第31話 ロリ魔法使いはむっつりです
数日間の魔法勉強会が続き、大変教えるのが上手いソフィア先生のおかげで、ファイアを3日、ウォーターを4日の勉強期間で覚えることができた。
「ライ、あんた中々センスあるじゃない」
想定よりも早く覚えたのか、それとも3属性を使えるようになったことについてなのか、どちらにしろソフィア先生に褒めてもらえて鼻高々であった。
「ちょっと試したいことがあるから、アイテムボックスの勉強の前に少し時間くれる?」
「いいけど?なにするのよ?」
「まぁ、それは出来てからのお楽しみで」
「なによ、気になるわね」
それから3日間は前と同じようにベアウルフ狩りを続けて、オレは夜の間に新魔法の開発に勤しんだ。
新魔法の開発、これが試したいこと、だった。なので、ソフィアには内緒で進めていく
ちなみにリリィの開発にも勤しんでいたのは秘密だ。まぁ我慢できなくて普通にイチャついただけなんだけど。
♢
新魔法の開発が完了した3日目の晩、攻略スキルを開くと新しいアドバイスが表示された。
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新魔法のお披露目をするのは、使い道が実現してからにしてください。
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とのことだ。
まぁ、明後日には新魔法の本領を発揮するための道具も完成する予定だから、
1日待つくらいはいいだろう。
オレは、はやる気持ちを抑えてソフィアへのお披露目を1日延期することにした。
♢♦♢
それから2日後、討伐依頼が終わったあと、オレはソフィアを宿の部屋に呼び、新魔法のお披露目をすることにした。
「それで?なにを見せてくれるわけ?」
「なんと!新魔法をお見せします!」
「新魔法?あんたが?」
いやいや、魔法初心者のあんたがなに言ってるのよ、という雰囲気だ。
「じゃあ!ご覧あれ!」
オレは両手でバスケットボールを持つようなポーズをとって、
「ウォーターファイア」
とウォーターとファイアを流れるように唱える。
右手からウォーターにより丸い水が生み出され宙に浮く。すぐに、左手からファイアが出て、水の中で燃えはじめた。そして、すぐに水がグツグツと沸騰し出す。
「ほら!どうよ!」
「へー、面白いわね」
ソフィアはオレの手の周りを色んな方向から覗き込み観察する。
「これって、左右の手で別の魔法を使ってるってことよね?」
「そう、その通り!」
この魔法を習得するにあたり、両手のバランスを保つのが1番苦労した。
ウォーターを使ってるときにファイアを使うとウォーターが消えてしまったり、ウォーターがデカくなり過ぎたり、火加減が弱かったり強かったりと、調整が難しかったのだ。
ピアノを両手で弾いたり、ギターを弾いたりするのと同じで慣れるまでが難しいというやつだ。まぁ、どっちも弾けないから知らんけど。
あぁ、キーボードを見ずにタイピングできるようになるまで、の方が分かりやすいかもしれない。
そんな感じで、今となっては上手いこと調整してお湯を生み出すことができるようになったのだ。
「へー、こんな感じかしら?」
ソフィアがオレのポーズを真似て「ウォーターファイア」と唱える。
「いやいや、そんな簡単じゃないですよソフィア先生」
ここ3日間、毎日練習してたんですよ?そんなすぐできるわけ、
「あ、できたわ」
「え!?そんなバカな!?」
「あんた、あたしが天才だって忘れたの?」
「うぅ……正直アホの子だと思ってました……」
「どういうことよ!」
ウォーターファイアで作った熱いお湯の塊をコッチに投げようとしてきたので、「冗談です冗談」と白旗を上げる。
「……で?これなんのために使うの?料理とか?」
「おっ!確かにそれもいいけど、メインはこちらです!」
オレは防具屋のエマに頼んで作成した作品をソフィアに見せる。
見せる。というか、ずっと自室の端っこに置いてあった。そこにソフィアを誘導する。
「なにこれ?」
「シャワーです!」
「シャワー?」
そこには、デカい桶が床に置いてあり、その桶を囲うようにカーテンが引かれていた。
そして、銀のポールが身長よりも高いところに伸びており、頂点には袋のようなものがぶら下がっていて、その袋からシャワーヘッドが伸びている。これはアウトドアなんかで使う、ポータブルシャワーを真似して作ったシステムであった。
「まずはですね、この袋を取り外してお湯を入れます」
ウォーターファイアを唱える。
「そしたら、この袋をこのポールに戻します。そして、カーテンを閉めて、このシャワーヘッドを持ち、このツマミをひねるとシャワーを浴びれる、というわけなんですよ!」
これを作るためにファイアとウォーターを覚えたのだ。テンションが上がっているオレは自信満々でシャワーの使い方を説明した。
昨日、リリィに試してもらったところ、「すごいです!これは気持ちがいいですね!さすがライ様です!天才ですね!」と大好評であった。
オレ自身も、身体を水とタオルで拭く、という風呂事情が改善されて大満足である。
自信満々に説明し終わったあと、目をつぶって、どうでしょう?とソフィアのリアクションを待っていると、
「う~ん?それでシャワーってなんなのよ?このツマミをひねるとなんなの?」と言ってツマミをひねってしまう。
「あばばばば」
服を脱いでないオレの顔面にお湯が注がれる。
「きゃっ!」
ソフィアは自分だけ後ろに下がって被害を避ける。
「え?なに?お湯が出てるってこと?」
「ぷはっ……うん、そういうこと」
もう濡れてしまったので、そのまま実演することにした。
「こうやってシャワーヘッドを使うとお湯で頭を洗えるし、あったかいお湯で身体を洗えるから気持ちいいよ」
言いながら上半身のシャツを抜いだ。
「ちょ!ちょっと!なに脱いでるのよ!」
ソフィアは真っ赤になりながら両手で目を隠す。でも、ぜんぜん視線は隠れてなくて、指の間からオレを凝視していた。
「ん?いや、だからこうやってシャワー浴びるんだよっていう実演。あ、さすがに下は脱がないから」
「ふ、ふふふ?ふーん?へ~?なかなか凄い発明なんじゃない?」
そういうソフィアは、シャワーよりもオレのことを観察してるように見えた。特にオレの上半身を凝視している。
「なんか、オレの身体がどうかした?」
「は!はぁ!?べつにあんたの身体なんか興味ないわよ!勘違いしないでくれる!?」
「なにを勘違い?」
はてなマークを掲げていると、
「も、もう行くから!また明日!」
バンッ!と扉を開けて出ていってしまった。
なんだったんだろう?
♢
-ソフィア視点-
バタンッ
「はぁはぁはぁ……」
わたしは自分の部屋に走って帰ってきた。
「なによ、あいつ、急に脱ぎ出して……」
さっきの光景を思い出す。
ライの、ライの鍛えられた身体を、思い出す。
「す、すごい筋肉だったな……」
お腹とか割れてたし……
わたしはお腹をさすりながら確認する。わたしと全然違う。
胸も硬そうだった。確認のために自分の胸を触る。
「んっ!」
変な声を出してしまった。
「……」
あいつの身体が目に焼き付いて離れない。
「……サイレント」
わたしはそう唱えてから、また自分の身体を触り始めた。
「んっ、ライ……」
そのまま服を脱いで自分を慰めはじめてしまう、悪い癖だ。
わたしは気づいたら眠ってしまっていた。
「面白かった!」
「ヒロイン可愛い!」
「今後どうなるのっ……!」
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