第四十一話 全貌
ダイダラボッチとの会話文章ではワザとこうしているので読みにくいかもしれませんがご理解して頂けるとありがたいです。
「ソウナノカ……コレハ我がヤッタノカ」
ダイダラボッチは自らがやった惨状を見渡す。
木々は痩せこけ、川は流れず、動物は弱っている。
穂野江は苦々しく現実を教える。
「ハイ、その通りです」
「ソウカ、我はナントイウコトヲーーイマモドソウ」
ダイダラボッチは両手を合わせ、邪気や瘴気によって毒されてしまった自然を浄化していく。
「フム、コレデヨイ。しかし力を使い過ぎたヨウダ」
「ありがとうございます。ダイダラボッチ様、洗脳させる前の記憶をお教え下さりませんか?」
「ウム、だがスコシシカ思い出せぬが」
ーー二日前
「ここがダイダラボッチを祀る祠の中ですか」
「ハッその通りです。哀奇様」
深くフードを被り、顔を見られないように隠し、危険な雰囲気を出していた。
リーダーである哀奇という男と部下と思わしき者が五人、計六人がいる。
ダイダラボッチはその者等が邪な心を持ち、森に害をなす存在になる事に気づき、分身を降臨させる。
「ココニナニヨウダ。人道を外れたヒトノ子よ」
ダイダラボッチは敵意を持ち、その者たちに圧力をかける。
「ほう。ノコノコと自らやってくるとは好都合です」
哀奇は目配せを送り、部下達がダイダラボッチを囲み、陣を組む。
「ワレヲ操るつもりか。身の程をシレェ!」
ダイダラボッチは風をおこし、吹き飛ばそうとしたが。
「やはり神に近しい存在……しかしこれならどうです」
『やれ』と合図を送り、部下の者らは懐から短剣を取り出し、躊躇なく心臓に突き刺す。
「選ばれた強者の世界の自由のために」
そうして部下の魂を代償とした強力な洗脳魔法がダイダラボッチの精神を汚染していく。
「グゥゥ、ナントイウコトヲ……」
頭が禍々しい物に食い荒らされるような激痛が襲いかかる。
「素晴らしい。まだ保っていられるとは」
パチパチと心にも無い拍手をする。
「それではせいぜい役に立って下さいよ。木偶の坊」
グゥゥ、このまま逃がしてなるものかと最後の力を振り絞り、哀奇に印をつけた辺りから意識を失った。
「コレが我がオモイダセルトコロダ。ソシテコレヲ」
穂野江のサイタイスに指を近づける。
「はい、ありがとうございます。ダイダラボッチ様の怒りを清算させます」
これで奴ら(敵対組織)の居場所を確実に発見できた。これならーー
「タノム。そしてアノ【ヒトの子】はいったい」
眠っている六真を見るダイダラボッチ。あの時、操られていたが少しだけ意識を取り戻していた。
人ならざる力を持ち、神や魔王に匹敵するあの力……まさかとは。
「わかりません。味方か敵かも」
「そうか。ソレデハその子にささやかな力を」
ダイダラボッチは自分の手から創り出した勾玉を六真の身体に入れ込める。
「ダイダラボッチ様、それはいったい?」
「これはちょっとシタ御守だ」
もし万が一があればそれが力になろう。
「ソレデハ、ワレハ眠りにつく」
「ハッ」
そうしてダイダラボッチは自らの祠に帰り、眠りにつく。己の力が戻るまでに。
「一先ずは乗り切ったのよね……」
アイツは一体何なの?自分から『敵じゃない』って言われても信じる人なんていないのに。
でもなぜか信じられるのはなぜかしら?
穂野江の中に疑問の糸が複雑で絡み合っていく。
「貴方は一体、何者なの?六真君……」
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