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撮った写真と撮りたかった写真

 ポニーテールの女の子がカメラを庭の植木鉢を置いている棚の端に置いてタイマーをセットし、もう一人の女の子の横に移動する。


 「はいチーズ!」


 シャッターの切れる音がする。


 「上手く撮れたかな?」

 「現像してのお楽しみ! できたら持ってくるよ」


 チズコとユウカが写真を撮ったときの記憶だ。大人になったチズコが探していた、ユウカには渡される

ことがなかった写真。


 「うん、チズちゃんとの写真楽しみにしてる」


 体の弱いユウカだが、今日はとても楽しそうだ。

 チズコの家は明日からお盆で忙しくなる。親戚がくるしお坊さんもくるしお墓参りもするし。

 一方ユウカは明日、両親が迎えに来て家に戻るという。お盆休み明けに病院にいくので両親が休みのうちに迎えにくるそうだ。


 この夏休みに会うのは今日が最後だろう。次に会えるのは冬休み?このあたりの冬はユウカには寒すぎるだろうか。じゃあ来年の夏休み?せっかく仲良くなったのに一年後は遠い。


 二人がおしゃべりをしていると玄関の方から何やら声がする。チズコには聞き覚えのある声だ。


 「チズちゃん、トオコちゃんが来てるよー」


 上のおばあちゃんがそう言いながら幼い女の子を手をつないで連れてきた。


 「ちいちゃん!」

 「え、トオコ一人できたの?」

 「うん!」


 驚くチズコと得意げなトオコ。お盆の準備をしている大人たちの目を盗んで来てしまったらしい。本人は遊びに出かけただけのつもりのようだが。


 「ちいちゃんおともだちと写真とるんでしょ。トオコもー!」


 兄(トオコ父)のカメラを借りるときの会話を聞いていたらしい。


 「ユウちゃんごめんね、これ姪っ子のトオコ」


 突然やってきてしまった姪っ子を紹介する。ユウカは楽しそうに聞いている。


 「ちいちゃんなんだ」

 「まだ『チズ』って言えないんだよね。それでちいちゃん」


 幼いトオコはチズコをちいちゃんと呼んでいた。


 「はじめまして、ユウカだよ。トオコちゃんもいっしょに写真撮る?」

 「うん!」


 元気にうなずくトオコ。チズコが兄に借りたカメラをチェックする。


 「あ、フィルムもうない。今日は写真撮れないよ」

 「えー」


 あからさまに残念がるトオコとひっそり残念そうなユウカ。


 「また今度三人で撮ろうよ」




 夢を見た。いつもより長いチズちゃんとユウちゃん、と私の夢。私はユウちゃんに会っていたんだ。小さいころ、チズちゃんのことちいちゃんって呼んでたんだっけ。


 夢を見た。いつもより長いチズちゃんと私、とトオコちゃんの夢。私はトオコちゃんにも会ったことがあったんだ。チズコちゃんをちいちゃんと呼んでたのはトオコちゃんだ。それがかわいらしくて印象に残っていた。


 夢を見た。私とユウちゃん、トオコの夢。そうだあの写真を撮った後にトオコがやってきて三人で撮ろうって言ってたんだ。でも撮れなかった。

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