ポリティカルフィクション レヴュー集
(漫画)
◎銭ゲバ
(ジョージ秋山)
酒浸りで遊び人の父と重病を抱えた病弱な母の元に生まれ、極貧の中で育った蒲郡風太郎。碌に治療も受けられず死んだ母を見て、金の為なら人殺しやレイプ等も辞さない銭のゲバルト、「銭ゲバ」になる事を決意する。大人になっても極貧生活を送り、やがて職を失う風太郎。然し、新たな就職先としてある造船会社に潜り込んだ事で、其処で金を奪い尽くし、犯し尽くし、殺し尽くす!其して県知事に迄上り詰めた風太郎だが…。
鬼才・ジョージ秋山が描いた傑作。幸せとは…?
TVドラマ(出演:松山ケンイチ、ミムラ、木南晴夏、柄本時生)にもなっている。此方は時代に合わせて、現代風に脚色。県知事就任編は略されてるものの、概ね原作通り。古い作品を現代風にアレンジしつつ、原作の雰囲気そのままに描き切っている。然し登場人物名の一部変更はしなくても良かったんじゃないかなぁ?
◎沈黙の艦隊
(かわぐちかいじ)
日本初の原子力潜水艦「シーバット」の艦長となった海江田四郎。然し、海江田は乗員と共に反乱を起こし、原潜国家「やまと」として独立を宣言する!日本では「やまと」への賛否を巡り、政軍分離を掲げる新民自党・竹上登志雄、日米同盟堅持を掲げる日本民自党・海渡一郎、世界社会主義を掲げる革新連合・河之内英樹、軍備永久放棄を掲げる日本鏡水会・大滝淳が激論を繰り広げ、国論を四分していた。其して衆院選、通称「やまと選挙」が行なわれ…。
連載当時、国会で公明党・山口那津男が石川要三防衛庁長官に「此の作品を読んだ事があるか」と質問した程話題になった作品。やまと選挙は「結果はどうなる!?」と非常にワクワクした。
OVA(出演:津嘉山正種)、ラジオドラマ(出演:風間杜夫)、実写映画(出演:大沢たかお)にもなっている。実写版は今後選挙の描写も出てくる模様。
◎メドゥーサ
(かわぐちかいじ)
大物政治家・榊龍太郎の養子である龍男と、龍太郎の実の娘で龍男の義妹である陽子。龍男は民自党の改革派代議士、陽子は新左翼活動家を経てパレスチナ解放運動の闘士となる。嘗ては恋人として惹かれ合うも、政治的理想の為に袂を分かった2人。2人の運命は…。
「沈黙の艦隊」と同時期に、かわぐちが執筆していた政治漫画。政治的理想とは何なのかを考えさせられた。然し2つの大作を同時連載してた作者って凄ぇな!
◎票田のトラクター
(原作:ケニー鍋島、作画:前川つかさ)
1964年、東京オリンピック開催の年に生まれた主人公、筒井五輪。ひょんな事から国会議員の秘書となり、政界の裏舞台で活躍する。
小沢一郎に近い政治ジャーナリスト、渡辺乾介が「ケニー鍋島」のペンネームで原作を書いた政治漫画。主人公・五輪のモデルは、小沢の秘書で後に代議士となった高橋嘉信。政権与党の裏側を詳しく描いた作品。派閥抗争等の話が好きな人は楽しめるかも。
「レッツ・ゴー!永田町」(出演:石橋貴明、辺士名一茶、柴咲コウ)のタイトルでTVドラマにもなっている。登場人物が実在の政治家そっくりで話題になった。
◎サンクチュアリ
(原作:史村翔、作画:池上遼一)
極限状態のカンボジアから生還した2人の少年、北条と浅見。高校の時に「表と裏でトップになる」と決め、北条は高校を中退してヤクザの道へ、浅見は東大を卒業して政治家の道へとひた走る。
史村翔(武論尊)原作のヤクザ&政治漫画。北条と浅見の友情が男臭くも熱い。其処に池上遼一の濃密な絵が華を添える。政治的議論は主に首相公選制について展開。
OVA(出演:速水奨、中田和宏、土師孝也)、まんがDVD(出演:平田広明、井上和彦、大塚明夫)、映画・Vシネマ(出演:永澤俊矢、阿部寛、中村あずさ)にもなっている。
◎百年の祭り
(たかもちげん)
新潟選出の自民党重鎮議員・倉塚の秘書を務めていた児島啓示。倉塚が総裁の一歩手前で死去した事で、衆院選出馬に名乗りを上げる。「トキの羽ばたく日本」を目指し、「アジア主義」「都市圏への強制移住推進による環境保護とコンパクトシティの実現」「法治国家の否定、児島の意思で国を治める人治主義」等の型破りな政策、莫大な金と女を使った大々的で派手な買収供応工作等により、独裁者と批判されつつも、みるみる内にカリスマとして政界に影響を及ぼしていく。
90年代に連載されていた政治漫画の中では、かなり尖った内容。政党名は自民党、社会党、共産党等、実在の物が実名で登場。児島は当初自民党に所属するが、後に脱党し、自らの名を冠する児島新党を結党する。又、元婚約者で倉塚の娘、倉塚保子とのドロドロの愛憎劇も。余談としては、児島は相当の女好きで、買春シーンがしばしば出てくる。一方食事には余り拘りが無いのか、殆どハンバーガーで済ます。
序盤から中盤がかなり激しい展開で面白かっただけに、終盤が駆け足気味で尻窄みだったのがやや残念。
◎加治隆介の議
(弘兼憲史)
大物議員の息子として育ち、今はサラリーマンの主人公、加治隆介。ある日、愛人と密会していると、父と兄が亡くなった事を知らせられる。当初は後継となる事を固辞していたが、後援会長の言葉で後継となる事を決意。然し、「有権者に媚びない」という態度が党内で反発を招き、党公認を得られず、更に父の秘書が公認され、自身は無所属で分裂選挙を戦う事に。1度は落選したかに見えたが、ライヴァル候補の急死により繰り上げ当選。当選後は憲法改定による集団的自衛権実現を目指す事になる…。
思いっきり「島耕作シリーズ」の政治版。我を通す事が「有権者に媚びない姿勢が高潔」と評価されたり、清廉潔白な人物を演じつつも下半身にだらしなかったりと、御都合主義で話が回る。加治がヴェトナムを訪れた際、ヴェトナム人少年に「ヴェトナム戦争はアメリカが正しかった。ヴェトナムはアメリカに負けなかったから駄目になったんだ!」と力説する等、政治的見識はかなりのトンデモ。然し永田町の政治家には非常に人気の作品で、「カジ派」という此の作品の映像化を目指す議員連盟が結成されていた程。
◎大と大
(本宮ひろ志)
政治家の息子として生まれた西郷大と、子沢山の貧しい家に生まれた沢村大。同じ誕生日で、同じ大学を出た2人の大。西郷は世襲政治家として、沢村は焼き芋屋を経て実業家として伸し上がる。
「やぶれかぶれ」執筆時より政治への意欲を燃やしていた本宮による政治漫画。全体的に経済関係の描写が強めだった印象。
◎世直し源さん
(業田良家)
腹巻にステテコ姿の総理大臣、本田源太郎。独裁政治を宣言し、「国会議員性根叩き直し法」(議員報酬を1億円にする代わりに政治献金を全面禁止する)の制定や、ミハイル・ゴルバチョフや加藤剛(大岡越前)を入閣させる等の様々な奇策で日本政治の改革を図る。
風刺漫画で有名な業田による政治漫画。型破りで痛快。
◎クライマックス
(原作:武田正敏、作画:土山しげる)
理想に燃える若手世襲議員と政治家志望の浪人生が、新党を結成して頂点を目指す。
どうも盛り上がりに欠けた。最終回は正に「俺達の戦いは此からだ!」という打ち切り的内容。打ち切りのためか、最終回を含む3巻は未発売。後に何故かダイソーコミックシリーズとして再販。
◎当選
(立原あゆみ)
漁師町でカリスマ的人気を誇る男、市川一。彼の同級生が選挙に出馬する事になり、応援演説を頼まれる。「俺ぁ政治の事なんかよく分かんねぇ。だけど、どうせ入れるなら若い人、新しい人に入れようよ」と訴える。その後投票所では、大量の「一」「ピン」と書かれた投票用紙が。ピンは候補者ではないので無効票にすべき処だが、其んな事をしたら町で暴動が起きかねない。其処で応援された候補者の票として計算し、彼はトップ当選を果たす。この出来事を契機に、ピンは「応援する候補は必ず当選する」と言われるカリスマ選挙ブローカーに上り詰める事となる…。
ピンは特に何をしてる訳でも無いのに、カリスマ性抜群で女にモテモテという設定が余りに粗雑過ぎると感じた。
Vシネマ(出演:大和武士)にもなっている。Vシネ版のピンは敬語を使う等、原作より口調が丁寧。
◎福ちゃん
(原作:やまさき十三、作画:北見けんいち)
政治家が会合の場として使う料亭の女将、福ちゃん。彼女の前では、どんな気難しい議員達もついつい心を許してしまうのだった…。
「釣りバカ日誌」作者コンビが送る、料亭政治漫画。老舗料亭で繰り広げられる政治家達の談義を、面白可笑しく取り上げる。然し連載中に料亭政治への批判が相次ぎ、尻窄みな形で打ち切られてしまった。
◎クニミツの政
(原作:安童夕馬、作画:朝基まさし)
中卒ヤンキーの武藤国光が、市長候補の秘書となり、政界に殴り込みを掛ける!
「サイコメトラーEIJI」のスピンオフ作品。連載当時は郵政民営化等の議論が活発で、政治への関心が高まっていた時期でもあり、ヒットした作品。コラムで与野党各党のインタヴューを載せたり、単行本に付いてる投票用紙で模擬投票が行われたりと(結果は1位自民、2位民主、3位共産の順だった)、非常に盛り上がった。実際の選挙とは違う描写も少し見られたが、全体的には痛快なストーリーで面白かった。
TVドラマ(出演:押尾学、大杉漣、伊東美咲、古田新太、佐々木蔵之介)にもなっている。此方は漫画原作のTVドラマ「GTO」(原作:藤沢とおる、出演:反町隆史、松嶋菜々子、中尾彬)を意識した作りとなっている。
◎アクメツ
(脚本:田畑由秋、作画:余湖裕輝)
或る日、大手銀行の相談役が仮面の男に殺害された。相談役は「俺より悪い奴は沢山いるだろ!」と命乞いをしたが、仮面の男は「だったら其奴らも全員殺せば良いじゃん」と言い放ち、相談役の頭を斧で叩き割った。「アクメツ」と名乗る仮面の男は、政財界の悪者とされる人物を殺害して自害する。然し、何事も無かったかの様に再び現れ、殺害と自害を繰り返す。果たして「アクメツ」の正体は…!?
「構造改革」に文字通り命を懸け、「抵抗勢力」「守旧派」を悪滅(殺害)しまくるダークヒーロー「アクメツ」を描く、血みどろ殺戮スプラッタ政治バイオレンスアクション漫画。ネオリベ・リバタリアン視点なら痛快な事この上無し。
◎永田町ストロベリィ
(酒井まゆ)
首相の娘と、女性相手に売春まがいの有料デートで小銭を稼いでるモテ男との恋愛物語。
どうも高飛車で傲慢な主人公と、女性を誑し込んでるだけの相手役に余り魅力を感じず、中々ページを捲る手が進まなかった。然し、一寸ボケ気味だが根は真面目な秘書の青年は好感が持てた。
◎世紀末プライムミニスター
(影木栄貴)
主人公は普通の女子高生だが、とある青年に見初められ、婚約者扱いされてしまう。其の青年は、何と現役の内閣総理大臣だった!最初は猛反発していた主人公だが、少しずつ首相に惹かれていき…。
元首相・竹下登の孫娘にしてミュージシャン・DAIGOの姉、影木栄貴による政治ラヴコメ漫画。政治や選挙の描写は祖父の実体験を元に描こうとしてたが、事情により断念せざるを得なかったとの事。其のせいか、前半はラヴコメが中心で、終盤に近付くにつれて政治の描写が濃くなっていく。
CDドラマ(出演:長沢美樹、三木眞一郎)にもなっている。又、短編集「遺言」に番外編が載っており、此方は作者御得意のBL物。
◎オメガトライブ
(玉井雪雄)
引き篭りの青年HAL(晴)は、父親に保険金を掛けられ殺害されかけた事で、新人類「オメガ」として覚醒する。オメガは体液を介して、ウイルスのように感染する。セックス&ヴァイオレンスを繰り返す中で、暴走族の梶秋一を盟友に得て、日本を社会不適合者の天国にすべくクーデターを画策。HALは民間軍事会社を立ち上げ、梶は右翼系政治家達に取り入って代議士となる。
政治も絡む、SF異能バトルアクション漫画。梶のモデルは、芸人の鳥肌実。エログロ好きはハマるかも?続編は「オメガトライブキングダム」。
◎G.I.D.
(庄司陽子)
性同一性障害により女性として産まれた男性が、自らのアイデンティティ獲得の為に国会議員として活躍する。
難しいテーマを扱った貴重な作品だが、短期連載だった為非常に展開が早く、やや消化不良気味。もう少し長い話をじっくり読みたかった。
◎ゾク議員
(吉沢優)
暴走行為を道路工事に阻まれて苛ついていた暴走族総長が、公共事業をやめさせるべく市議選に出馬。バイクの邪魔になる公共事業の道路工事をやめさせ、バイクを自由に乗り回せる街づくりを実現出来るか?
暴走族が議員になるというのが何とも荒唐無稽だが、中々面白い。
Vシネマ(出演:高木淳也)にもなっている。主演の高木は、千葉真一率いるJAC出身のアクション俳優。自民党公認で町議会議員を1期経験。35歳・1期目での町議会副議長就任は、当時地方議会での副議長就任最年少・最短記録だったとの事。DVDの特典映像に、当時の選挙戦の様子も収録。
◎暴走総理
(渋沢サツキ)
暴走族出身で大型バイクやスポーツカーを乗り回す、腕っ節が強くて喧嘩っ早い首相の活躍を描く。
コンセプトは「ゾク議員」にやや似てる?
◎知事ラン子
(監修:青山佾、作:高橋のぼる)
和賀県知事だった夫の急逝に伴い知事選に出馬、得票率80%以上という県政史上最高の支持で選ばれた若き女性知事、赤月蘭子。現場主義の姿勢と圧倒的支持を背景に、県政改革に次々と着手していく。
一応全話読了したが、印象は一寸薄かったかな…。
◎市長遠山京香
(赤石路代)
遠山京香は「遠山京介」のペンネームで活躍する人気推理小説作家。市長だった義父が亡くなった事に伴い、後継として市長選に当選。大胆な市政改革を次々と打ち出し、一気に人気市長に。更に、地域の問題を自ら見回り、問題人物を見つけたら「私が市長だ!」と名乗り、鍛え抜かれた推理力で問題を解決する。
「遠山の金さん」の現代版。「御話」としては其なりに面白いが、此が現実の市政ならディストピアになりかねんな…。掲載誌が休刊し、移籍の話もあったものの立ち消えとなり打ち切り。
帯に推薦文を書いたのが、舞台のモデルである神奈川県横浜市の当時市長だった中田宏や、「加治隆介の議」作者の弘兼憲史って処も御察し。
◎ソーダむらの村長さん
(石川優吾)
25歳のOLが、突然祖父の後継として、山奥のド田舎・宗田村の村長に。然し故郷を守るべく、ダム建設計画阻止に大奮闘。
作者らしい独特のギャグセンスで、短いながらも面白かった。オススメ。
◎どっかん!
(プロデュース:本宮ひろ志、原作:滝直毅、作画:能田茂)
元大リーグMVP投手が、25歳で市長選に当選。高校時代の同級生で、高校野球のチームメイトだった8人も、同時に市議選に出馬し全員当選。「自己責任社会」を掲げ、カジノ誘致等に取り組む。
本宮ひろ志プロデュース作品だけあって、いつも乍らの極めて汗臭くて暑苦しい作風。然し当初は「構造改革」推進なのに、終盤はやや「構造改革」に批判的になってる感じが?
◎(当)タネダミキオでございます。
(監修協力:佐藤大吾、作画:塚脇永久)
主人公は高卒で、牛丼屋に務めるフリーター。市議選に出る同級生にうだつの上がらない人生を馬鹿にされ、うっかり「自分も市議選に出てやる!」と発言。「しまった!」と思ってしまうも、其の場に居合わせた老人に「市議選当選の確率は4/5。御前が本気なら夢じゃない!」と言われ…。
議員インターンをプロデュースするNPO法人ドットジェイピーの佐藤と、「駐禁ウォーズ!!」(原作:今井亮一)の作画等で知られる「ウヒョ助」こと塚脇がタッグを組んだ選挙漫画。政治のプロが監修してるだけあって、選挙の描写はリアル。又、勧善懲悪のストーリーは痛快。
◎一票よろしく!
(横山裕二)
アメリカ帰りの主人公は、自身が育った児童養護施設の閉鎖撤回を公約に町長選に出馬すると宣言!「当選は絶対無理!」と周囲は止めるが…。
小さな町の町長選挙を巡るドタバタギャグ。然し、何のかんので徐々に有権者の心を掴み、支持を上げていく主人公は見もの。
◎大和の獅士
(原作:鍋島雅治、作画:渡辺みちお)
衆院選に出馬した大道寺は、大志を抱いてはいるが失言も多い泡沫候補。然し秘書は敏腕で、此れ迄大道寺を県議選当選に導いてきた。2人は新政策「船中八策」を掲げ、政界に嵐を巻き起こす!
「築地魚河岸三代目」(作画:はしもとみつお)の原作者と、「まるごし刑事」(原作:北芝健)「白竜」(原作:天王寺大)の作画者がタッグを組んだ政治漫画。政策が日本維新の会の丸パクりってのが何だかなぁ…。
◎鉄の女サクラ
(原作:倉科遼、作画:宮田やすひろ)
女子プロレスラーとして100連勝し、圧倒的強さを誇る「鉄の女」峰嶋サクラ。政治家である父に汚職で逮捕状が出た事で、父にリング上で詫びさせ、自らが汚職追放を掲げ議員に転身する事を表明。サクラは腐った政治を叩き直せるか!?
水商売系漫画や、政治漫画「DAWN-陽はまた昇る-」(作画:ナカタニD.)等の原作で知られる倉科と、ヤクザ漫画を多数描いている宮田がタッグを組んだ作品。倉科らしい、アメリカ批判が強い作風。
◎ハルノクニ
(原作:浜中明、作画:中道裕大)
東京湾に浮かぶ日本最高のトップエリート校・都立紫海館学園高校。其処の生徒、ギリとハルは窮屈ながらも楽しい学校生活を送っていた。然し、突然ハルはトラックに轢かれ死亡。然も、其は事故死ではなく殺人事件だった事をギリは知る。其処で、学校で篭城事件を起こし、学校の敷地を領土として独立国家「ハルノクニ」建国を宣言。日本政府と対峙する!
厨二病的設定乍らも、終始シリアス展開。
◎テツぼん
(原作:高橋遠州、作画:永松潔)
鉄道ヲタクの28歳フリーター(コンビニ深夜バイト)が、代議士だった父の急死で後継に担がれて世襲議員として当選。保守系与党(途中から野党、其して後に又与党)の道路族議員として活動するものの、鉄道ヲタクとしての知識を活かし諸問題の解決策を探る。主人公は後に国土交通大臣政務官に就任し、鉄ヲタ知識を遺憾無く発揮。鉄ヲタの官僚や海外要人等とも仲良くなり、議員をしながら鉄ヲタライフを満喫中。
鉄道関係の話題がかなり濃いので、鉄ヲタはかなり楽しめる内容。又、かなりの長期連載になってるので、そろそろ映像化されんかな、と思う。アニメでも実写でも良いから。
◎グ・ラ・メ!~大宰相の料理人
(原作:西村ミツル、作画:大崎充)
首相の政治的交渉の手段として復活した、官邸料理人の制度。其に抜擢された若い女性の話。メニューは主にフレンチ。
コミックバンチ連載という事もあってか、御色気シーンもてんこ盛り。雑誌掲載時はグラドルとの連動企画も。
TVドラマ(出演:剛力彩芽)にもなっている。
◎総理の椅子
(国友やすゆき)
改革派の青年政治家は、実は首相になって隣国に戦争を仕掛け、日本を消滅させることを人生の目的としていた…。
登場人物が打算的な考えのキャラばかりで余り魅力を感じず、序盤は主人公の思想・行動の動機も不明なためやや退屈な展開。然し、ダム湖として沈んだ主役の故郷、主人公を殺害しようと付け狙う彼の実母など、少しずつ乍らも謎が明らかにされていき、3巻以降辺りから面白くなる。
◎ヒトヒトリフタリ
(高橋ツトム)
白血病の為、18歳で亡くなった大阪鶴橋出身の串焼き屋の娘、リヨン。今は霊界で高位霊になる為の修業中の筈だが、サボって遊んでばかり。業を煮やした霊界学校の教頭は、リヨンに「人が死ぬまで見守り続ける詰まらない仕事」である守護霊になる事を命じる。詰まらない仕事から早く解放されたい一心で、寿命が1年強しか無い人物を選ぶが、何と其の人物は現役の総理大臣、春日荘一郎だった…。
「スカイハイ」シリーズ等、霊界もの漫画で活躍している高橋ツトムのオカルト要素・バトル要素てんこ盛りの政治漫画。当初は逃げ腰で酒浸りだった春日が、守護霊の存在と自らの寿命を知り吹っ切れて脱原発実現に邁進する姿や、守護霊としての仕事や魔とのバトルを通じて成長していくリヨンが見もの。現実の政治家をモデルとしたキャラが登場する等、パロディ要素もたっぷり。
◎かむろば村へ
(いがらしみきお)
銀行員になるも、金が人生を左右する現実を突き付けられ精神を病み、病院入院と同時に解雇された主人公。「一切金を触らない完全自給自足」の生活を目指して、福島県の寂れた山村に移住するが、其処でも金が必要な現実を悉く突き付けられ…。
「ぼのぼの」「忍ペンまん丸」等、動物を使ったブラックで暗く重苦しい作風が売りの作者による、現代日本の人間社会のどす黒い闇を描く。近年流行りの「意識高い」系の気楽なスローライフ田舎暮らしの描写は全く無く、田舎特有の息が詰まる閉鎖的・排他的人間関係や同調圧力の強い相互監視社会を、オカルトも交えて只管ダークに生臭く、生々しく描写している。後半は市町村合併を巡るヤクザも交えた隣町との抗争や、合併の賛否を問う泥沼の村長選挙等、怒涛の展開。
ノヴェライズ版(著:涌井学)、映画版(「ジヌよさらば」、監督:松尾スズキ、出演:松田龍平、阿部サダヲ、松たか子)もある。其等は劇団大人計画が関わっており、原作よりコメディ寄り。
◎永田町ワールドフェイマス
(プロデュース:大石賢一、原作:スパイスランド、作画:北沢バンビ)
派遣社員として働いてた主人公は、派遣切りに遭い職を失う。然し、声の大きさを買われてウグイス嬢となる。更に、衆院比例区の名簿最下位に搭載され、「名ばかり候補者」となる。処が、応援してた候補が突然死去。主人公は繰上当選で議員になってしまった!
「築地魚河岸三代目」(作画:はしもとみつお)の企画協力等を手掛ける大石のプロデュースによる、政治レディースコミック。議員として知名度が高まった事を利用して生き別れの妹を探す主人公は或る意味健気だが、推進する政策である幼保一元化については知識不足も目立つ。残念乍ら、余り話が盛り上がらない儘打ち切りとなった。
◎ワンスアゲン!議員秘書フジマル
(原作:鍋田吉郎、作画:高遠るい)
就職に苦戦してやる気を失い、ニートになってた主人公。然し、ひょんな事から国会議員で弁護士をやってる同級生の議員秘書をやる事になり…。
ニート出身の若手議員秘書の奮闘を描く政治漫画。原作は「現在官僚系もふ」(作画:並木洋美)の人。登場人物が芸能人のパロディとなってる等ギャグ描写もあるが、社会問題も硬軟織り交ぜて取り上げている。終盤は選挙制度改革の話が中心。途中打ち切りの為、完全版は電子書籍のみで読める。
◎恋と国会
(西烔子)
代々政治家の一家に生まれ、嫌々ながらも諦め半分で議員になった世襲議員と、ぶっ飛んだ思考の元地下アイドル議員の起こす騒動を描く。
元地下アイドルが何故与党第1党の東京1区の候補者になれたんだ!?等ツッコミ処も多いが、彼女の「同じグループにいたメンバーが不幸な境遇で自殺した。だから誰もが『まあまあ』生きられる世の中を作りたい」という思いは純粋さを感じる。
医師と弁護士の両方の資格を持つ超エリート野党議員等も登場し、今後の展開が楽しみだったが、長期休載中。2巻以降の発売は絶望的?此の儘打ち切り…?orz
◎票読みのヴィクトリア
(原案:鈴鹿久美子、原作:鈴木コイチ、作画:オキモト・シュウ)
市長選に出馬した28歳の若者、白根健造。選挙カーを使わずSNSでの制作拡散や、御洒落な選挙ポスター等、現職とは正反対の選挙戦略を取り、勝利を確信する。然し、結果は泡沫候補並みの大惨敗。其処に選挙コンサルタントを名乗る女性が現れて…。
現在の選挙業界ではかなりメジャーな存在となってきた、選挙コンサルタントの仕事を描く漫画。結局選挙って、ドブ板が1番票を取れるって事かな…。
原案・監修の鈴鹿久美子氏は、元国会議員政策秘書で現在は「勝たせ屋」を経営する現役の選挙コンサル。
◎総理大臣のえる+
(原作:あすか正太、作画:剣康之)
悪魔と契約して首相になった女子中学生が、国家権力を使いまくって幼なじみの同級生男子をブンブン振り回しまくるドタバタハーレムラヴコメ。同名ラノヴェのコミカライズで、「エース桃組」に連載されていた。
原作と比べて政治ネタは薄めなので、そっちを期待すると物足りないかも。
◎大日本サムライガール新党
(原作:至道流星、キャラクター原案:まごまご、作画:荒木宰)
斎藤(仮)は同級生で右翼活動家の神楽日毬の事が気になっており、仲良くなりたいと思っている。然し仲は中々進展せず、日毬からは本名も覚えてもらえず「斎藤」と呼ばれ、悶々とした日々を過ごしている…。
極右爆乳女子高生アイドルラノヴェ「大日本サムライガール」のスピンオフ漫画で、主に主人公・神楽日毬が通う高校のクラスメートや教師達の視点で描かれたショートギャグ。日毬の大ファンで追っかけもしてるが、実は共産主義者・マルクス主義者でマルクス兄弟も大好きという年配の社会科教師・橋本先生が何とも御茶目。
漫画は原作準拠版(作画:佐藤健悦)、4コマ版(「大日本さむらいがーる劇場」、作画:川村一真)もある。
◎開票LOVERS
(ユースケ・マダガスカル)
参院選に当選した主人公。然し、選挙事務所の奥では主人公を「御兄ちゃん」と慕う女子校生が泣き崩れていた。理由を聞いてみると…。
只のエロ漫画でした。はい。orz
◎ぼくの村の話
(尾瀬あきら)
1966年、政府は新空港の建設予定地として、突如千葉県の農地を指定した。新聞報道で知った農民達は激怒。反対運動を始める。当初は革新政党の支援を受けて非暴力的に行なわれてた反対運動だが、後に新左翼の支援を受けて実力闘争路線に転ずる。反対運動は過激さを増していき…。
成田空港建設反対運動(三里塚闘争)を題材とした漫画。作品の舞台は1992年で、主人公の回想という形で描かれる。主に熱田派(主に「赤ヘル」こと共産主義者同盟(共産同、ブント)の支援を受けていた)の視点から描かれている。当時の農民達がどの様な気持ちで空港に反対していたかが良く分かる。
◎クーデタークラブ
(松本光司)
高校生の主人公は、退屈な日常を送っていた。然し、ふとした切っ掛けで女装趣味にハマる。或る日、女装している様子を同級生の女子に目撃されてしまった主人公。脅されて付いて行った先は、非公認の部活動、「クーデタークラブ」こと革命部だった!
「生きている実感を得る」だけの為にテロリズムに走る革命部の方針には、或る意味狂気を感じた。「女装をすれば戦闘能力が上がる」という設定は面白いと思った。
◎マルクス・ガール
(山本夜羽)
マルクス主義者の美術系女子高生、菅野清子のちょいエロな青春を描く。
左派の人のみならず、青春を拗らせてる人にもオススメ。
◎レッド
(山本直樹)
連合赤軍をモデルにした漫画。登場人物の頭の番号は、内ゲバで殺害される順番を示している。
全体的に重苦しい雰囲気だが、「ニャロメ派」「貧」と書かれたヘルメット等、細部のパロディが面白い。
◎二十歳の原点
(原作:高野悦子、作画:岡田鯛)
主人公は20歳の学生。教員志望だったが、今は自らの進路に疑問を抱き乍ら学生生活を送っている。就職活動にも中々踏み出せない中、ふらりと入った喫茶店。本棚から手に取ったのは、高野悦子という20歳の若者が書いた日記「二十歳の原点」。読み進める内にタイムスリップし、高野と出会う。
学生運動が盛んな中で生きた高野によって書かれた日記、「二十歳の原点」を原作とした漫画。原作の内容には深く踏み込んでおらず、ガイド本の様な印象。
◎デストロイアンドレボリューション
(森恒二)
不幸な生い立ちを背負っている、内向的な主人公の少年。彼は或る日、自分に物体を移動・消滅・破壊させる超能力があると知る。自分の強大な力に戸惑う中、同じ能力を持つ同級生から、其の力をテロリズムに使う事を持ちかけられる。当初は主人公も人生に絶望していた為同級生に共感していたが、現実に多くの人が死んでいくのを目の当たりにし、葛藤し始める…。
鬱屈した主人公を描くのが持ち味の作者による、SFポリティカルサスペンス。貧困、格差、家庭崩壊、引き篭り、其して戦争等、異能者バトル物にしては世相を色濃く反映し、特にアメリカに対して強烈に批判を展開している。
◎永田町一丁目七番地
(芳崎せいむ)
与党の若手改革派議員と、彼に惹かれて政治家になった「不死身の男」と呼ばれる新人議員との恋愛模様を描く。
90年代前半、新党ブームの頃に描かれた政界BL漫画。此の時期だと、女性向けで政治漫画というのは此が唯一では?少女漫画的甘々描写てんこ盛りで、直接的な性描写は無し(接吻迄)。
ドラマCD(出演:田中秀幸、堀川亮、鈴置洋孝、上田祐司、石川英郎)にもなっている。
◎最強総理
(新也美樹)
半ズボンとサスペンダーが似合うショタ系少年が、初当選にして首相に就任。政策皆無でボケボケでも、小動物的キャラで国民をメロメロに…。
BL物のギャグ漫画で、主人公はイケメン男性秘書に喰われまくり。他のキャラも若者から老人迄全員男性で、主人公にベタ惚れ。凄過ぎる…。orz
◎秘書とボディガード
(深井結己)
代議士のボディガードとして雇われた主人公(攻め)は、実は浮気の内偵が目的だった。内偵を進める内、代議士と秘書(受け)が接吻している所を目撃してしまう。其の場を写真に撮り、秘書に証拠として突き付け肉体関係を迫る主人公。然し秘書の行動には秘密があり…。
少女漫画的に描写が甘々なBL。作者の趣味で、ヘタレ攻めと眼鏡受けになっている。
(アニメ)
◎残響のテロル
(出演:石川界人、斉藤壮馬)
ネット動画サイトで「スピンクス1号2号」を名乗る2人は、謎々を出しながら東京の各地で爆弾テロ活動を行なっていた。警察は2人を追う内、政財界要人の秘密クラブ「新進平和塾」と、其のクラブが行なっていた人体実験「アテネ計画」を知る事となり…。
核テロ迄持ち出された、東日本大震災以降にも拘らずよく放送されたなという問題作。ネタバレすると「人体実験で人為的にエリートを作り出す」という計画で、其の実験の被験者だった主人公の2人は其を白日の下に晒して告発するというのが目的だった訳だが、現実にもノーベル賞学者の江崎玲於奈が「国民全員の遺伝子を調べて、各人の人生を固定する」等と公言してるのを聞くと、笑い話では済まない。
◎アイドル事変
(出演:八島さらら、渕上舞、上田麗奈)
日本を元気にすべく誕生した、アイドル議員が政治を変える!ヒロイン党、賛来党、スターライ党、美少女党、わかば党、サブカル新党、SOS党(世界を音楽で救う党)の7つのアイドル政党が、国会で群雄割拠!
ソーシャルゲーム原作の政治アニメ。「ラブライブ!」シリーズの、舞台を学校から国会に替えた様な二番煎じ的作品。基本的に女性キャラが歌って踊れば何でも解決してしまう。済んません、全話見るのが辛くなって止まってます。orz
コミカライズ版(作画:奈月ここ)もある。
(映画)
◎日本の黒幕
(監督:降旗康夫、出演:佐分利信、田村正和)
政界で黒幕として暗躍する暴力団組長・右翼団体代表の話。基本はヤクザ映画。
主人公のフィクサーの寵愛を受ける、若手右翼テロリスト役の田村正和が若い。
◎金環蝕
(原作:石川達三、監督:山本薩夫、出演:仲代達矢)
原作は芥川賞作家・石川達三の小説。映画は日本共産党員でもある社会派映画監督・山本薩夫がメガホンを取った。実際に起きたダム建設汚職事件を元に、政府与党(モデルは自民党)と財界によるドロドロの癒着と腐敗を描く。
出演陣も非常に豪華。初めて観た時は、余りの濃さに胃凭れした程。orz
◎狂い咲きサンダーロード
(監督:石井聰亙、出演:山田辰夫、小林稔侍)
暴走族への町からの締め付けが強まる中、族は「町に愛される族」として警察や他の族との抗争をやめ、ゲイの右翼幹部は後継や慰み物として族の取り込みを図っていた。然し主人公は其等を全て良しとせず、只管フラストレーションを溜めていくばかりだった…。
石井監督の大学卒業制作作品。ミニシアター系B級アングラ感溢れる、只管カルトでロックでパンクな最狂・最凶の暴力映画。「かたわ」「気違い」等、放送禁止用語がバンバン飛び出すが、しっかりノーカットだった。
◎善人の条件
(監督:ジェームス三木、出演:津川雅彦、小川眞由美)
潔癖症な大学教員の主人公が、町長選に落下傘候補として担ぎ出される。主人公は彼なりに理想の選挙を目指して奮闘するが、周囲は金と性が乱れ飛ぶ泥沼の腐敗した選挙戦を展開。妻すらも不倫に溺れ出し、みるみる疲弊する主人公。最終日に開かれた個人演説会は…。
ジェームス三木初監督作品。社会派の彼らしく、非常に風刺が効いた辛口な作風。DVDが出ておらず、配信もされてないが、埋もれさすには余りに勿体無い作品。
◎魚からダイオキシン!!
(監督:宇崎竜童、出演:内田裕也、本木雅弘、高田文夫)
都知事選に出馬し落選したYUYAは、ニューヨークを目指す!
1991年都知事選に出馬し、落選した内田裕也が、其の時の映像も盛り込みながら撮った作品。都知事選落選時のシーンでは、高田文夫に「売名出馬だろ?」と自虐的な台詞を喋らせ、其の後は只管シュールなロードムーヴィーと化す。
残念ながらユーヤのロック魂を理解する事は、オイラにゃ困難過ぎた。orz
NANKA 変だなぁ! キケンするなら ROCKにヨロシク!
Love & Peace Tokyo
(選挙公報全文、原文は手書き)
◎国会へ行こう!
(出演:吉田栄作、緒形拳、宮崎萬純)
大学生の主人公は、ひょんな事からアルバイトとして代議士秘書となる。然し、代議士は贈収賄は勿論、裏口入学の世話迄するという腐敗議員だった。正義感の強い主人公は反発して秘書をやめようと思ってたが、代議士が過去に書いていた政治改革案を読み、一転代議士に好感を持つ様になり、改革に協力する意思を見せ始める。
90年代前半の、政治がブームになっていた頃に上映された映画作品。「改革の為なら汚職も辞さない。人殺し以外なら何でもやるのが議員」という代議士の信念に今一つ共感出来なかった。
◎あぁ…閣議
(出演:山口智充、坂田利夫)
内閣が完全非公開で行う会議、閣議。前任者の病気辞職で急遽入閣した遅咲きの議員は意気揚々と閣議に臨むが、議論皆無で書類に花押を書くだけの形骸化した内容に愕然。そんな中、「女性用下着着用禁止法案(ブラパン禁止法案)」が提案され…。
内閣を舞台に繰り広げられる密室劇。シナリオは粗いが、脇役が実力のある舞台俳優で固められてる為、それなりに見られる物に仕上がっている。坂田利夫が金権腐敗議員という設定は、矢張り鈴木宗男のパロディ?
◎オー!ファーザー!
(原作:伊坂幸太郎、出演:岡田将生、忽那汐里、佐野史郎)
酷い浮気性の女性の下に生まれた1人の男子。そして彼の本当の父親と主張する、4股をかけられていた4人の男性。「妻や息子と別れたくない」と、父親達は母子含め計6人で同居する事に。其して時は経ち、息子は高校生に成長。奇妙な環境ながら、4人の父からそれぞれ愛情をタップリ受け、息子も父達を全員慕い、特に大きな事件も無く暮らしていた。然し、父に連れられて入ったゲームセンターで鞄すり替えを目撃した事で、投票日の近い知事選も絡む事件に巻き込まれる事に…。
小説原作のサスペンスコメディ。映画版は吉本興業が絡んでるだけに、結構重たい事件を扱ってるにも拘らずギャグ描写多め。其して政治色は薄め。もう少し堅い作風を期待したんだが…。然し、個性バラバラの父親達が、自分の得意分野を息子に伝授したり、妻と息子を取り合いながらも緊急事態ではしっかり協力する辺りは熱い展開。良い。
◎さらば愛しの大統領
(出演:宮川大輔、世界のナベアツ、神谷明、紅萬子)
「大阪独立、大阪合衆国建国」を公約に掲げて府知事に当選した芸人、世界のナベアツ。アホな公約を次々実現させて大阪中を笑わせる一方、建国宣言の日が近付くにつれてナベアツ知事暗殺の予告が次々出回り、府警は捜査する事に…。
沖縄国際映画祭参加作品。吉本新喜劇辺りが好きならハマりそうな、笑って泣ける人情喜劇。出演者が滅茶苦茶豪華で、神谷明(顔出し)や紅萬子ら、大物を惜しげも無くチョイ役に使いまくってしまう豪快さ。然し此の映画祭、この作品や「オー!ファーザー」「ああ...閣議」など、政治物の出品が矢鱈多かったな…。
◎記憶にございません!
(監督・脚本:三谷幸喜、出演:中井貴一、石田ゆり子、吉田羊)
ある夜、大学病院のベッドで、頭を包帯でグルグル巻きにされた状態で目を覚ました中年の男。自分が誰か、何故此処にいるのかも全く分からない状態で、病院を抜け出し街をフラフラと彷徨う。通り掛かりのサラリーマンには罵声を浴びせられ、立ち寄った定食屋で食事をするも、店主には「金なんか要らんからさっさと出ていけ!」と追い出され、只々困惑する男。然し、謎の集団に連れていかれ、向かった先は何と首相官邸。其処で見せられたTVには、不正献金の追及に対し「うっせーなぁっ!『記憶にございません!』っつってんだろーっ!」と物凄い剣幕で野党議員に怒鳴り散らす男の姿が。そう、男は支持率2%、史上最低と言われてる内閣総理大臣なのであった!総理の黒田啓介は、街頭演説で聴衆を罵倒してる最中石を投げられ、其が頭に当たって記憶喪失になってしまった内閣総理大臣。記憶を失った事は医師と秘書官だけが知っている国家の最高機密という事になり、其の儘総理を続ける事となる。然し、啓介は「傲岸不遜、横暴、権力欲の塊、金に汚い、公私混同、セクハラ三昧」等々、自分が悪評塗れだった事に面食らう。政策の進捗状況を言われたり聞かれたりしても何と答えて良いか分からず、只管おろおろし続ける。其んな時、日米首脳会談が開かれる事となり…。
三谷幸喜監督・脚本作品。「評判最悪の総理が、何かを切欠に政治改革を考え始める」という話運びは三谷の過去作品「総理と呼ばないで」と同じで、結構重なる。脇は三谷作品らしく梶原善、小林隆、阿南健治、近藤芳正の東京サンシャインボーイズ関係者(近藤は正式なメンバーではないが)や、藤本隆、栗原英雄等劇団四季出身者等が固めている。啓介の義兄役のROLLYはいつもと全然違う黒髪の七三分けで、印象の違いに目を見張った。「民王」の草刈正雄、「民衆の敵」「総理の夫」の田中圭等、政治絡みの映像作品出演経験者が揃ってるのは偶然か?
「政治関係の描写や作り込みが甘い」等の評もあるが、スカッと笑えるコメディに仕上がってるので、此処は大いに楽しもう。
◎総理の夫
(原作:原田マハ、出演:中谷美紀、田中圭、岸部一徳)
民営の鳥類研究所で学者として働く夫、そして、政治学者出身の代議士で少数野党党首の妻。ある日、妻は夫に「私が総理大臣になったら、何か不都合ある?」と聞く。夫は鳩が豆鉄砲を食った様にキョトン。然し、渡り鳥観察の為の北海道出張の帰り、自分の知らぬ間に妻が総理大臣になってたという事でさあ大変!
妻は史上最年少で初の女性首相、夫は学者という夫婦の話。2人ともインテリで大金持ちの家に生まれた超セレブで、追っかけが付く程容姿端麗。政策はほぼ全ての人に支持され、不支持は政財界の悪人だけ、という正に無双設定。
然し目玉政策は消費税増税と、完全に手垢のついた新自由主義、サッチャリズム、レーガノミクス、アベノミクスの焼き直しで、「国民の80%以上の絶大な支持」と描かれても寒さしか感じない。「国民には覚悟が必要」と上から目線で声高に訴えても、覚悟が要らない家系の人間が高所から言うもんだから益々寒い。まあ其でも、今の日本では女性首相の話を書くだけでもカウンターカルチャなのか。
与党内の対立議員の陰謀、捨て身の解散総選挙、そして首相自身の妊娠出産等、ドラマチックな展開は色々用意されてるが、何れもサラリと流され過ぎてて十分活かし切れてない気がする。
原田の小説「本日は、お日柄も良く」(此れも長谷川京子主演でドラマ化されてる)に登場した、伝説のスピーチライターも登場。又、国産ジェット機の政府専用機というのも作者の別作品に登場したネタとの事で、他作品とは色々リンクしている模様。作者が好きな人は、小ネタ探しも楽しいかも。日和役は政治ドラマ「民衆の敵」で政治家の妻の活動を支える夫を演じた田中圭、主題歌は政治ドラマ「民王」の主題歌も歌ったmiwaってのは、制作側も意識してのチョイスなのだろうか?
原作の小説は、夫が妻に関する出来事を後世の人に伝える為にしたためた日記と言う体裁。帯と表紙裏・裏表紙裏にはみづき水脈によるイラストが描かれており、解説は旧版は安倍昭恵、新版は国谷裕子が書いている。
◎決戦は日曜日
(出演:窪田正孝、宮沢りえ)
主人公は議員秘書。長年仕えてきた衆議院議員が突然病に倒れ、引退を余儀なくされる事に。秘書や地方議員、後援会員等が集まって話し合い、後継に白羽の矢を立てたのは、ネイルサロンを経営する議員の娘。然し此の娘、やる気はあるが世間知らずで我が儘で、常に人を見下す様な物言いをするので炎上する事も屡々。秘書は徹底して「事勿れ主義」を貫き、只々娘が議員として無事に当選する事だけを考えて行動するのだが…。
序盤は宮沢演じる議員の娘の空回りっぷりと、其にブンブン振り回される窪田演じる秘書とのギャップを楽しむ。然し娘は選挙に出るからには本気で当選を考えており、そして当選してからは自分がやりたい様に政治をやると、彼女なりに真面目に考えていた事が分かってくる。然し本当にそうされてしまったら、議員を単なる「利権を得る為の道具」としか考えてない秘書や地方議員、後援会員達にとっては都合が悪い。なので、徹底的に彼女を抑え込もうとする。其の為、次第に両者の間に齟齬が生じる様になる。其処で娘は、1つの決断をする。其に対して秘書は…。
最初は「政治家向きでないアホ娘が暴走する感じのコメディか?」と思ったが、実は議員の娘の方が余程真面目で、秘書をはじめとする議員を取り巻く面々がドロドロに腐敗してる様を見る事が出来る。主人公は「政治の世界なんて腐敗してるのが当たり前」と、最初は問題を問題とは全く思ってなかった訳だが、浮世離れしてる議員の娘を通じて、果たして其の「当たり前」は「正しい」のかどうかを考え始める、というのが此の映画の肝。
自分を秘書に背負わせて泥濘を歩かせる議員や、自信たっぷりに「各々(おのおの)」を「カクカク」と読む議員の娘等、現実政治のパロディっぽいシーンも。
政治や選挙についての描写にはツッコミを入れたくなる場面もあるにはあるが、一応監督は「お仕事もの」として此の映画を作り、映画を通じて「議員秘書の仕事」を描きたかったと言ってるだけあって、「総理の夫」等よりはある程度丁寧に作られている。
終盤で娘は自分の落選を図り、わざと炎上する様などぎつい発言をしたり、ニュースに対して大袈裟に反応したりする様になるが、結果はどうなるか…?其は皆さんに見てもらいたい。
ノヴェライズ版(著:高嶋哲夫)もある。主人公が仕えてる議員の初当選の時の描写や、其々の人物像の深掘り、肉付け、台詞の加筆修正等が行われており、「映画だけでは十分分からなかった」という人はもっと楽しめるであろう内容。
◎おまえの罪を自白しろ
(原作:真保裕一、出演:中島健人、堤真一、山崎育三郎)
次の内閣改造で大臣ポストが約束されていた代議士、宇田川清治郎。其して、息子の晄司は秘書を務めていた。然し、孫娘が誘拐され、「おまえの罪を自白しろ」という脅迫メッセージが届く。晄司は警察と協力し、父の罪の真相と真犯人を探る事になる。
小説原作のポリティカルサスペンス映画。堤と山崎の演技が光る作品だった。
◎蟹工船
(原作:小林多喜二、監督:SABU、出演:松田龍平、TKO)
「国家の威信を賭けた工業戦争」として動かされてる、蟹缶詰製造施設付き船舶、蟹工船。然し機械は全て手作業、過酷な作業と絶え間無く続く暴行、疾病でも休めず、過労死者や自殺者も出る。労働環境は最悪だった。「来世に賭ける」と集団自殺を提案する者すら出る始末だった。然し、ある者は逃亡先に拾われたロシア船で出会った中国人通訳を通じて、又ある者は暴行に耐えかねた同僚の自殺を通じて、「本当の敵」と戦う事に目覚める…。
プロレタリア文学の古典の映画化。資本家の横暴、国民を守らない国家と軍隊、搾取される労働者という構図はしっかり描かれている。労働者が搾取の構図を知り、決起する場面は胸が熱くなる。然し、映画版はブラック企業やワーキングプアが注目され、蟹工船ブームが起きた中、「流行りに乗って作ってみました」という感覚も見えるのは確かに事実。芸人を起用して無理にギャグシーンを盛り込んだので、原作のメッセージが少しぼやけてしまった印象。
◎マイ・バック・ページ
(原作:川本三郎、出演:妻夫木聡、松山ケンイチ、忽那汐里)
主人公は、学生時代に全共闘運動を目撃し、新左翼に一定の親近感を抱いてた週刊誌記者。或る日、新左翼活動家を名乗る男が接触してきて、武装決起を仄めかす。主人公は彼に、独占取材を申し込むが…。
元「朝日ジャーナル」記者で映画・文芸評論家、川本三郎の実体験を元に書かれたルポを原作とする、赤衛軍・朝霞自衛官殺害事件を描いた映画。特殊な方法で撮影されたザラついた画面が、主人公の心情を上手く表している。
事件の主犯である新左翼活動家は、当初は真面目で純朴な一面を見せるも、後に詭弁や屁理屈をこね回して人から金をせびり、自分の発言には全く責任を取らず罪を人になすりつける卑怯な小物として描かれている。終盤の感傷的な描写は、ある種の仲間意識があったにもかかわらず、あっさり利用され裏切られた主人公の悲しみが表れている。
勿論、色んな色のヘルメットが集まる全共闘政治集会の再現や、実在のモデルがいる人物のアジ演説等、共産趣味要素もてんこ盛り。然し事件から約40年、原作発刊から20年以上経っての映画化とは…。
◎実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
(監督:若松孝二、出演:坂井真紀、井浦新、宮台真司、田島寧子)
連合赤軍・あさま山荘事件を当事者視点で描いた映画。前半は当時の映像と再現ドラマを織り交ぜ、党派の離合集散を丹念に描く。後半は山岳ベース事件とあさま山荘篭城を描く。
自己啓発セミナーや軍隊、其してブラック企業顔負けの、答えの見えない相互批判の応酬は、聞いているだけでも陰惨な気分になる。結局「総括」とは、極めて日本的な群集心理、同調圧力だったのか?又、団体内で誰が最も革命的・尖鋭的かを競い、争っているようにも見えた。
度重なる同志殺しの凄惨な描写もさる事ながら、当時高校生で最も精神的負担が重かったであろう加藤少年の言葉が全身に重く突き刺さる。彼は兄が同志殺しの被害者であり、言葉の重みが格段に違う。
共同生活を送っていた彼等に、友情が芽生える余地は無かったのか…。当時の反省として、又、此を反面教師として、当時と左程変わっていない現状を何とか変えていく糸口を掴む為にも、是非観るべき作品。決して「左翼は怖い、間違ってる」などという軽薄で単純な感想は出てこない筈。
役者達は実際に長期のロケ合宿で拘束された為、憔悴し切った姿が生々しい。専門用語だらけの長台詞もよくこなしている。一部台詞を噛んだり、詰まったりするシーンもあるが、立て板に水より生々しさがよく出てる。
社会学者の宮台真司が、俳優として活動家役で出演。大根演技ながら胡散臭さ全開で非常に合ってる。又、密かに水泳選手から女優に転身した田島寧子の引退作品でもある。
(TVドラマ)
◎ジュニア・愛の関係
(出演:高嶋政伸、加藤雅也、田中美奈子、松雪泰子、早坂茂三)
大物政治家の子供として育った2人の若者。後に2人は同じ選挙区で政治家となり、ドロドロの権力闘争を繰り広げる。
フジテレビ制作らしい、大袈裟な脚色と早い展開が特徴のジェットコースタードラマ。大真面目なシーンでも、滑稽に見えて笑えてしまう事も。然し、純朴な青年だった主人公がみるみる悪に染まっていく姿は恐ろしかった。又、放映は自衛隊海外派兵を争点とする92年参院選の直前で、選挙直前に政治ドラマを放映をするという攻めた構成だった。尚、元首相・田中角栄の秘書だった早坂茂三が、加藤の父親役として出演している。
ノヴェライズ版(著:長坂秀佳)もある。
◎総理と呼ばないで
(脚本:三谷幸喜、出演:田村正和、筒井道隆、西村雅彦、鈴木保奈美)
汚職・腐敗渦巻く政界。代わりを務められる人間が誰もいない中、今回党長老達に指名されて選ばれた総理大臣は幼稚で無能、自分勝手で我が儘、其して気分屋で、1日でも在職期間を延ばして最短記録を避ける事だけしか考えてない、史上最低最悪の総理だった。売りは「汚職に無縁でクリーン」なだけだが、其も彼の無能さ故に近付く企業が1つも無く、何処からも企業献金が貰えなかったから。総理は自身の無能さを自覚し乍らも、其の幼児性から傍若無人に振る舞い、官邸スタッフを振り回しまくる。内閣は、政治に全く無関心で議員ですらない学生を官房長官に選び、人気取りを図るが…。
今だからこそ多くの色んな人に見てほしい、笑って泣ける政治ドラマ。三谷幸喜らしいハチャメチャなギャグてんこ盛りだが、終盤で感動の大どんでん返し。
脇役も舞台俳優や声優として活躍してる濃い人達が、とことんクドい演技を見せてくれる。
◎世界で一番熱い夏
(出演:岸谷五朗、和久井映見、原沙知絵、柳沢慎吾、小野武彦)
大物議員の秘書が収賄の罪を着せられ、追い詰められる。秘書は逃亡しホームレスとなり、冤罪を晴らすために奮闘する。
日本版「逃亡者」という感じの内容。当時の公式サイトのアカウント名が「atsuiotoko」だっただけに、熱い話だった。DVDや配信で見られないのが残念。
ノヴェライズ版(著:森実与子)もある。
◎新しい風
(出演:ともさかりえ、吉田栄作)
主人公は児童専門の書店員。絵本作家を目指してたが、新聞記者の夫が国会議員を目指す事になり、状況が一変する。
徹底したリアル路線で、出演者も豪華。然し印象はやや地味に感じた。
ノヴェライズ版(著:後藤法子)もある。
◎参議院議員候補マミ
(出演:山崎真実、大島優子、橋本じゅん、橋本淳、青柳塁斗)
「此の国を健康にする」を公約に、参院選出馬を決意した谷崎マミ(23歳、被選挙権無し)。然し政治の事はよく分かっておらず、公約は「朝1杯の水を飲む」「煙草には味噌汁」「食前のスープは医者要らず」「酒の前にチーズを食べて二日酔い防止」「ダンスをラジオ体操第3に加える」等、的外れな物ばかりだった。屡々謎の男2人に捕らえられそうになるが、毎回新体操で鍛えた体を武器に切抜けていくのだった。
深夜に放送されたSFギャグドラマ。緩~い雰囲気と、橋本じゅんの濃い演技との対比が面白い。「ケガっ子カフェ・ポニー」(包帯やギプス等がモチーフのコスプレカフェ)でマミがバイトをするシーンがツボにハマるという人もいるのでは?
◎誘拐
(原作:五十嵐貴久、出演:三上博史、西島秀俊、石坂浩二)
主人公は人事部でリストラ役を任された銀行員。然しリストラされた元社員が一家心中。更に自身の家庭も崩壊し、職も失う等、全てを失う事に。最早失う物は何も無くなった主人公は、首相の孫娘の誘拐を思い付き、決行する…。
小説原作のクライムサスペンス。格差社会や排外主義を煽る現代社会に対し、強烈・痛烈な批判が込められている。其して終盤には大どんでん返し、とんでもない黒幕が…!最後迄目が離せなかった。
◎市長はムコ殿
(出演:渡部篤郎、黒谷友香、酒井敏也、市毛良枝)
急死した舅の後継として、無理矢理市長にされてしまった気弱な婿養子を描く。
普段は厳つい役が多い渡部篤郎が演じる、妻と姑に振り回されっ放しの情けない婿の演技が笑いを誘う、コメディタッチのほのぼの系政治ホームドラマ。但し「2代揃って改革派」の割りに、掲げる政策はかなり微妙。
◎CHANGE
(出演:木村拓哉、深津絵里、石黒賢、中村敦夫)
金権腐敗に満ちた政治の世界が大嫌いで、代議士の父親に勘当され、地元を離れて小学校教員をしていた主人公。然し父と兄の事故死で選挙に無理やり駆り出され、ギリギリ当選。イケメン議員「国会王子」と持て囃される事に。然し時の与党の支持率は最低。闇将軍的議員が「誰がやっても同じなら、人気議員に責任を全て被せてしまえ」と、政治嫌いな新人議員の主人公を総裁選に当選させ、結果、総理大臣に。永田町の常識が全く分からず、右往左往する主人公。其して彼を使って傀儡政権を目論む与党の重鎮議員達。然し、永田町の常識を跳ね返す純粋で直球な発言は、少しずつ周囲を動かし…。
フジの月9でキムタク主演。監修に田崎史郎、飯島勲(小泉純一郎元首相秘書)、福田達夫(福田康夫元首相の息子、現自民党代議士)、佐伯耕三(経済産業省官僚)、中原由利(村山富市元首相の次女)、選挙指導に三浦博史(選挙プランナー)、政治指導に田中良幸(渡辺美智雄・喜美親子秘書)、川上和久(「新しい歴史教科書をつくる会」公民科教科書執筆の心理学者)と、強力な自民寄り布陣のスタッフ。正に期待皆無で観賞スタート。処が、豪華キャストによる軽快にたたみかける台詞の掛け合い・応酬は心地良く、主人公の直球過ぎる程に純粋な台詞は泣ける。内容も全面的に自民礼賛という訳ではなく、正に脚本の勝利。其して、実際に議員も落選も経験した中村敦夫の存在が生々しさを加える。只、もうそろそろキムタクに「若手」役は無理かと…。もう少し若い人を配役した方が説得力が増していた。
ノヴェライズ版(著:福田靖)もある。
◎民王
(原作:池井戸潤、出演:遠藤憲一、菅田将暉、高橋一生)
或る日、首相と息子の人格が入れ替わってしまう。混乱を避ける為、周囲には秘密の儘で過ごす事になるが、息子は学力不足な上に政治に全く興味が無い為、国会答弁や記者会見等で苦労する。一方で首相は息子の振りをして就職活動に臨むが、不採用を連発して苦労する事になる。
小説のドラマ化。権力欲塗れの首相と、学力不足のバカ息子。2人の人格が入れ替わっての大騒動。社会風刺は勿論、人情噺やホームドラマ、其してヲタクホイホイな小ネタてんこ盛りで大爆笑必至。
原作はドラマと設定に違いがあり、息子はドラマでは女子力男子だが、原作ではヤンキーである。
続編として、小説に「民王 シベリアの陰謀」、TVドラマに「民王R」(出演:遠藤憲一、大橋和也、あの)がある。
◎民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~
(出演:篠原涼子、田中圭、高橋一生、千葉雄大、前田敦子、古田新太)
妻は中卒のフリーター、夫は専業主夫で幼い子供を抱える倹しい家族。妻はテレアポの仕事でマニュアルに無い対応をしてクビになる。職を探していく内、地方議員になる方が転職より確率が高いとネットの書き込みで知り、全財産を叩いて市議選に挑戦、見事ギリギリで当選する。権力渦巻く市議会の中で、主人公は揉まれていき…。
「月9」では珍しい、恋愛要素無しの政治ドラマ。「議員を会派別でなくランダムに配置させる市長」等荒唐無稽な設定も多いが、経歴から庶民性を失わない主人公には一定共感する。政治家一家に生まれ、仕事はそつ無くこなし乍らも窮屈さを覚えて風俗に逃避する市議の動きも見もの。
地方議員はなり手不足に苦しんでいるのも確かに事実なので、職探しで苦労している人は選挙に打って出て一発逆転、というのもありなのかもしれない。
ノヴェライズ版(著:黒沢久子)もある。
◎市長死す
(原作:松本清張、出演:反町隆史、木村多江、イッセー尾形)
とある市の市長が、温泉街で死体となって発見された。市長の甥で花屋も営む市議会議員は、市長(伯父)の行動を不審に思い、市長の死の謎を解明すべく調査に乗り出す。
社会派推理小説の大家による小説のドラマ化。ドロドロの愛憎劇が繰り広げられる。かなり古い時代の小説なので、ドラマ版は現代に合う設定に手直しされている。
◎平成猿蟹合戦図
(原作:吉田修一、出演:高良健吾、鈴木京香、石橋蓮司)
歌舞伎町再開発に伴う店の立ち退き・追い出し、世界的チェリストの両親の自殺、其して秋田の自然環境を破壊する産廃処理場建設…。全ては1人の代議士が絡んでいた。彼を叩き落とすべく、偶々出身が秋田だった歌舞伎町の若いバーテンが、チェリストのマネージャーで元千葉県議秘書の指南を受け、衆院選に出馬する事になる。
小説のドラマ化。ドラマは映画みたいな演出で、クオリティは高いと思う。今時流行らないかもしれないが、勧善懲悪は見ていて気持ちが良い。ヤクザや殺し屋が出るシーンは流血や指切断等、グロいので要注意。
◎スケープゴート
(原作:幸田真音、出演:黒木瞳)
エコノミストで大学教授の主人公は、ひょんな事から民間人閣僚として金融担当大臣となる。それからトントン拍子に参院議員・官房長官として、財政改革に辣腕を振るう事に。後に党総裁選に出馬し、初の女性参院議員首相を目指す。彼女は政界の救世主となるのか、それともスケープゴート(生贄)に終わるのか…。
敏腕キャリアウーマンのサクセスストーリー。党内権力闘争の場面は中々面白かったが、財政改革の内容は「消費税増税か高齢者の負担増かの二択」というネオリベを煽る非常にありきたりな物で、原田マハの「総理の夫」そっくり。いい加減此の流れはもう飽きてくる。
◎ムーンストーン
(原作:湊かなえ、出演:永作博美、檀れい、柄本明)
主人公は元市議の妻。夫は初出馬から2期連続トップ当選の人気市議で、初当選の半年後に主人公と結婚。娘も生まれ、公私共に充実した毎日を送っていたが、県議への転身を図り落選した頃から歯車が狂い出し…。
元青年海外協力隊員で、今は「イヤミス」(嫌な気分になる、後味の悪いミステリー)の女王、湊かなえの原作。「サファイア」に収録されてる小説のドラマ化。叙述トリックが見事。
ドラマ版は弁護士役の柄本が、永作演ずる主人公を強い口調で糾弾するシーンがある等、原作より更に主人公が追い込まれる立場として描かれている。
◎罠の戦争
(出演:草彅剛、井川遥、杉野遥亮、本多博太郎、小澤征悦、岸部一徳)
政権与党の内閣府特命担当相の公設議員秘書を務める主人公。仕えてる議員の政治資金パーティの最中、自身の息子が歩道橋から突き落とされ、意識不明の重体となった事を妻から知らされる。主人公は犯人探しに奔走するが、何故か仕えてる議員から犯人探しをやめる様に迫られる。犯人は勿論、事件の隠蔽を迫る議員達にも激怒し、事件に関与した全ての人物への復讐を誓う。復讐の為の力を得る為に、紆余曲折を経て衆院議員となった主人公。然し、当初は復讐目的だった権力獲得は、いつしか権力獲得其の物が目的となり…。
韓流ドラマの手法を取り入れた、「戦争シリーズ」の第3弾。放送当時は永田町でもかなり話題に。政治権力や、政治腐敗への批判的メッセージが強烈に盛り込まれてる。
◎日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった
(出演:香取慎吾、志尊淳、安田顕、冨永愛、橋本じゅん)
仕事でミスをし、職場を追われたテレビマン。職場の連中を見返してやるべく、区議会議員選挙への当選を狙う。其の一環で、亡くなった妹の一家と同居し、「ホームドラマ」を演じる事で支持率アップを図る事になった!
家族嫌い、子供嫌いの男が、選挙当選だけの為に疑似家族を演じるという政治ホームドラマ。当初は選挙の事しか頭に無く、打算だけで動いていた「最低男」の主人公が、様々な社会問題に関わる事によって変わっていく姿が見もの。
◎合い言葉は勇気
(脚本:三谷幸喜、出演:役所広司、香取慎吾、梶原善、山寺宏一)
とある山村で、産廃処理業者が処理場の建設を決めてしまう。自然が壊されてしまうと村民は反対し、建設差し止めの裁判を起こすと決意する。其処で弁護士を探すが、業者側の顧問弁護士が辣腕として有名な弁護士と知ると、誰も引き受けてくれなかった。窮地に追い込まれた役場職員の青年は、弁護士役を演じた事がある俳優に弁護士の代わりを頼む。俳優は乗り気ではなかったが、村民は勇気付けられ、法廷内外で業者と闘争を始める事となる。
住民運動をテーマとした作品。負け確定に見える戦いに挑む村民の姿に、胸が熱くなる。声優の山寺宏一が顔出し出演している。
(Vシネマ)
◎岡本でございます!
(出演:西村雅彦、小池栄子)
関わった選挙は12戦全勝を誇る敏腕ウグイス嬢、寿暁子。彼女を雇ったのは、とある市議選に出馬表明した冴えない中年男、岡本多喜男。彼は選挙事務所も無くスタッフもおらず、選挙カーはボロボロの軽自動車。おまけに選挙ポスターは白黒10円コピーと、どう見ても泡沫候補だった。暁子は「絶対勝てない…」と頭を抱える中、多喜男は行き当たりばったり乍らも彼なりに選挙戦を進めていく。果たして結果は…。
「ON THE WAY COMEDY 道草」に収録。行き当たりばったりの泡沫候補・多喜男と、彼にブンブン振り回される暁子が見もの。終盤はホロリとさせられる展開も。
ラジオドラマ版もあり、其方は暁子役が濱田マリとなっている。濱田がヴォーカルを務めたバンド・モダンチョキチョキズの曲が効果的に使われている。
◎ノーマニフェスト for UESHIMA
(出演:上島竜兵、有吉弘行、デンジャラス、インスタントジョンソン)
ダチョウ倶楽部の上島竜兵が、山梨県上村(ロケ地は笛吹市・旧東八代郡境川村)での汚職疑惑を新聞で知り、村長選に立候補。それをアメリカのTV局が余す所無く取材したドキュメンタリー…に見立てたコメディ。
記者のジェイコブソンに「スベってる」と言いまくられるほどの竜ちゃんのスベりっぷりや、竜兵会のグダグダっぷり、戸別訪問・買収・供応・ポスター剥がし・深夜の街宣などやりたい放題の選挙違反の数々、何故か肥後リーダーが見切れてしまってる選挙ポスター、エロ根性丸出しで公私混同なウグイス嬢面接、いつも「立て替え」で金を払わされるノッチ、常にキレ気味の有吉、ヘロヘロ声のウグイス嬢、失敗したときの責任の擦り付け合い、応援演説を頼まれたのにすぐ帰らされる肥後リーダーなど、緩~い笑いが散りばめられてる。すぎ。の堪能な英語や、ゆうぞうの場違い極まる衣装など、細かい所もツボ。其して何のかんの言って、ちゃんと政治風刺コメディに仕上がってる。
村長選なのに政見放送があったり、政見放送が何故か生放送で、なおかつ出演料が要ったり(勿論ノッチ負担)、選挙戦告示前から事前運動しまくりだったり(当然選挙違反)と、ツッコミ所も多いが、其処はコメディっつー事で。オチはちょっと意外な展開。
ウグイス嬢役の「愛ちゃん」はグラドルの荒川愛。声はヘロヘロでも、実は日芸大学院卒の才媛。「声優事務所のわざとらしい女」は、銀プロダクション所属の舞台俳優、鈴木詔子。ええ声。
◎表と裏
(出演:遠藤要、大東駿介、大塚千弘)
カリスマティックな都議会議員と、若手実力派暴力団員。2人が天下を取り、NWO(New World Order、新世界秩序)実現の為に、表(政治)と裏で手を組む…。
何処のサンクチュアリだよ!という位、設定が漫画「サンクチュアリ」そっくり。主要登場人物も容赦無くバタバタ死んでいくので、展開はかなりダーク。
◎ギャル議員
(出演:里美ゆりあ)
急死した代議士の一人娘のキャバ嬢が、弔い合戦として衆院補選に出馬。家庭を顧みなかった父親に反発して家出しキャバ嬢になった女性が、選挙戦を通じて自分を見つめ直す。
主演を始め、若い女性出演者はほぼ全員AV女優というだけあって、冒頭いきなりハードな性交シーンからスタート。その後も性交や乳見せ、パンチラなど、無駄なエロシーンがてんこ盛り。完全にAVだった。色々ツッコミ処があり過ぎで、脳味噌が溶けた。orz
(小説)
◎セヴンティーン
(大江健三郎)
17歳の主人公は、常に性的欲求を拗らせていた。或る日、「新東宝」と呼ばれる同級生から、右翼のサクラをやる様に誘われて…。
17歳の右翼活動家・山口二矢が引き起こした浅沼稲次郎刺殺事件をモデルとした作品。主人公が事件を起こした動機が思想的な物というより、専ら性的快楽を得る事を目的とした物だと描写した事から、発表当時は右翼勢力から抗議が殺到した。続編の「政治少年死す」は、2018年迄単行本化されなかった。尚、「新東宝」とはポルノ映画配給会社の1つ。
◎パルタイ
(倉橋由美子)
明治大学出身の倉橋の処女作で、学生運動にまつわる短編集。表題にもなってる「パルタイ」とはドイツ語で「政党」の意味で、作中では当時明大で猛威を振るっていた革命的労働者協会革労協(革労協、解放派)ではなく、日本共産党を暗喩している。其して、党に対しあからさまに激しい嫌悪・憎悪の感情をぶつける。然し、どちらかというと反共・反左翼というよりは、反組織・反団体で「群れたくない、孤独でありたい」という姿勢に読めた。
斜に構えた孤高の願望を剥き出しにして悦に入る様は、ライトノヴェルではないがどうも厨二病臭さを感じた。
◎小説 議員秘書
(豊田行二)
原題は「青い太陽」。政治エンタメ小説を多数手掛ける豊田行二の作品。テーマは米等の農産物輸入自由化。農協系出版社・家の光協会発行の月刊誌「地上」に連載された物。作者得意の官能シーンもあり。
◎おらホの選挙
(小嵐九八郎)
「津軽選挙」と呼ばれる、青森県のドロドロの腐敗選挙を描く。
新左翼団体「革命的労働者協会・社会党社青同解放派」幹部を務めた作者による選挙小説で、直木賞候補作品。出てくる人物が、何奴も此奴も「選挙は非民主的で腐敗していて、形骸化しているのが最良。何故なら、其の方が自分は儲かって他者は落ち振れるから」という発想の持ち主ばかり。故に全員私益や我欲、打算のみで動く。読んでて暗澹たる気分になる。民主的でクリーンな選挙など幻想でしかなく、矢張り社会変革は暴力革命以外では絶対不可能なのだろうか…?orz
◎町長選挙
(奥田英朗)
主人公は、東京の離島の町役場に出向している都職員。町は町長選挙の真っ最中で、現職派と新人派に分裂して互いに罵倒合戦を展開。両陣営から支援を強要されて胃潰瘍を起こし、地元の診療所で診察を受けるも、其処の医師にも振り回されまくって…。
変態トンデモ精神科医・伊良部一郎とその患者達を描いた「Dr.伊良部シリーズ」の1編。地縁血縁を元にした骨肉の争いという、田舎の選挙の実態をよく描いている。其して、丸く収める為の解決方法も又田舎ならでは。大いに笑った。
◎選挙トトカルチョ
(佐野洋)
作家・佐野洋の元に1通の手紙が届く。手紙の主は元警察官。飼い犬の散歩中に、若い女性新聞記者と知り合い、話友達となる。暫くして、「親子喧嘩が原因で、父親が家出した」という事件性の低い記事が当事者の実名入りで載る。其の後、其の父親は県議選でとある候補の応援演説を務める。其して新聞社内では、当選順位を予想する賭博「選挙トトカルチョ」が行なわれ…。
作者自身に当てられた手紙という体裁で展開する推理小説。作中で被害者や被疑者の実名報道に疑問を呈する等、社会を見る目は鋭い。
◎妻と選挙
(奥田英朗)
玄米等の健康食や、マラソン等、色んな物にハマってきた小説家の妻。其んな妻が、今度は市議会議員選挙に立候補すると言い出した。最初は冗談かと思ったが、妻は本気。其処で、夫である小説家も妻の選挙戦を応援する事になり…。
「我が家のヒミツ」に収録されている。N木賞作家だが、時代が過ぎて最近は仕事が振るわない作家の悲哀と、当初誰からも相手にされない選挙活動に勤しむ妻が重なる。然し夫の応援演説から爆発的に拡散、終盤は怒涛の展開。夫が不器用乍らも応援演説の原稿を用意して、街頭に立つ姿は見もの。読後感は爽やか。
「小説家の妻」(出演:佐藤仁美、岸谷五朗)のタイトルでドラマにもなっている。
◎アイドル新党
(原宏一)
主人公は弱小芸能事務所のマネージャー、担当してるのは25歳になる売れないグラビアアイドル。芸能活動が崖っぷちとなる中、社長は思い付きで、「選挙に出てタレント議員ならぬ議員タレントになれ!」と言う。何とか選挙の有力者とアポを取り春日部市議選に出る事になったアイドル。彼女は地元愛を重視し、然も元レディース(女性暴走族)というマイルドヤンキーだった。彼女の特徴を掴んだ上で策を練る事になったが…。
痛快な政治小説。結構長い文章だが、小気味良い文体でスイスイ読める。終盤は国政に迄話が広がり、少々粗さも見えてくるが、アイドルの彼女の真っ直ぐな発言には共感させられた。尚、意外に性描写多目。
◎総理大臣暗殺クラブ
(白川三兎)
首相暗殺を目論み、高校で政治サークルを立ち上げた少女と、それを阻止するため苦闘する双子の姉の話。
タイトルに反し、政治色は薄めの青春小説。盗聴・盗撮・ハッキングに長けた無線マニア少女や、株で巨万の富を稼いだ少年、違法改造エアガンを撃ちまくるスナイパー少女等、何奴も此奴もチート級にキャラが立ち過ぎ。然も全員異様に戦闘能力が高い。其して性格は主人公たる双子の姉を含め一様に尊大傲慢と、如何にも厨二病を拗らした奴らばかり。ヴォリュームの割りにスイスイ読めた。萌えっぽい挿し絵を付ければ、ラノヴェとしても出せるのでは。
◎ふたご妹は総理大臣!
(作:藤原たすく、イラスト:朝倉はやて)
公選法改定で中学生から被選挙権が認められるようになった近未来、「近親重婚合法化」を公約に高1で首相と副総理になった双子姉妹が、16歳の誕生日(此処は民法改定目差さないんだ!?)に2歳上(高3)の実兄と近親重婚すべく、兄妹で3Pしまくりながら民法・刑法改定の為に奮闘する。
此、結婚年齢(16歳)や性交同意年齢(13歳)も全て撤廃してしまえば万事解決では?等とツッコんでしまった。其して主人公の同級生で幼馴染の少女がいるものの、イラストも絡みも無い非常にぞんざいな扱い。酷過ぎる…。orz
◎あぶない陳情
(忍池砂一)
仕事を辞め、転職したのは国会議員の私設秘書兼雑用係。仕事面でも性的にも色々翻弄される中、何とか仕事をこなしていく。其んな中、タクシー会社を経営する高校時代の憧れの同級生が陳情に来て…。
官能政治小説。情けない男が、同級生の為に一肌も何肌も脱ぎまくって成長していく処が見もの。
◎村長の未亡人
(葉月奏太)
東京の大学を卒業するも、就活に失敗してフリーターをしていた主人公。やっと見つけた就職先は、とある県の山奥で行われる村長選の候補の秘書見習い兼雑用係だった…。
情けない性格乍らも、未亡人の村長候補を当選させるべく様々な女性達と関係しながら奮闘する主人公が健気。其して最後は意外な大どんでん返し。
◎桃色選挙戦
(沢里裕二)
成人向けアニメ・ゲーム専門の声優でCS放送タレントでもある主人公は、野球場でウグイス嬢のバイトもしていた。この日もノーパンで股を弄りながらエロい声で仕事と自慰に励んでいると、突然黒服に拉致される。連れていかれた先は大物参院議員の入るジャグジー。性的サーヴィスを強要されるのかと思いきや、東京最小の自治体、田中市の市議選への出馬を要請されるのだった!
御バカギャグ路線の官能政治小説。「セクシャルライトノベル」と銘打ってるが、イラストは無し。ノーパンで街頭演説、集票目的の性交、対立候補へのハニートラップ等のベタな描写は勿論、「まん所の中、あったかいんだからぁ~♪」「淫撃の巨人」「田中市の真紀子」等、直ぐ風化しそうな生モノギャグがてんこ盛り。反面、選挙活動の描写自体は随分粗雑で取材が甘い。
然し「エロ声優は股を弄りながら、趣味と実益」とか、此は完全に声ヲタを敵に回してるぞ…。orz
◎人妻とろめき選挙
(橘真児)
政治家を目指し、上京して議員秘書になるも、汚れ切った政治の裏側を嫌という程見せつけられ、政治の世界に嫌気がさし、失意の内に富山の田舎町に帰郷した主人公。町役場で再会した高校の先輩に「後輩が町長選に出馬するから、選挙運動を手伝ってほしい」と頼まれるが、その町長候補は主人公の高校時代の元彼女だった…。
官能小説なので絡みのシーンは当然あるが、匂いフェチを意識した様な描写多し。選挙活動の描写はあっさり目。富山大学には無い筈の農学部に元彼女が進学してる等、作り込みはやや甘い様な気がする。とはいえ結末は希望の持てる感じなのが良い。終わり良ければ総て良し(なのか!?)。
◎お世話しましょう
(四谷シモーヌ)
政治マニアでスーツフェチの作者による政界・選挙BL。女好きで軽薄な主人公が、父親の部下の敏腕秘書にあらゆる方面で世話を焼かれ、政治とBLに目覚めていく。然しBL作品は直接的な行為より接吻シーンの方が生々しく感じるのは何故?
◎覚悟をきめろ!
(いおかいつき)
水産会社の研究員が、地元の工場による汚染物質垂れ流し反対の市民運動に参加した事を切っ掛けに参院補選の候補者に推され、前職後継(前職の息子&秘書で工場誘致者)と激しい選挙戦を戦う。
報道人という中立公正を求められる立場乍らも、裏で親友(→恋人)の当選の為に必死になる記者と、彼が呼び寄せた選挙コンサルタントの敏腕さが見もの。然し「友人の身内の有名人が応援演説」等、余りに御都合主義的展開にややゲンナリ。
選挙後の展開は続編「勝負をきめろ!」にて。
◎勝負をきめろ!
(いおかいつき)
「覚悟をきめろ!」の続編。参院補選に無所属で出馬・当選し、晴れて参院議員となった大河内史貴と、大手新聞社を辞め、硬派な政治雑誌の契約記者となった中垣哲平。無所属を貫き、専門の環境保護政策に取り組み、金の掛からぬクリーンな政治を目指す史貴(受け)と、其を報道で後押しする哲平(攻め)の愛が描かれる。
序盤は登場人物のキャラが薄いため中々ページが進まなかったものの、中盤以降は中々ドラマチックな展開。史貴の政策秘書・土佐は非常に有能。
◎代議士は恋をささやく
(水壬楓子)
与党議員の秘書を務める主人公。彼の前に現れたのは、Vシネ俳優で衆院選に当選したばかりの新人代議士。実は2人は高校の同級生で、ふとした切っ掛けで1度だけ肉体関係を持ってしまった事があり…。
同級生再会物の政治BLラノヴェ。高校生徒会の時の描写も結構長い。中々素直になれない主人公(受け)と、強引にグイグイ押してくる代議士(攻め)の関係がツボなのかしら?個人的にはもう少し政治描写濃いめが好み。
◎花を撃つ
(剛しいら)
世襲の為に、意思に反して無理やり衆院選に出馬させられた弁護士の青年。彼の元に殺害予告の脅迫状が届き、SPが派遣され…。
政治サスペンスBL。窮屈な人生への辛さと孤独感からSPを慕う代議士(受け)。そんな彼の甘さを叱りつつも、段々保護欲を掻き立てられるSP(攻め)。互いにノンケの筈なのに、次第に惹かれ合い…、という内容。脅迫の送り主も後半でガッツリ登場。エグい描写は少なかったので、読み易かった。
◎独裁者
(新井諒)
松下政経塾みたいな全寮制の政治家養成所を舞台に、若い寮監に調教されていく寮生を描く。SM描写多め。
政治関係の描写は余り無く、学園物っぽい雰囲気。
◎サクリファイス-犠牲
(河野葵)
代議士である父の秘書を務める主人公。然し、将来を嘱望されつつ亡くなった兄と違い、誰からも愛情を受けることなく、心は荒みきっていた。或る日、父の命令で大手新聞社の副社長の元へ行かされる。其の日から、性奴隷として飼われる日々が始まった…。
導入は男性向け官能小説の様なハードな展開のBLラノヴェ。副社長(攻め)が兄の代替として自分を飼っているとしても、其でも良いから愛されたいという主人公(受け)の愛への渇望が此でもかと強調されている。
(ゲーム)
◎PARTY SPIRIT2~Jijyの大逆襲~
(大日本専門分野開発機関)
前回衆院選で、「可愛い女子高生が党首をやってる」と話題になり、大躍進を遂げた右翼政党・大日本専門党。然し、政権与党・自民党のJijy達は議席を奪還すべく、策を練っているのだった…。
ありそうで無かった選挙シミュレーション。同人誌即売会やゲーム自販機「ソフトベンダーTAKERU」等で販売された同人ゲームで、同じく選挙シミュレーションゲームである「PARTY SPIRIT」の続編。街宣は勿論、時には買収やマスコミ工作等も駆使し、第1党を目指す。発売当時(1993年前後)の政党(自民、社会、公明、共産)が実名で登場。他には主役政党である大日本専門党、アイドルによるアイドル新党、ヲタクの知識人連合、党員が全員天本英世キャラの秘密結社同盟が選択出来る。他党と選挙協力も出来、協力すると他党が自党を応援してくれる事もある。
街宣より買収の方が遥かに集票効果が高いので、余り実際の選挙の参考になるゲームではないが、ギャグとしては非常に楽しめるゲームだった。
◎プレジデントアイドル~党首養成大作戦!~
(超越数理学研究所)
政治の「せ」の字も知らないのに、何故か国会議員になってしまった大日本専門党党首・有川未来。国会質問で「分かんなーい!パス!」と発言してしまったせいで、国会は大混乱。専門党は解党の危機に追い込まれる。次のTV討論会迄にまともな政治家に育て、汚名を返上すべく、一大作戦が始まった!
「PARTY SPIRIT」シリーズのスピンオフ作品で、専門党党首の女子大生、有川未来を一人前の論客に育成するシミュレーション。同人ソフトとしては「PARTY LEADER」というタイトルだったが、一般ソフトとして発売される際、「プレジデントアイドル」と改名された。ゲームシステムは「思想」「演説」「政治」「国防」「国際貢献」「経済政策」「税制改革」等、様々な科目を未来にレクチャーし、まともな国会議員(というか右翼活動家)に育て上げるという物。然し未来は基本的に勉強嫌いなので、最初から政治や経済について教えようとしても全く覚えようとしない。なので、最初は「思想」「演説」「エアロビクス」「茶道」等の初歩的科目や息抜き系科目でやる気を引き出し、中盤から政治経済の初歩的科目、終盤に応用科目を教えて知識の定着を図る必要がある。
講師も充実してて、未来の祖父の盟友である右翼活動家、専門党幹事長の知人である極左活動家、大学教授、アイドル新党党首のアイドル、ヲタク評論家、秘密結社総裁(というか天本英世)、果てはエアロビインストラクターや近所のスーパーのおばちゃん、駄菓子屋の店主(地下活動家)等がいる。講師との相性もあり、右翼活動家やアイドルの話はよく聞くが、ヲタク評論家や大学教授の話にはまるでやる気を示さなかったりする。
案外難易度は高めで、科目を満遍無くマスターさせようとしても時間が足りない。なので、ヤマを張って国防なら国防、経済なら経済に特化させて育てる方が討論会を切抜け易い。討論で苦手科目について聞かれると頓珍漢な回答をしてしまい評価が下がるので、運の要素も非常に強い。然し、アホアホで気紛れな女子大生の未来が、一端の活動家に成長していく様子は見もの。
◎政界立志伝
(G&F)
選挙シミュレーションと思いきや、実際は双六ゲーム。パソコン版とセガサターン版があり、パソコン版はダイソーで100円で売られてた事もある。プレイヤーは世襲候補や議員秘書、官僚、財界人、学者、新聞記者、市民運動家、サラリーマン、苦学生等の職業や所属政党を選んで首相を目指す。実は議員当選や首相就任迄のプロセスが苦しい程「良い政治家」になれる確率が高かったりする。
ランダムで起きる政界再編イヴェントは、ブームが起きてるかどうかで物凄い落差が。ヘタをすると落選+所属政党解散などという目にも。因みに政党名もランダムなので、選択肢が「宇宙幸福党」「グループなかよし」等どうしようもない名前の党しか無かったりすると相当凹む。筆者の場合、新党ブームに乗るかどうかはそのとき所属してる党の党名を気に入ってるかどうかで選択することが多い(気に入ってれば留まり、不満なら新党結成)。
政治評論家の細川隆一郎監修で、エンディングでは首相就任迄の立ち振る舞いでコメントが変化する。身綺麗なら絶賛され、腹黒いことに手を染めれば烈火の如く怒られる。4人迄同時プレイ可能なので、暇潰しやパーティゲームにでも。
(成人向け作品)
◎今まで知らなかった!?こんなにHな国民総選挙!!
(監督:野本義明)
保守派日本ゴム中党、日本お母さん組合生外出し派、口淫口内党、自慰スポっ党、女性上位膣内芯生党、処女膜保全党、日本手淫党、新日本ドS党の各党候補が、文字通り体を使った選挙戦を争う。
ソフト・オン・デマンドの企画物AV。得票目的で体を提供する行為って、公選法違反なのだろうか、其とも売春防止法違反なのだろうか…。
◎昭和六十年 SEXと革命とゲバ棒
(監督:ヘンリー塚本)
或る男の前に現れたのは、ヘルメット姿の女。女は男に、「自分の所属党派にカンパしてほしい。代わりに自分の体を提供する」と訴えてきた。男は女を「カンパの為なら売春紛いの事もするのか」と蔑むが…。
昭和的作風を得意とする、ヘンリー塚本によるAV。舌を舐め合う行為や、唾液を飲む行為等、性描写が濃い目。
◎いろはにほてと 性賊/SEX JACK
(監督:若松孝二、脚本:足立正生)
舞台は新左翼活動家のアジト。此処では活動家達が、「薔薇色の連帯」と称する乱交に耽っていた。然し、1人の活動家だけは交番襲撃や共産党本部爆破等、過激な活動を展開していく…。
鬼才・若松孝二と、日本赤軍元メンバー足立正生がタッグを組んだピンク映画。出演者はアングラ劇団関係者で固められている。モノクロの映像で、只管退廃的な雰囲気だった。