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決闘大会前夜と

 ログイン前。

 俺は必殺技の名前を考えた。

 技自体も自分が今出来ることを最大限に発揮したまさに三位一体だ。




 よし。ログインしよ。







 現実時間で12:00時。ログインしました。

 さて、イベントのエントリーは済ませてある。RIO時間で今は、丁度イベントの1日前となっている。

 協会がある所では積極的に教会での礼拝を行っている。

 なんでかって?

 今までは何となく通っていたが、最近では教会を訪れると俺の可愛い子猫ちゃん達が喜ぶからさ。


 すいません。調子にのりました。

 聖書さん、クロスたそ、魔力ちゃんの調子が良くなるんだよね。


 うんうん。今日もいい調子だ。

 エリーから念話が届く。


『師匠! どこにいるんデスカ? 暇だったらワタシと出店でもまわりまセンカ?』


 彼女は私より早めにログインしていたようだな。RIO時間ではイベント前日ながら、ヨーザン州のコロシアム街の大通りは、ものすごい賑わいを見せている。人が集まればこその光景だ。

 で、出店などを出しているのは、ほとんどが料理系の職を持ったプレイヤーである。やっとMMOらしくなって来た!



 待ち合わせ場所に行くと。彼女は鎧姿ではなく、私服を着て来ていた。

 私服なのかは判らないが、アラド公国で買ったのだろう。

 なにげにブレンド商会。良い物を揃えていたからな。


 そんな彼女の格好は水色のアメリカンスリーブのワンピースだ。リボンやフリルが着いていて、そのままドレスとしてでも仕える代物らしい。金髪でエルフの様な顔をした彼女にはとっても似合っている。

 肩にちょこんと座っている雪精霊フラウともペアルックになっていて可愛い。


 俺だって聖書さんとは同じ宗教だもんね!


「師匠! こっちデス!」


 そんな彼女は俺を見つけるや否や、満面の笑みで手を振る。


「待たせてしまったな」


「イイエ! 今着たトコ! アハッ、これは様式美って奴デスネ」


 そして俺達は、出店を一通り楽しんだ。

 これってやっぱりデートなのかな?


「師匠、師匠は何か他に見たいものありマスカ?」


 ん〜そうだな。

 見たいもの、そうだ。飛行船だ。


「飛行船。時間の都合で見れなかった飛行船を見たいな!」


「ではそこへ向かいマショウ!」


 確かヨーザン州のコロシアム街直通の飛行船がジェスアル王国の王都からこの時期だけ出ていたはず。

 コロシアム街のエリアマップの掲示板で確認して、向かう。

 この世界の飛行船ってどんなんだろうな。ノーマルプレイヤーだけで楽しむなんてずるいぞ。ってか運営よ、さっさと各地に飛行船を作ってくれ。

 リアルスキンモードプレイヤーだけ仕えないとかは絶対に無いはず。


 飛行場のゲートをくぐると、そこにあった。




 俺達は二人して言葉を失った。

 作り込まれた世界だということを忘れさせる要素が多いRIOだが。


 この飛行船は別格である。



 浮力は巨大な魔石。

 推進力は空飛ぶクジラだった。



 鑑定する。


空鯨スカイホエール

『悠々たる空の観測者。超希少生物。どこから来たのかは不明。悠々と世界を飛び回り続ける存在』


 シロナガスクジラの空色バージョンって感じ。

 すごいな………。

 運営の技術力がここに極まりって感じだ。

 ノーマルプレイヤー達は、これに乗ってここまで来たのか…。


「いいなぁ」


 そう呟く俺の横で、エリーはずっと微笑んでいた。









 さて、デートは食事まで続く物である。

 だが、食事の後とかは無い。

 彼女はまだ高校生だっつってんだろ。期待するな俺。


 と、言ってもだ。

 出店で食べ歩きをしてしまった俺達はあまりお腹が空いていなかった。


 人ごみを避けて進んでいると。

 小さな喫茶店を見つけた。


 開くと呼び鈴が鳴るドアを開け中に入ってみると、シンプルだけれど作りはしっかりしている椅子とテーブルが数席と、カウンター席。

 カウンター席から正面は、煉瓦の壁に埋め込まれたコーヒー豆をディスプレイしている棚がある。

 お洒落だ。お洒落喫茶だ。

 特にテーブルと椅子の丸みが良い。座り心地が実に良さそうである。

 とことんディテールに拘っているゲームよな。


 コーヒー豆が良い香りである。

 とりあえず席に座っていると奥から丸坊主の筋肉マッチョなおじさんが出て来た。髭がダンディさをかもし出している。


「悪い、こんな日だからウチには客はこねぇと思ってたぜ」


「確かに、あの賑わい様ですからね」


「神父さんがこんな所に何しに来たんだ? 女の子連れてデートかい?」


 デートの単語に、エリーが何故がビクついていた。

 まぁ、落ち着けよ。ここはこう言えば良いんだろ。


「デートですよ。コーヒーをお願いします。エリーは紅茶がいい?」


 とんだ生臭坊主である。

 エリーは紅茶で良いそうだ。


「上手いこと言うぜ。そんな神父様には俺から特別にクッキーのプレゼントだ」


「ありがとうございます。あなたに神のお導きがあります様に」


「っかー! 決めてくれるな、今日は良い日だぜ。最高の一杯を淹れてやんよ」


 ハゲマッチョの淹れるコーヒーと紅茶は格別に美味しかった。

 そしてクッキー、これも最高の味だった。

 何なんだこの店は、名前を聞いておこう。通わなくては。


「とても美味しいコーヒーとクッキーでした。是非また寄りたいので、あなたのお名前を教えて頂けませんか?」


「店の看板読まなかったのか? ってありゃ、裏返ってやがる。だれがこんなことしやがった」


 お店のドアに掛かってる看板を正面に戻す彼。


「ブルーノそれが俺の名前だ。そしてここは喫茶ブルーノだ」


 名前もゴツいな!

 だが味は繊細だ。


「ブルーノさんですねまた来ます」


「おう、いつでも待ってるぜ!」


 そろそろ良い時間帯なので、俺達は喫茶ブルーノを後にした。


「師匠、すごく良いお店でシタ」


「だな」


 エリーと連れ添って歩くのにも慣れていたけど、なんだか今日は一日中緊張していた気がする。

 たぶん私服のせいだな。


「師匠、少し緊張してマス? ウフフ」


「し、してねーし!」


 して無いったらして無いんだからね。

 くそ!なんだよもう可愛いなエリーは。


「ウフフフ」


 今のは若干怖かった。

 夜の出店もやっているとのことなので、今日は目一杯エリーと遊ぶ。

 雪精霊フラウも俺の聖書さんとクロスたんと魔力ちゃんと戯れていたのでご満悦に彼女のポケットで眠ってしまっていた。

 それで良いのか精霊よ。


 それから、寝る前の礼拝と瞑想を行い就寝に着く。

 朝は早めに起きようと思う。で長めの瞑想を行って決闘大会に備えるぞ!















 ちょっと早めに起きるつもりが、夜明けと同時に起きてしまった。

 まだ他のプレイヤーは起きて来てないな。みんなやっぱりこの世界で一日を過ごしているようだ。


 まぁ祭りだしな。

 開会式までに狙ってログインする様な奴は居ないだろう。


 珍しくユウジンも起きている。

 あ、そうだ。俺達が泊まっているのは教会である。


 ラルドと竜車を宿泊させれるだけの空き宿がなかったんだ。

 で、教会裏の空きスペースをたまたま使わせてもらいつつ、教会内の宿泊施設も使わせて頂いてる状態だ。

 ってか是非泊まって行ってくださいと言われたぐらいだったが、流石にそれは世間体的にもな。

 いや、ゲームで世間体とか気にしても、しゃーないんだが。

 なんかこのゲームリアルだから外の目があると思うんだよ。


 主にエリック神父関係のことでな。


 施設使用料としてお布施を払うことによって俺の中で正当化する。

 それでもラルドと竜車を置くスペースを考えると。

 すごい安くしてもらって心苦しい。ふぐぐ。


 で、空き地にラルドの様子を見に行ってみるとユウジンが素振りをしていたのである。

 なんか素振りの音がシュンシュンじゃなくてシャンシャン鳴ってる。

 これはどういうことだ?


「何かおかしくね? その音」


「ああこれ? なんか魔力斬れないかなーって思って振ってたらいつの間にかね」


「魔力斬ってるってこと?」


「そこまではわからん」


 なるほど。なら試してみるか。


「今クロス浮かせてるだろ、それと俺の間に魔力展開してるから振ってみ」


「わかった」


 ッシャン!

 クロスが一瞬ぶれる。


 おお、本当に斬れてる。ってかごめんなクロスたそ!乱暴に扱って!

 あ、許してくれるっぽい。


「斬れたな」


「ああ」


「それだ、今日の大会は無差別部門に出るの?」


「あたりまえだろ」


「うわぁー。俺どうしようかな魔法も斬られたら勝ち目無いじゃん」


「え〜。とりあえず出とけよ。俺とあたる前に負けるかもしれないじゃん」


 彼は、優勝する気であるようだ。

 俺だって出るからには優勝するわい!


「で、何かお前もコソコソと技の開発してるんだって?」


 バレてたか。


「お楽しみだな。俺の切り札だし」


「ま、俺もそれは同じだから。お互い頑張ろうぜ」


 そう言いながら、俺は瞑想、彼は素振りをして精神を戦いへ研ぎすませて行った。









 空飛ぶ鯨って良いですよね。

 いつか乗ってみたいです。夢ですが。


 そういうのがリアルで体験できる技術ないかな。



 書き終わって気付きましたが、MMOしますって言って、全く他プレイヤーとの絡みを出していない所。まずい・・・

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