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白い匂いが消えるまで

作者: まる。
掲載日:2026/02/09

僕は黒、猫です。

お母さんは白。

雪の様に真っ白な猫から真っ黒な僕は産まれました。

最近お母さんの体調が良くないみたい。

ご飯もよく残している。

お母さんは心配しないで、大丈夫だからね、と言うけれど苦しそうな顔をは全然大丈夫そうじゃない。

ある日お母さんはどこかへ行ってしまった。

しばらく姿を見ていない。

僕達の体調が悪くなるとご主人が連れていく場所がある。

そこは嫌な匂いがして、他にもいる動物達の阿鼻叫喚が聞こえてくる恐ろしい場所だ。

チクっとする痛いやつをされる時もあって本当に行きたくない。

でもそこへ行くと必ず元気が戻ってくる不思議な場所でもある。

お母さんはきっとそこにいるのかもしれない。

ある日ご主人が泣いていた。

理由は分からないけど、何か悲しい顔をしている。

ご主人は泣き虫なのでこうやって時々泣いている日がある。

またいつもの事だろう。

でも何故だろう。

なんだか今日は僕も悲しい気がする。

とても寂しい。

きっとお母さんに会えていないからだ。

早く帰ってきて。


ご主人が泣いていたあの日から数日。

まだお母さんは帰ってこない。

あちらこちらにお母さんの匂いはあるけれど、少しずつ弱くなっている。

今日は少し変わったことがあった。

いつもの様にご主人がご飯を用意してくれたのだけど、今日はお母さんの分のご飯も用意してある。

きっと今日お母さんが帰ってくるのだろうとワクワクする。

実はもう帰ってきていて、別の部屋にいるのかもしれない。

いつもよりも早くご飯を平らげ、家中を探し回る。

でも見つからない。

どこにいるのかな、まだ帰ってないのかな。

チャリンチャリン。

聞いたことがある音、いつも聞いている音。

お母さんの首輪の鈴の音だ。

気配のする方に行くと少しだけ開いている窓から外へ出ていく、お母さんの姿が見えた。

やっぱり帰ってたんだ。

安堵感と喜びで気持ちがいっぱいになる。

今日は久しぶりに何を話そうか。

そう思いながらお母さんの出ていった窓から外を眺める。

今度は僕の体調が悪くなる番かも。

お母さんの匂いがしないや。

今日も僕は日課である外の観察を続ける。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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