な六尺棒といったところかな、修行僧の服を身にまとっている所を伺うと、なんだか手だれって感じがするが、一体どうなんだろうな。


 ってか武術職ってマジで色んな物があるんだな。


 そう思っていたら、足下に鋭い突きが飛んで来る。

 足を上げて躱す。良く躱した俺!


「あぶねぇ!」


 いかん、ついつい素が出てしまった。

 魔力ちゃんの準備はオッケー。クロスたん、聖書さんいっちょやってやりましょうかい!


 駆け出す。

 腹に突きが来る。


 一番避けづらい所を突くって、経験者かよ。

 こういう手合いはスキルを使わないからな。PSプレイヤースキルってやつで、スキルを使うと手がバレるという。

 ユウジンから教わった事だ。

 もちろん、スキル名無しで、身体の動きだけでスキルを発動するやからもいる。

 そう言った場合、呼び動作で手を読むんだそうだが。


 俺には無理な相談だ。


 クロスを横ばいにぶつけて逸らし、俺も上体を横ばいに反らしてなんとか避ける。

 AGIが低いから接近しないと負け確定なのだ。


 で、俺は相手の武器を掴んだ。

 棒術相手には単純に棒を持ってしまえばいい。


 だが、相手も判っているようで。

 六尺棒を捻りながら俺の手を逃れる。


 だが、六尺棒を引く動作と共に俺も近づく。

 肉薄してくる俺に相手はどう対応するのか。




 延髄に痛みを感じた。一瞬意識が持って行かれそうになる。

 なんだと思って六尺棒を見ると、三つに分かれていた。


 三節棍じゃないか!

 だれだこんな色物武器を作った奴は。

 運営を出せ。

 ぶっちゃけ結構痛かったので、イラッとしてしまった。

 精進が足りんな。


 古来より武器を持ってる相手に接近戦で挑むとしたな何かな?

 柔術だ。

 よし転がせ!

 俺は抵抗する相手を自分の身体ごと大外巻込みで転がしてやる。


「ぐっ!」


 VIT値なら負けないので床に叩き付けられるくらい痛くないし、MND値高いから我慢できるのである。

 武器を手放さなかったのだけは偉いな。

 一瞬怯んだ相手にすかさず寝技を掛ける。


 三節棍が邪魔過ぎる!

 六尺棒だったら地面についてる時点でアウトなんだけどな。


 これをどうにかしなければ!

 三節棍を持つ腕を決める。

 因みに聖書さんで目元を塞いでいます。ナイスサポート。


 で、腕をへし折った感触がした。

 これで感覚ないだろうな。


 声に鳴らない響きを上げている所を見ると、痛覚100%みたいだ。

 さすがロールプレイだ。

 部位欠損ペナルティとしてステータス異常が出てるはずだ。

 右腕はもう仕えまい。


 あとはマウントポジションを取って、相手が降参すれば良し。

 降参しなければHP削りきって勝利だ。


「恐ろしい神父だな。参った、降参だ」


 クロスを構えると相手は降参した。

 よっし。予選一位を勝ち取れた。





 立ち上がった俺は、あ、やってしまったと思った。

 んーでもさ、神父だけど、神父として行動してるけど。


 俺元々前衛職やりたかったんじゃん!

 と開き直ったその瞬間。


 静寂だったコロシアムが一気に沸き立った。

 音が反響して地震の様に会場を揺らす。




「すげーぞ神父!!!!」


「あのSTR極振りの三節棍使い二三郎に勝っちまいやがった!」


「遅過ぎだろ動き! AGI無視かよ! きまってんぜ!」


「きゃぁあああ神父さまああああ神父さまあああああ」


「マジでプレイヤーなのかNPCなのか判んなくなっちまったぜ!」


「プレイヤースキル異常だろ!!!」


「今の所神父要素が服と十字架と聖書しかねーよ!」


「ってかどーやって浮いてんだよそれ!」



 三者三様の叫び声が聞こえる。

 この時初めて色々なプレイヤーと交流するMMOゲームの楽しさを知った。

 単純に試合に勝利した喜びと歓声に完全に調子こいていただけなのだが。


 とりあえず、冷静になって判る事は。

 俺が神父としてずっと生きて行かなければならない事が確定してしまった事である。


 もう隠れられない。











 さて、若干の視線を感じながら来賓席に戻ると、みんな居た。

 いつものメンバーにエリック神父やその他連合国のお偉いさん達に出迎えられる。


「クボヤマさん、良い試合でしたね」


「ありがとうございます」


「お前、やっと感を取り戻したな」


「ユウジン…」


「師匠!」


 エリーは抱きついて来た。

 みんなありがとう。







 ってか、おい。


「まだ予選終ったばっかりなのになんだこの最終回みたいなの」


 エリーの頭にチョップをかます。

 こいつが原因だ。抱きつくな離れろ。

 鎧が痛いだろうが・・・


 あれ、痛くない。



 あ、あの時のワンピースを着てる。

 なら、もうちょっと抱き締められてても良いかな。


「グフフフ」


 おまえ、役得か。これ狙ってたんだな。

 まぁいいや。


 その夜は連合国の方達の懇談会に招待された。

 エリック神父の友人と呼ばれるジェスアル国王が、俺の本戦出場祝いにと開いてくれたの出そうだ。



 ありがたいけど。

 ありがたいけど。


 すっごい肩身が狭いんだよな。

 ってかどうしてこうなった。















 さて本戦である。

 対戦表はランダムだ。


本戦Aブロック

エリー vs ブロウ

Agimax vs ああああ

桃華姫 vs 釣王

ユウジン vs 二三郎


本戦Bブロック

DUO vs 暗黒黒魔導士

鬼塚 vs ハザード

クボヤマ vs そめ助

超絶最強神俺 vs ロバスト




 う〜ん……これは。

 なんて言ったら良いんだろう、ネタネーム以外の奴らもっと頑張れよ。

 ってかこうして見ると俺の名前、だっせぇ。


 自分の名前ながら思う。


 だっせぇ。








『彼、エリックの若い頃にそっくりだな』

『いや、流石にそこまではないと思いますが』


((((どの口が言ってんだ))))



 主人公の試合を見た後の来賓席の様子。

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