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心霊写真が撮れちゃった

 衣替えというささやかな変化はあったもののいつも通りの学校生活が続いた。ユウちゃんつきで。


 最初は自分にしか見えないユウちゃんが気になっていたトオコだが慣れてきて挙動不審になることもなくなった。

 ユウちゃんも最初ほどキョロキョロはしなくなった。でもやっぱり何だか楽しそうにしている。

 学校大好きだったのかな。


 「ね、日曜なんだけどさ」


 そうだ、今週末はトモちゃんアサミちゃんと街に遊びに行くのである。


 「弟にドーナツ欲しいって言われたの。寄っていい?」


 と、トモちゃん。トオコも知っている小五の弟がいる。


 「いいねドーナツ。私も買おうっと」

 「じゃあ私も!」


 前からおおまかな予定は決まっていた。九時五十四分着の電車で行く、乗車時間は約三十分。午前中は駅前のゲームセンター、昼食はハンバーガー、午後は駅近のCDショップ、本屋などのお店巡り。それにドーナツ店が追加された。駅ビルに入っているので最後になるだろう。


 テレビCMで有名なドーナツチェーン店はトオコたちの住んでいる町にはない。ハンバーガーショップもゲームセンターも車の距離である。都会では当たり前にあるお店に行くだけでも楽しみなのだ。


 日曜日、集合場所は最寄駅。駅も車の距離だ。自転車でも行けないことはないけれど、あいにく雨だったので三人とも大人に送ってもらった。


 「ちょー最悪! せっかく遊びに行くのに雨なんて」


 とアサミちゃん。文句を言っているが傘はお気に入りのだ。可愛いピンクの花柄の傘。


 「一日雨かなあ、ドーナツの箱濡れたらやだな」


 とトモちゃん。濡れてしまった袖をハンカチで拭いている。

 他の人といるときは話せない、を守ってついてきているトオコにしか見えないユウちゃん。

 ボックスが席が空いていたので三人で座っておしゃべりする。空席の部分にユウちゃんも座っている。幽霊を見ることができる人なら、この光景は仲良し四人組に見えるかもしれない。


 最初の目的地のゲームセンターに到着。一番の目的であるプリ●クラに向かう。すでに何組か並んでいた。高校生グループに小学校高学年くらいの子たち。みんな女子である。

 少し待ってトオコたちの番になった。代金三百円、三人でワリカンで一人百円ずつ。


 「このフレームかわいい」

 「こっちもいいよね」

 「迷う、どうしよう」


 ワイワイやっている三人をユウちゃんは不思議にそうに見ていた。

 なんだろう、この機械。ゲームセンターはよく知らないけど他のゲーム機と全然違う。

 ちょこっと顔を出してみる。機械が何かしゃべって三人がポーズを決めている。

 写真かな?でも知ってるカメラとは全然違うなあ。知ってるカメラってどんなだっけ。


 印刷されたものを見たトオコはギョッとした。三人の後ろにユウちゃんが見切れている。

 心霊写真撮れちゃったよ…。


 二人はどんな反応するだろう、知らない子が写り込んだとか無理あるし。大騒ぎになっちゃうのでは。


 「うわ、目つぶってる!」


 とアサミちゃん。ブレてしまうのと並んでありがちなことだ。


 「じゃんけんして勝った人が六枚でいい?」


 と提案するトモちゃん。一回の撮影で十六枚のシールになって写真が出てくる。三人だと等分はできない。

 って、二人とも普通だ。トオコと同じものが見えてたらこんな反応にならないはず。

 写真でもユウちゃんはトオコにしか見えないらしい。そんな心霊写真ってあり?


 後でユウちゃんに話を聞いたら、三人が何をやっているのか気になってのぞいてみた。それがちょうど撮影のタイミングだったようだ。


 平成を知らないユウちゃんは当然プリ●クラも知らない。元々撮る予定だったのだから説明しておけばよかった。

 プリ●クラのあとはクレーンゲームをやってみた。トオコとアサミちゃんは全然取れなかった。

 トモちゃんは上手くていくつかぬいぐるみをとっていた。


 「コツがあるんだよ」


 教わってやってみたらなんとか一つだけ取れた。欲しいのじゃなかったけど。


 お腹が空いてきたのでハンバーガーショップへ、雨とはいえ昼時だけあって混んでいる。

 プリ●クラじゃんけんの勝者のアサミちゃん(目つぶったの六枚は嬉しくない)が席確保、トオコとトモちゃんでランチセットを注文しに行く。中学生のお財布にも優しいお値段で助かる。


 お昼ごはんの後はCDショップへ。アイドルのヒットソングやヴィジュアル系バンドの曲などいろいろな音楽が流れている。

 試聴機で気になる曲やお互いのおすすめを聴いてみる。いろいろ試聴したけれど、お小遣いは有限なので買えるものには限りがある。まだ他のお店も行くし。


 「さっき聴いたのよかったな。お金に余裕あったら買ったのに」


 と言ったのはトモちゃんだ。音楽はいろんなジャンルが好きでその中から買うものを決めるのが大変らしい。決めたものだけ買うあたりしっかりしている。


 CDショップを出た後は本屋で雑誌や漫画、大きな文房具店で可愛いペンやノートを見たり買ったりした。

 三人についてきたユウちゃんはどこのお店でも珍しそうにしていた。初めてトオコの学校に行った時くらいに。

 ハンバーガーショップとかない時代だったのかな、今でもトオコの地元にはないし時代とは限らないか。

 CDショップは流行歌の入れ替わりは激しいからそのせいかな。CDの前の世代という可能性も。

 本屋や文房具店なんかはそんなに変わらなそうに思える。

 今日寄った場所は、ユウちゃんの知ってるものと違ったのだろうか。


 「よかった、ドーナツ買えたね」


 予定通り最後にドーナツを購入した三人。家族の分も買ったのでそれなりの量である。特にトモちゃんは一番大きな箱になるほど買った。


 「ドーナツ買いに来たみたいだね」


 と笑いあう。おしゃべりをしているとあっという間に地元駅に到着する。

 みんな迎えがきていたので解散してそれぞれ家族の車に乗り込んだ。

 トオコの迎えはお父さんだ。助手席にトオコ(後ろの席にユウちゃん)が座る。


 「お!ドーナツか、美味しそうだな」

 「うん、お土産。ご飯の後に食べよ」


 トオコは反抗期と言われる年齢だが父親が嫌いになったりはしなかった。まあまあ仲が良い。洗濯物は分けて洗って欲しいけど。


 自宅に着くとちょうど晩御飯の時間だ。トオコの買ってきたドーナツがデザートになった。


 「あれ、ドーナツ一個多いわよ」


 とお母さん。遠野家は四人家族であるがドーナツは五個だった。


 「食べたいの一つに決められなかったから二つ買っちゃった」

 「今日は一つだけね。残りは明日にしなさいよ」

 「はーい」


 実は選ぶときにユウちゃんの分もカウントしていた。一緒に食べらるような気がしていた。

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