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-幕間-女子高生二人のガールズトーク

「凪ちゃん……ちょっといい?」

「え、何? どうしたの?」


 龍峰学園の図書館。


 何やら物々しい雰囲気を身に纏ったエリーは、本の山に囲まれた仕事する気全くない図書委員、凪の所へ来ていた。


 いつもは本の虫で周囲の話し声すら聞こえていない凪でも、恐怖したのかいそいそと本を片付け始める。


 背中に般若を背負っている雰囲気の人が目の前に来たら、そりゃそうなるわ。と凪は冷や汗と共に急いで本をしまう。


 そして、学園内を走るモノレールへと乗り込んで、完全学区と呼ばれるA地区からフードコートで溢れるC地区へとやって来た。


 今居る場所は、生徒会御用足しのスイーツ屋。

 【きんぐすい〜つC地区駅前店】である。


「あの、そろそろそれ止めてくんない? なんか喋り辛いんだけど」

「そうデスカ、申し訳ございまセン」


 エリーはそう一言言うと、大きく息を吸って深呼吸した。

 それだけで今まで纏っていた雰囲気が取っ払われて行く。


「で、なんなの?」


 安心して溜息を吐いた凪が少し覚めてしまったコーヒーを飲みながら、ようやく本題をたずねる。


「師匠成分が足りナイ、足りナイのデス!」


 甘い者を豪快に頬張る奴がよく言うわ。

 と目の前て高速で減って行くデラックスサンデーを見ながら凪は心の中で思った。


 無論、口には出さない。


「あたしさ、絶対久保山先生童貞だと思うのよね」

「!? ゴホッゴホッゴホッ!!!」


 凪の爆弾発言にエリーが咽せる。


「あれ? 海外ってこういうの結構ルーズなんじゃないの?」

「性教育は日本で受けてマス!」


 エリーもそれなりの感性を持っている。

 一般的な日本の女子高生からすれば、お固い家柄故に少しかっちりとした物であるが故、凪の急な話題にむせ返ってしまったのだ。


「そっちだってハザードさんはどうなったのデスカ!?」


 凪のテンションが急降下して行く。


「……何かあるわけないじゃない」


 悲しい事に、その一言が全てを表していた。


「ああ、すいまセン」


 エリーも何となく謝る。

 気になる男性はみんなゲームゲームゲームゲーム。


 確かにRIOにはハマったけれど、一日中どっぷり浸かる程。

 日本の女子高生は暇では無いのだった。


「デモデモ! この時間の浪費が! 師匠にまた悪いムシガ!」

「あー、その点私は大丈夫よねー」


 引き蘢りだし。

 と、言ってて凪は悲しくなるのだった。


 エリーは横目で、少し前まではあんなネクラ!と罵っていた凪の事をとんでもない奴だ。と思う。


 凪も凪で、クボヤマの家に突撃したエリーの事をコイツはヤベーと思っている。


 お互いがお互いそう思っている事を知っているが故に。


「ぷくくく、あっはっはっは!」

「何でしょウネ! このやりきれないカンジ!」


 笑い合うのだった。


 女子高生みたいな会話を繰り広げられている様に見えて、実際の所二人とも曰く付き物件だったりする。


 一人はオッサンマニアと影で言われていたり。

 もう一人は本と結婚するんじゃないかと思われていたりする。


 学業と僅かなプライベート以外は、RIOの世界に浸っている為に、一般の女子高生からすれば十分イモ評価。


 総生徒数二万を越える超マンモス校である龍峰学園は、分母がでかい分変態の数も多い。それ故に、二人は意外と順風満帆な学生生活を送れるのであった。


「そう言えば藤十郎が、そろそろ面倒な事になりそうだから来てくれって言ってたわよ?」


 コーヒーだけでは足りなかったのか、凪は【手頃パンケーキ】を注文しながらエリーに話しかける。


「それは貴方にもデショウ?」


 あ、私はアイスティーで。とエリーもついでに頼む。


「私がテスト期間に入ってすぐ、師匠は旅に出たんでしタッケ? 今頃どこほっつき歩いてるんデショウ?」


 RIOと現実での時間軸はかなり違う。

 テスト期間は合計三日。


 完全学区と呼ばれるA地区では、期間は決められているが『授業を確り聞いていればテスト勉強する必要なし』と言われていて、テスト勉強期間が全くない。


 そして休憩を挟む間もなく、普通の授業を行うかの如くテストが6〜7時間ぶっ通しで行われるので、その分早く授業が終わり、空いた日数を更に特別講話に当てる事が可能となっているらしい。


 要するにキツキツのスケジュールで授業が進んでいる。


「なら、今夜当たりログインしてみる?」

「ソウデスネ! そろそろフェンちゃんとフラウに会っておかナキャ!」


 少し間を置いてエリーがたずねる。


「因に、魔大陸ってどういくんデシタッケ?」

「うーん、ここで話すよりさっさと帰ってログインして話す方が大きく時間が取れるわね。そうしよっか」


 二人は急いで会計を済ませると、足早にモノレールに乗り込んだ。

 流石駅前店、行きも帰りも楽勝なのであった。


「そうだ、テレポートって使えマスカ?」

「んーアイツ(・・・)に教えてもらった空間魔法をウィズに解析してもらってたんだけど、また特殊らしいのよね。でも多分出来ると思うわ」







 重大なミス。

 セバスの本名は御門藤十郎なのですが。


 ゲームキャラ名で藤十郎と使っている奴が居る。

 そんなこともあるか。


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