雪精霊フラウと中央都。
ログインした。
ユウジンと凪がまだ来ていないな。
さ、礼拝しよう。
魔力ちゃんを展開させふわふわさせる。
俺の回りを踊る様にクロスたそと聖書さんを浮かせる。
ん〜魔力ちゃんはクラス委員で、クロスたそはクラスのアイドル。
そして聖書さんは生徒会長。完璧な布陣だ。
宿の扉をノックする音がしてエリーの声がする。
「師匠、もういらっしゃいマスカ?」
彼女もログインしたらしいな。今集中してるから後にしてほしい。
とりあえず扉の前に立たせとくのもあれなので、クロスを使って鍵を開ける。
もう一人部屋くらいだったら自分の魔力で覆い尽くせるようになった。
俺のMPの量は結構多くなってるんだろうな。強度は相変わらず紙だけど。
あ、いや。クロスたそにお願いして開けてもらった。
今、拗ねる様な意思を感じたぞ。
「この部屋は、スゴク清められていマスネ。落ち着きマス」
彼女も俺の魔力を感じ取っているようだ。
窓前の椅子に座って一緒に瞑想を開始する。
あら?なんだか違う存在が居るな。
彼女の回りをふわふわと、漂っている存在が居る。なんだかとんでもなく神聖な感じだ。
これはまさか。気になって目を開ける。
目をつぶって瞑想するエリーの回りを、薄い青色の妖精が聖書を持ちながら飛び回っていた。妖精さんだ!
「エリーそれは」
思わず目を開けて聞いてしまう。
「これは、ワタシの産まれた地域に伝わる雪の精霊デス。これで師匠と同じデスネ」
嬉しそうに彼女は言う。俺の真似をしているのか。
なるほどな。
なんとも、才能から察して、然もありなんといった形だな。
精霊とは純粋な心を持っていなければならないはず。
純粋にロールプレイを追う心でもあり?
まぁそこらへんはどうでも良いか。
俺達はアラドの道をどんどん進んで行った。平原が多いという事は森が少ない。主に平原生息の野生動物ばかりを狩り進んだ。
だが、未だに野生動物と魔物の違いが判らない。
魔石が有る無しかね?
で、少ない魔物と広大な耕作地域によって、思ったより俺らの足は速かった。
ほぼ一本道だからね。
そして、思ったより早く中央都にたどり着く事が出来たのであった。
恒例のごとく、門番が居る入り口の詰め所はブレンド商会のあの人が渡してくれた証書を見せると一発OK。
とくに何も言われる事無く。入税を取られる事なく終った。
っていうより、どの街でもこの証書を見せると大概が大丈夫だった。
恐ろしい。使った分だけお金請求されるとかないよね?
流石にそこまでダイヤルアップしてないだろこの世界。
未だナローバンドですら無いんだぞ。
さて、街。というより都へたどり着いた俺たちは、集合時間を決めて各自各々の行動を取り出す。
とりあえず俺とエリーは教会へ向かう。
ここの教会は立派だった。
確か図書館で読んだ本によると大陸ごとに宗教があって、統一されているらしい。
単純に一つの大陸に一つの宗教だとか。まぁ例外はあるけどね。
別大陸に渡る事が無い限り、教会での祈りは続けられる。
まぁ俺の事だ、別大陸に渡ったとしても勝手に祈っている事だろう。
祈りが終ると。俺はブレンド商会へと足を運ぶ。
中央都は、市民街と貴族街という風に簡単な区画分けがされていて。
ブレンド商会の本店があるのは、貴族街でそれもそこそこ一等地なのである。
ぶっちゃけると、商人なのに貴族街に本店構えるなんてぱねぇっす。
そう思った。
これまた貴族街に入るには厳しい審査が有って、一般市民が入ると問答無用で鞭打ちの刑になるらしい。門番の人にそう聞かされた。
世知辛いかもしれないが、スラム街が無い時点で、この国を動かす人は有能なんだろうな。まぁ広大な農地があるだけで豊かさは約束されたもんだしな。
この国の食料自給率はどれくらいだろうか。
証書と俺の出で立ちが神父だと言うだけで、貴族街にはあっさり通された。
やっぱり宗教って強いな。
で、一緒に来ていたエリーも神父を護衛する騎士として入る事が許可された。
貴族と言えば騎士を持つものである。そこら辺に駐在する騎士が居るので参考にでもしたらどうだろうか。
さぁ、途中道が判らなくなってしまったが、騎士の方に聞いて案内してもらった。
そして道の端をコソコソと歩いていたら、特にそんな規則はないそうだ。
あれ〜。
ファンタジー小説を読んでいると、貴族って見栄っ張りだと言う凝り固まった先入観に捕われてしまっているようだ。
で、ついた。商館というより普通に豪邸なんですが。
証書を見せると中へ通される。
ステンドグラスがわんさかあって。
教会よりも立派なんですが。
調度品が美しく並べられている。黄金比だな。
絨毯がふっかふか。ブーツで歩いていいのかなこれ…。
とんでもねーな。精神年齢低い感想しか湧かない。
グラフィックは然ることながら、この辺までしっかり作り込まれているなんてな!
「いやいや、お待ちしていましたよ! 神父様」
応接室だろうか。とんでもなく広いしとんでもなくグレードの高そうな調度品が配置されている部屋へ通されると。
見たことのある顔が私を出迎えた。だが、あの時の露天商みたいな格好とは違って、綺麗な服に身を包んでいる。
ってかこの絨毯虎の毛皮だな。この顔、キラータイガーに似ているな。
「いえいえ、遅くなって申し訳ないです」
「いえ、此方の予想ではもう少しかかると思っていたものですから」
「道が良かったのでね」
「確かにそうですね。良いでしょうこの国。生きて行く上で必要な物がそろっていますからね」
旅の世間話と行った所か、彼も色々な場所へ飛び回っているので判るのだろう。
「それで、私をここに呼んだ理由はなんですか?」
いきなり本題を打つける。
こういう手合いには、直接攻撃に限るな。
こんな大物が初めの街に居たことすらおかしいし、凪の目を引く本を扱っていたこと自体が怪しいし、俺に証書をくれた所とかね。
結論、全てが怪しい。
「そんなに疑わないでくださいよ」
「いや、いささか不明な点が多過ぎると思いまして」
「ご理解されてましたか。エリック神父を知っていますか?」
知っているとも。何も知らない私を導いてくれた人だよ。
「おお! 噂は予々聞いていましたよ。あのエリック神父が弟子を取ったとか。で、私も古くから付き合いがある方なので、その弟子様になんとかお力添えできればな。と。そしてあなたには閃きが存在しているそうで、そのリュックと呼ばれる荷袋。是非私の商会でも販売できる許可を下さい」
別に許可とかそんなん無いけどな。
始まりの街で作ってもらっただけだし。
ってか、ああ。狙いはそこね。
まぁ別にいいんじゃない?文化レベルが上がれば上がる程俺らには居心地が良くなる訳だし。
それにリュックくらい有っても良い。後続のRSMPの助けになれば。
あ、なるほど。これって俗に内政チートってやつ?
異世界知識ってやつ?ログイン前に丁度そういう類いの小説を読んでいた。
最近はもっぱらネット小説である。みんな素晴らしいアイデアだね!
思わずぐーぐ○くろーむのお気に入りが増えてしまったよ!
とりあえず本題。
「そのくらいでしたらご自由にどうぞ。私はその辺の権利はどうでもいいので、ただ私たちの旅の足になる何かがあれば、ご融通して頂けないかと思っています」
竜車だ! 出来るだけ竜車を勝ち取るぞ。
と、ここでエリーが口を挟んだ。
「ダメデス師匠。良いアイデアにはそれに伴う対価を貰わなケレバ! 経済バランスが壊れてしまイマス」
ええー。その辺の話しはあんまり判らないよ。
基本的にセバス任せだったのでね。
「なるほど、護衛の騎士様は本質が判ってらっしゃる様ですね」
「ハイ。ワタシは師匠の騎士でアリ。ワタシの仲間達はそれぞれ神父様のサポートをしているのデス。ワタシ達の中でもこう言ったコトを担当して居る者が貴族街へ来れないノデ、その話しは後日改めマショウ」
この子強い。なんて強いのかしら!
もしかしたらただの旅商人のおっちゃんとしか思ってないのかもしれんな。
「その方が良い様ですね。神父様、私は商人で誰とでも対等な取引をさせて頂いてます。それが私の座右の銘でもありまして、この商会の銘でもあります」
はぁ、それは最もだね。
君の商会はこれから伸びるよ?多分。
「商人は施しを受けませんから。私は神とでも対等に取引を望みます」
そりゃすごい。
「まぁ、それをエリックに言った時。彼には笑われましたがね。笑われましたがやってみると良いと言われました。我が永遠のライバルですよ彼は」
神父のことを呼び捨てか。かなり古い付き合いなのかな。
ってかライバルとかジャンルが違うだろ。
商人vs神父とかどういうことだよ。
まぁある意味商売も『信者』を集めることが『儲』に繋がるからな。
神父の纏う雰囲気からしてあれは隠居だ。
エリック神父の圧勝である。
あ、もちろん贔屓気味に見てるよ?
で、そろそろ時間も遅いという訳で、明日一般街の商会にてもう一度煮詰めることになった。
セバスに任せよう。彼だったら最善の落としどころを見極めてくれる。
彼には酷だが、ログアウトじゃなくて一晩寝て過ごしてもらう。
ログアウトするとどうしても時間がずれ込んでしまうしね。
旅路の出発時間は、現実時間でログイン時間を決めてから、集合時間をRIO時間で決めて行っている。
基本的にNPCから話しかけてこないノーマルモードはおかまい無しだが、向こうから話しかけて来るリアルスキンモードは、そういう大事な予定があると、いささか不便だな!
日間ランキング笑ってしまった。こんな駄文ですが、読んでもらえて嬉しいデス。話しがある程度進んだらそれなりに人が増えて来たらVRになって来るんで。ご安心ください。
書き方を少し変えてみました。改行多めです。見やすさ的にはどうですかね。
気に入った物は即お気に入りに入れてしまうヤツ。
そして無駄にブックマークだけ増えて行くヤツ。
それを整理しない、消さないヤツ。
クボヤマはそんなヤツ。




