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お誕生日おめでとうございます!

「「お誕生日、おめでとうございます!!」」


(……あぁ、もうそんな時期か。びっくりしたぁ)


モーニングコール替わりの使用人達の怒号に肩を揺らしつつのっそりと起き上がる。

脇には、いつも紅茶を淹れてくれる侍女がひかえている。彼女の名はエリーといっただろうか。


(ロザリーってそのへんの記憶うっすいんだよなぁ。たぶん本人があんまり使用人に興味無かっただからだろうけど……こんなに可愛いのにっ!)


エリーは妖しい紫色の瞳とは対称的に、まだまだあどけなく、愛らしい見た目が目立つ。しかし、感情の起伏が薄く、喋らない為に妙に大人びても見える。前世であれば、ミステリアスで寡黙なキャラといった位置づけだろうか。


本日はロザリー•ハートウェスト公爵令嬢8歳の生誕祭である。


(ゔーー……前世が三十路だったせいか、時の流れ早すぎワロタ……特に転生してから3年、転生モノっぽいこと特にしてないんだけど……流石にやばい?)


学園入学まであと7年。とは言え元三十路の脳は時の流れが早すぎる。

そして、特に令嬢教育が面白くない。

学園にわざわざ行かなくたってもともと日本で高水準の授業を大学まで受けたのだから、今更二桁同士の足し算引き算とか言われても、暇つぶしにもならないのである。


(ありがとう、義務教育。ありがとう前世の父上母上。ありがとう高等教育!!でもやることないのも困りものなの!!!……誕プレに何か頼もうかしら。)


一応ダンスや礼儀作法もやっているが、もともとのロザリーのポテンシャルが高すぎて、一度の授業でバッチリ覚えてしまう。悪役チートもここまで来ると困る。


「ロザリー!おめでとう。今日は初めてホストとしてパーティーに出るだろう?緊張しているか?」


すっかり大人びたロドリック。この前まで親を取られたとないていたのに子供の成長は早いものだ。

推しの成長をなぜか母親目線で見るタイプだったロザリーは習ったばかりのお貴族スマイルでニッコリ微笑んだ。


「いいえ、お兄様。わたくしの誕生日パーティーという名の下の売り込み&婚活パーティーでしょう?……まったく、誰が主役なのか、たまったもんでは有りませんわ。」


お前なぁ……と微妙そうな顔を浮かべるロドリックの背後からロートレルがひょっこり顔を出す。


「皆おねぇさまに媚を売りたいんだよ。だって王族との関係が出来るかもしれないからね。あとは、優秀だって評判のおねぇさまと関わりを持つことで、社交界で少しでもいい位置に立ちたいんだね!」


訳知り顔で微笑む弟妹達に、兄は呆れてため息をつく。

この小さな推しを兄と認識するのも慣れたものだ。

オタク心は消えないが。


(なんなら誰にも話せないっていう抑圧からか、偽名で本出しちゃったし。幸か不幸かヒットしちゃったし。)


そう。◯イッターもピク◯ブもない状況下で、ネットに恵まれて供給を漁り、自我を放出していたオタクにこの中世ヨーロッパ風ゲームの中はきつかった。

加えて、女性の趣味が花嫁修業のような手芸か、音楽か、それか読書かといった地獄のようなラインナップの中、男女の仲を親密に描いたものは庶民用にしか出回らないが、なぜか男×男は行けてしまった。その結果、お貴族様から庶民まで、女性たちの間でコソコソ楽しまれるBL文化ができてしまった。現在、3巻執筆中である。

限界までため込まれた欲は、創作という方向性で放出されてしまったのだった。

ちなみに知っているのは本を取りまとめるギルドとのやりとりを手伝ってくれたエリーだけ。



「あらあら、私の天使たちはここにいたの?今日の主役はのんびりしている暇はないわよ?」


ママン登場。食堂に向かう兄たちと別れ、私たち女性陣は朝食もそこそこに、メイクルームへと引きずられていったのだった。

ここから舞踏会に入ります!

ドレスや人の造形の設定大好きなのでワックワクですねぇ。ぜひポテポテと☆押して、次回をお待ち下さい!

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