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お兄様乱入

ベッド脇のベルを鳴らし、紅茶を淹れてもらう。

きれいな所作が意識しなくても流れるように体を動かす。

齢5歳にして、恐るべし。


(悪役令嬢って、ヒロインがスッキリするためにとんでもねぇポンコツもしくはバカみてぇに優秀の二択よねぇ。さすがに9人分悪役令嬢ワンオペをポンコツがこなすのはきついか。)


壮絶な美少女が陽だまりの中紅茶を飲む。

まるで絵画のような部屋の一角に、けたたましい音が邪魔をした。

バゴォン!と言う音と共に涙目で入ってきたのは兄、ロドリック。


「おにいさま、レディの部屋にノックは必須でしてよ?」


(やべぇ、つい大人テンションで喋っちゃったけど、これ妹から言われたら相当な屈辱……)


案の定、兄は麗しいかんばせにかーっと血をのぼらせて殴りかかりにくる。

あ、侍従とメイドが走ってきた。あーーー、抱きとめられちゃった……

(推しに殴られるなら本望だが??)


若干残念そうなロザリーに、ロドリックはべそを描きながら拙く話す。


「お、お前さえいなきゃ、お、俺だって母上達に褒めて貰えたのにっ!!」


周りの大人(使用人)達は、ワタワタと慌てているだけ。まぁ、雇用主の子を叱るわけにも無理やり部屋に戻すわけにもいかないよね。両親は私を溺愛していると言えど、ロドリックやロートレルを愛してないわけでは無いのだから。


行き場のない怒りをどうすることもできず、ぐずぐずと泣き出した兄に歩み寄る。

メイドが止めようとするけど、気にしない。

だいじょぶだよ、万が一殴られても嬉しいだけだからね。


「おにいさま、ぱぱとままとっちゃってごめんね?」


悪役令嬢と言えど齢4歳。まだまだあどけない顔をコテンと傾ければ、兄はぐっと黙って俯いた。


「痛い痛い?ないないよ!」


こちらの世界に痛いの痛いの飛んでけー文化があるかはしらないが、ロザリーとそっくりな金髪を撫でる。


(ァーーーー!いいんですか、撫でてェ!!はーー!髪の毛サラッサラァ!お金、払わせてくだせぇ。)


兄が、もう一度こちらに向き直ると、すでにそこに怒りはなかった。

涙が残る顔でニッと笑う。


「……おにいさまだからな。たまには譲ってやるよ。」


(ぐぅーーーー!!!可愛いねっ!!!!!カメラ……ねぇわ。スマホ………ねぇわ。誰か、画家呼んで!描いて!)


「ありがとう、おにぃさま!」


おそらくはロザリーの記憶の中で初めての兄妹喧嘩。

疲れた兄が侍従に抱かれて部屋を出ていく合間に記憶の中のファンブックを漁る。


(えーーー、兄妹喧嘩、兄妹喧嘩……、あるわ。)


唐突に記憶が蘇る。

公式ファンブック2巻の後半。ロドリックがロザリーを忌み嫌うようになる話!


今回同様、乱入してきたお兄様。原作でロザリーは侍従に抑えられたロドリックに手に持ってたお茶をぶっかけるのだ。

その頃ロザリーは、模様を出してから周りの大人にチヤホヤされて、自分こそ世界の中心だと信じて疑わなかった。だからこそ、そこに食い込んできたヒロインを嫌悪したのだが。

お茶をぶっかけられ、肩に火傷をおった兄と、乱入された私。両親は、なんとロザリーを軽くたしなめ、ロドリックを酷く叱るという暴挙に出るのだ。


(そりゃあ、乱入して来たロドリックが悪いけどさぁ、普通手を出したほうがだめじゃん?)


ぼんやりと考えながら冷めた茶を淹れ直してもらう。


(……そういえば、初フラグ折り成功では??)


あっさりと終わってしまったフラグ折りになんだかちょっとがっかりしながら、ロザリーはため息をついた。


ショタお兄様との初死亡フラグ折り成功!

この次は、使用人達の小話を挟んで、ちょっと時を飛ばそうと思っております。ぜひすぺぺぺぺんと☆押して、お待ち下さい!

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