進路は行ったん北東へ
そういえば。
ありましたよ、意外と早く見つかったな。
冒険者ギルドの代わりになる様な物です。
この世界ではハンター協会というらしい。
とりあえず中央都から出る前にみんなでハンター登録しておいた。
みんないきなりハンターランクDである。
定住しない者にとってはこのハンターランクとは、一種に信用として扱われる。
さておき、ユウジンが言っていたのだが。
近々、ノーマルプレイヤーのイベントが開催されるらしい。
全然知らなかった情報なのだが、ノーマルプレイヤー達は南へ進路を取り、ジェスアルの王都でエリア開放イベントが起きて色んな場所へ行ける様になるんだとか。
基本的な向こうの流れは。
クエストをクリアして行き、始まりの街から王都へ向かい、王都でハンター登録をして冒険のスタート。という形である。
良く出来てるな。初心者プレイヤーもそれで慣れるんだろうな。このゲームに。
俺もそうやってマニュアルに沿って行けば良かったのかもしれないが、まぁ、先に行くべくは魔法都市と鍛冶の国である。
話しがずれたが、イベントである。
対人イベントだって。
要するに公式決闘イベントと言った所か。
ある程度王都まで行ってハンター登録をするプレイヤーが増えたので、その記念として、リアル時間で今週の日曜日にプレイヤーイベントが行われることになったらしい。
で、ユウジンは行きたいんだと。
その対人イベントが行われる国。
『連合国デヴィスマック』へ。
また地図を見に図書館行きかと思ったが。
なんとなんと、公式にデヴィスマックへの行き方が載っていた。
行き方は二通りあって、空路と陸路である。
なんとジェスアルの王都から飛行船が出ているんだと。
乗ってみたいな。
で、陸路はただの陸路だ。
偶然にもアラド公国の隣の国だった。北東へ進路を取るとたどり着く。
今日は金曜日だから今から行けばまだ間に合うな。
急ぎで向かおう。
俺達には良い足も手に入ったのだから。
できれば飛行船というのにも俺は乗ってみたかったんだが、どう考えても始まりの国に戻る時間はない。
因みにドラゴンの素材と交換で、かなり良い走竜種を格安で購入することが出来た。
体高は1.5m、体長は3m。エメラルドグリーンの鱗に蒼い目が特徴だ。
名前はラルドにした。ってか俺が名付ける権利貰っても良いのかな。
で、肝心の人を載せるキャビンは、なんとブレンド商会から頂いた。
頂いた物なのだが。
なんと行ったら良いんだろう。
別に俺は普通の奴で良かったんだけどね。
いや気に入ってるんだけど。
黒を基調に、十字架を連想させるデザインである。
シックでありつつ、どこかしら前衛的な魅力を感じさせる一品。
いや本当に。俺は旅商人の使う荷台の様な物でも良かったんだが。
ブレンド氏によると『既に商会の顔』だそうだ。
ああ、まんまとやられたわけだ!
ふぐぐ、目立つ前に早いとこ退散しておこう。
ハイヤー!ラルド!全速前進だ。
風が気持ちいい。
現在、アラド王都から東への道をひたすら走っている。
今日は、夕暮れまで走るとたどり着くであろうアラド東の国境よりの街へと向かう予定だ。そこで一旦ログアウト。
現実時間の土曜日、ログインしたらアラドとデヴィスマックの国境沿いを北上しすぐの国境の砦からデヴィスマックへの入国を住ませ、イベント会場である決闘コロシアムのあるヨーザン州へと足を運ぶ。
デヴィスマック連合国はいくつもの国が集まって出来た国だ。その背景には世界戦争と言う物があるらしいが、まぁ置いておく。
アメ○カ合衆国みたいなものだね。はい。
そんなことよりも。ランドの疾走感である。
御者席でランドを操るセバスチャンの隣に座り、俺は景色を見ている。
現実世界では味わえないこの景色である。
電車なんかより良い。
走竜種であるラルドの健脚は、とてつもない。
何せ半日あれば国境の街までたどり着くのだ。
二足歩行が良いリズムを奏でている。
あ、イメージが湧きにくかったら、走る恐竜を想像すると良い。
そろそろ日が傾き始めている。
もうしばらく走れば着きそうだな。
日没を背に俺達の馬車は幸先の良いスタートを見せていた。
ログインした。東の国境付近の街である。
あくまで付近なだけで国境にもちゃんと集落や街があるぞ。
ただし、入国審査などが出来るのがお互いの国の使者が駐在している砦状の街なだけである。
パスポートに入国証が押されてないと、不法入国だからな。
逮捕されてしまうから。
最短距離でも行くに行けないのである。
まぁこっちの方がリアリティがあって面白いからいいけど。
まだ集合の時間には早い。
いつもの礼拝をする。
なんだか最近、俺のアイドル達がすごく可愛く思えて来たんだ。
萌絵化って知ってる?擬人化だっけ?
絶対可愛い。
クロスたそも魔力ちゃんも聖書さんも嬉しそうに俺の回りを飛び回ってる。
いや、俺が操作してるんだが…。
ん?どっちだ?
最近その辺の境目が判らなくなって来た。
で、最近出来る様になったのが、無意識回復術である。
前までは、こいつを回復しなければ!と思って狙いを定めない限りヒールが発動しなかったんだが、聖書ちゃんが驚くべき成長を遂げた。
傷を負うをたちまち回復してくれる。自動治療だな。
未だヒール・キュア・リカバリーしか仕えないが、いずれ『聖国ビクトリア』の中央聖都ビクトリアまで足を運び、上級の回復魔法を学ぼう。
さて、皆なんだかんだログインして来たようだし。
出発だな。
先日は時間の関係上、最短距離で国境の砦まで行けなかったので、少し悪路である。それでも普通の馬車より速いけど。
※国境の街は、砦で統一します。
国境沿いの道を少し北上すれば砦に着くはずだ。
竜車の旅では初めての夜が来る。
キャビンの裏手に簡易的な荷台を取り付けている。いや、ドア付きの時点で現代の車の荷台と同じ様な機能である。
そしてもちろん空間拡張が施されているので大きい物まで載せれる様になった。
旅路がより快適な物へと変貌を遂げているな。
荷台のほとんどに食材やら食器やら、狩った魔物の素材やらを保管している。
食材はセバスの趣味だろうな。
飯がさらに美味しく頂けるから、文句は一切無い。逆に満足である。
セバス良くやった。
今日はなんだ。
バーベキューか。
女性陣はもう修学旅行のノリである。
そして、ユウジンは指の間に持てるだけ串を持ち腹に詰め込んでいた。
いや、鍛錬後で腹が減るのはわかるんだが。
対人戦に気合い入れてるのはわかるんだが。
焼けてねーよそれ。生で食うとあたるぞ?
この場合ステータス異常になるだけだと思うが。
あ、ほら。言わんこっちゃない。
さてさて。砦にたどり着きました。
三日かかった。意外と時間かかった印象だ。
ま、悪路だったしな。
それにしても、そんな悪路でさえ一度も交換しないこの竜車の車輪。
一体何出て来ているのか。
上から話しが行っているとかなんとかで、俺が砦を管理している人に挨拶をして、すんなり入国印を頂き、デヴィスマック連合国へと入ることができた。
上からって何だよ上からって。
何にせよトラブルにならずに通過できたのなら良かった。ここで、一悶着有ってイベントに遅れる事になったら、ユウジンが拗ねていたかもしれん。
イベントは時間帯が決まっているからな。
エントリー時間を考えると早めに行っておいて損は無いだろ。
現実時間、日曜日の午後一時より、ヨーザン州のコロシアムで開催される。エントリーは開会式が始まる前なら可能らしい。
さて、ラルドの引く竜車は東への進路を取っている。
道中、足の遅い魔物ならスルーできるので、エンカウント率も低めだ。
最近気付いたんだが、俺の聖書さん。
開くだけでMND増加のバフ効果があるらしい。パーティ単位でね。
ちゃくちゃくと進化している。
クロスたそも《聖十字》という大技を持っているし。
魔力ちゃんは縁の下の力持ちといった形だ。
このクロス。《聖十字》を気に入ったのか、名前を言わないと発動しなくなっている。
なんと言うことだ。
仕留める際に必ず俺は中二臭いこの技名を言わなければならないのか。
その点聖書さんはいい子である。
開けば必ず自動治癒してくれるからね。
イベントが近いからか。
各自各々、技の開発には力を入れているようで、ユウジンなんかは自分の流派の技+この世界で新たに開発した技をいくつか持っているし。エリーは着々と雪精霊との絆を深めている。
ってか一番化けそうなのは凪だな。
世界大全はヤバイ。
アレはマジでヤバイ。
着々と魔力を貯め続けている。
INT値抜かれてる可能性ある。
で、世界の色んな知識をひたすら吸収し続けている。
絶対知らないうちにいつの間にか喋り出してそうだ。俺は驚かないぞ。
俺もなんだかカッコイイ技が欲しくなって来たぞ。
なんか参考になる物無いかな…。
移動回でした。笑
やっとMMOの要素が出て来ましたよよよよ!
平日のゲームログイン時間は大体19〜24時までです。3人には学校が、そしてクボヤマとユウジンにも"一応"仕事がありますので。
土日はかなり長い時間ログインしています。
それが最近の彼等の生活サイクルです。




