第五十二話 担任
「出席確認するぞ〜まずはーー」
田辺先生が順番に生徒の名前を呼んでいき、一人ずつ気怠げで眠そうな返事をする。
「六真は……お!やっと来たか〜」
「ひっ久しぶりです、先生」
「六真は今日の放課後、職員室にこいよ〜。それお穂野江は休みか」
田辺は手に取ってある出席簿にカリカリとマークをつけていく。
「ハイ、わかりました」
呼び出しの理由は多分、アレだろうな……
「それと連絡事項だが三眼の美術が変更になってーー」
淡々と田辺による授業変更と今日の1日の流れを簡単に言う。
「よし、そんじゃあこれでHRを終わるぞ。授業の用意とかしとけよ〜」
こうしてHRが終わると田辺先生は教室から出ていき、他の皆はそれぞれ自分のやるべきことをする。
「……はぁ〜」
僕は机に突っ伏し、深いため息をする。
なんでこんなにガックシするかというとそれは学生ならではのやりたくないことの一番。
【補習】である。
生活をアルバイトで支えかなければならず勉強を後回しにしていたのである。
少しは勉強をしていたがいつも赤点ギリギリだったが提出物の期限を過ぎずや欠席せずにいた。
そのお陰で進級をさせてくれたが今回は違う。
『悪魔に襲われて病院にいました』、なんていっても誰も信じないというか言えない。
僕は頭を抱える。
1週間も居残り補習だったらどうしようと本気で考える。
「どうしよう……」
「六真、ホラ」
ポンポンと肩を優しく叩かれた六真は後ろを振り向く。
「陣か……ってコレって!?」
「お前、1週間も休んでたしよ。これを貸してやるから元気だせ」
陣の手には教科ごとのノートを持っており、手渡してくれた。
「……ありがとう」
あぁ僕はなんて良い友人をもったのだろうと涙がでる。
「いいよ、六真とは一緒にいたいからよ」
「陣は本当に良いヤツだなぁ。お昼にジュース奢らせてよ」
「いいから早くスマホで写真撮れよ、田辺の補習もあるんだろ」
「陣、お前というやつは……」
僕は陣からノートを受け取り、スマホで写真を撮る。
さすがに量がありすぎてすぐには返せず授業が始まる鐘が鳴った。
キーンコーンカーンコーンーー
呼鈴が鳴り、皆がそれぞれの席に着いていく。
「それじゃまた後でな」
「うん、またね」
ガラガラーー
「よ〜し席につけよ、授業始めます」
そうしていつもの何気ない日常が始まる。
放課後ーー
「よし、これで終わったぁ〜」
グゥ〜っと背筋を伸ばして体のコリをほぐす。
いつも短く感じていた時間が今日は長く感じていた。
「よっおつかれさん。久しぶりの授業はどうだった?」
「陣、そうだね……長く感じたよ。それとノート返すの遅くなってごめん」
「ノートはいつでも良いよ。そんじゃあ早めに田辺のとこに行ってチャチャっと終わらせて帰ろうぜ」
そうだった。田辺先生から呼び出しを受けているのを忘れていた。
……気は進まないけどしかたない。
僕は鞄を手に取り重い腰を上げる。
「陣は教室にひとまず残ってる?」
「そうだなぁ〜六真がちゃんとやってるか監視役をしとくよ」
「監視って、お前なぁ〜」
軽い談笑をして陣と別れる。
一階の職員室につき、コンコンとノックする。
「失礼します、田辺先生はいらっしゃいますか?」
変に声が高くなるのを抑える。こういうのって慣れないよなぁ。
「おっ六真、忘れずにきたな。こっちこ〜い」
田辺は手招きしながら六真を自分のデスクまで誘導する。
「あぁえぇっと田辺先生」
『1週間も休んですいませんでした』の声をだして言いたいのに詰まってしまう。
「まぁとりあえず、ここじゃなんだし教室に行くか」
「ハイ……」
田辺と六真は職員室からでて、教室に向かう。
教室につくと中にいるはずの陣の姿がどこにもいなかった。
陣……もしかしてトイレか用事があって帰ったのかな?
そう思っているとなにか違和感を感じる。
うん、魔目が反応している?
魔力を感知したのかボンヤリと教室が膜に覆われている。
誰かが仕掛けたのか危険性があるのか分からない。
六真は全身が強張る。
「先生、違う場所にしませんか」
「ふぅ〜ん、これに気づくか」
「先生!?まさか」
一瞬で汗をかき、警戒する。
「すまんすまん、害はないから。それと聞かれたくない内容があるからな」
「……陣は」
「あいつなら大丈夫だ。私たちに"気づいてない"だけだ」
『ホラ、入れ入れ〜』とグイグイと押された六真は教室に入ってしまった。
教室に入ってしまった六真は身構えたが本当に害はなかった。
「まず、六真……すまなかった」
突然、田辺先生が深々と頭を下げて謝罪の言葉を述べた。
「先生!?あ、頭をあげて下さい!」
「いや、これは私のミスだーー本当にすまない」
田辺先生から話しを聞くとこうらしい。
学園から邪気が溢れでており不自然に思いDDOに依頼したのが田辺先生。
なんと先生は元々、DDOの隊員だったがとある事情により辞めたらしく教師としての道を歩んだ。
DDOに依頼して邪気を払ってもらおうとしたが悪魔が出現していたのは想定外だった。
紆余曲折あったが自分の生徒がDDO隊員となったことを知った田辺先生は学園を休むのに六真に関しては色々と手を回してくれた。
「悪魔(D)の出現を失念していた私の落ち度だ……お前に責められてもおかしくない」
「それでも先生が色々してくれたお陰で僕はこうしていられます。だからこの話しはやめましょう」
「し、しかし」
スッと僕は先生が口にするのを止める。それを見た田辺先生はもう何も言わなかった。
「はぁ……分かった。そんじゃあ六真は1週間も休んだからな。コレを渡しとく」
ドサッと机に十冊ぐらいのノートの厚みがあるプリントが置かれた。
「これを補習とする。コツコツとやれば早く終わるからな。がんばれよ〜」
デスヨネェーー
予想していたが当たって欲しくなかった。
「ハハッーーハイ」
乾いた声で返事をする。
「お前が無事で良かった、そんじゃ気をつけて帰れよ」
パチンと指を鳴らすと教室を覆っていた膜が消えていき、田辺先生の姿が消える。
どうも〜蒼井空です!
読者の皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
雪が降るのが落ち着いていますがまだまだ寒いですね(´・ω・`)
読者の皆さま、ゆっくりとストーブで暖まって風邪をひかずにしてくださいね。
これからもムリせず作品作りをがんばっていくので温かく見守って下さるとありがたいです(T_T)
それでは長々と書きましたがまたお逢いしましょ〜う(^O^)/




