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使用人エリー•ノワールの内情

唐突だが、お嬢様は変わられたと思う。


私はエリー•ノワール。ノワール子爵家の第3子で、ハートウェスト公爵家のお嬢様、ロザリー様に仕えている。


(人払いをされて、物に当たり散らすこともなくなったし、愚痴という名のえげつない悪口を聞かされることもなくなった。)


私は、声がでない。というか、喋れなくされたという方が正しい。

乱暴だった父に殴られるうちに精神的な負荷か何かで喋れなくなったのだ。


その日は夜会での失敗で酷く折檻され、雨の中馬車から放り出された。

家まで歩くにはとおすぎる距離に呆然としていると、私の前に天使が現れた。


「……捨て猫だわ。私が面倒を見るから、拾ってちょうだい。」


華やかな装いが誰よりも似合う彼女はまだたったの4歳の公爵令嬢、ロザリー•ハートウェスト様だった。


初め、公爵様や公爵夫人は酷く反対していた。

身元ははっきりとしていても、そんな少女は履いて捨てる程いる、しかも喋れないなんてと。


(当たり前よね。)


私が一番納得していたと思う。私はどこまでも不幸なのだと、生まれたこと自体が間違いだったと信じて疑わなかったのだから。


「嫌よ。わたくし、これの目が気に入ったの。喋れるとか、喋れないとか、関係ないわ。」


(目……?父や兄に気味が悪い毒のような色と言われたこの目が?)


「紫できれいなの!前おかあさまが見せてくれたブローチみたい!」


私よりずぅっときれいなルビー色の瞳をキラキラさせて言うものだから、公爵様や夫人も、最後には折れてしまった。

その日から、私はお嬢様の所持物である。


お嬢様は分かりやすい人だった。

貴族としての矜持を重んじ、人との関わり合いをメリット、デメリットで見分ける。

当然、所有物に声などかけない。

しかし、お嬢様が倒れてからというもの、お嬢様は所有物に声をかけ、礼をいうようになった。

物腰が前よりずっと大人び、声色が丸くなった。


「お茶、淹れてくれる?」


今日もお嬢様は変わられたままだ。しかし、所有物は何も言わない。

だって、拾ってくれたあの日から私の人生はこの人に捧げると決めたのだから。


私は、今日もお茶をいれる。拾われたという人生で最大の幸せを噛み締めながら。

なんだかシリアスになってしまいました……

この通り、エリーはロザリーに心酔と言っていいほど身を預けています。やっぱり捨て子を拾うのはテンプレですよね!ぜひシュペペンと☆を押して次話をお待ち下さい!

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