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第三十八話 タイムリミット

 六真とダイダラボッチの拳と拳がぶつかり合う瞬間、ザワザワと感情が揺れ動く。


 コイツを真正面から受けては不味いと六真の本能に刺激が伝わる。


 「ウォォォォ!!」


 「クッ!?一点鐘・風翔!!」


 相手に近づき、己に立ちはだかる壁を撃ち抜く一点鐘ではなく風を拳に纏わす三度目の風翔である。


 しかし、その技は未完成であるが敵にダメージを与える威力には充分である。


 練り上げられた集中力が、衝撃波を一寸もズレのない一閃を飛ばす。


 「グォッッゴァァァァ」


 ダイダラボッチはまともに風翔を喰らい、上半身が後ろに仰け反る。


 「よし上手くいった!けど、どうしよう……着地の仕方が分かんねぇぇーー」


 勢いのまま走り、空高く飛び上がったが着地を考えていなかった。


 風翔による衝撃で斜め下に落ちていく六真はこのままでは地面に激突するだろう。


 周りを見ても己の役割を真っ当していて助けには来られない。


 「やるしかないよな……」


 ラバキは六真がダイダラボッチの体勢を崩したその状況に気付き足元に近づく。


 さっきの攻撃でほんの少しだが体勢を崩したダイダラボッチの隙をつき、足首を狙い続け、倒れさせようとするラバキ。


 「オラ!さっさと転べや土人形!!」


 剛腕から繰り出させる打撃音がバァンバァンと響く。流石は人間にはない力を持つ鬼。


 だが、ラバキの殴り続けたクレーターは再生していき、次第に強度が増していく。


 「ほぉやるじゃねぇか。それだったら壊れるまでサンドバッグにしてやるよ」


 アイツ、もしかしてだけどこの状況を愉しんでいるのか目がギラついている。


 鬼の闘争本能が刺激され、目の前にいる敵を倒すことにしか眼中にない。


 ラバキに助けを求められない。だからといって天ちゃんや穂野江さんにも頼れない。


 今、穂野江さんがダイダラボッチの洗脳を解く魔法を詠唱しているがその解呪の文を札に込めるのは難しい。


 その補助に天ちゃんを任せたが額に汗を流して、集中し、瘴気を祓っている。


 「シャラルイナラ・ジュカナ・イラガナーー」


 「我の前にいる邪悪なる心に支配された者の魂を清め。正しき道に戻すために主よ……我にお力を」


 解呪を試みる人間、神を信じ、信仰する天使に光を差し、聖なる輝きが邪気・瘴気を抑える。


 当然、こっちに意識を割けられない。


 このまま何も出来ずに地面に激突して、意識を失う訳にはいかない。


 僕はあの頃より成長しているはず、思い出せ!今までの修行にヒントが必ず隠されているはずだ。


 何よりも自分の身は守れるぐらいにはならないとな。


 「あぁそうだ!あのマジックモアで学んだ事を生かすんだ!!」


 風に吹き飛ばされるのを抗わず自然に身を任す。重力の応用で無理に身体の方向を変えずに動ける部分を探す。


 焦るな、何も考えず体を動かせ。


 引力によりドンドン勢いが増し、地面に近づくまでほんの数センチまで差し掛かったその時。


 「スゥゥーーハァッ!」


 呼吸を整え、全身の筋肉に酸素を送り、指・足先に筋力を増大させる。


 音を立てず、見様見真似のバク転で荒々しい波風を足で捌き、手でカバーする。


 「クッ!?擦りむいた……けどなんとか受け身を取れた〜」


 僕は身を翻し、ダイダラボッチの方に走り出す。


 暴れ狂っている巨人は大地を砕き、邪気を辺りに撒き散らせている。


 「オウ、六真ァァ無事だったか。そのまま寝とけりゃ良いのによぉ」


 「そうも言ってらんないだろ。遅れた分はしっかりするよ!」


 人間と鬼のタッグが組まれ、僕たちの心臓のギアが一気に上がってくる。


 「「一点鐘ぉぉ!足砕きぃぃ!」」


 「グォォォ!?!?」


 二人のツープラトンが巨人の足首を壊してみせたが。


 「ガガァァーー」


 せっかく壊した土の足が修復され、自分にたかるハエをタタキツブス。


 「キグガァァ!」


 攻撃してくる素振りをいち早く察し、二人はその場を離れる。


 「オイオイどうするぅぅ……このままじゃジリ貧だぜぇ」


 「わかってる!ゴホ、ゲホ……」


 肺が妙に苦しく、詰まっているイブツを吐き出す。


 口元を抑えた手を恐る恐る確認した。


 手にはベットリと鉄錆びた臭いがこびりつき、黒く変色したーー血だ。そして身体が怠い。


 「まさか侵攻が……早いのかよ……」


 穂野江さんが渡してくれた邪風の力が弱っているのか、ダイダラボッチに近づき過ぎたのか。


 様々な要因が積み重なっていると思うがボチボチ時間もかけてはいられない。


 「大丈夫かぁ?まぁ無理もねぇか」


 ラバキはこっちを気にかける素振りなんてさせず、目の前の戦に興奮し、高ぶっている。


 「そこで待ってろ……スグオワラセル」


 邪気の耐性があるのか目つきが鋭く、胸を昂らせている。


 いやーーむしろ本来の欲望が剥き出しているようだ。


 僕はラバキの肩を掴み、踏みとどませる。


 「待てよ。僕……俺も腹をくくってんだよ」


 「へぇ〜言うようになったじゃねぇか。じゃあイクゾ」


 「あぁ!いくぜ!!」


 一方、穂野江さんは洗脳を解呪する術を札に込める最終過程に入った。


 「ウゥッほ、穂野江様……これ以上はぁぁ」


 瘴気・邪気を聖なる光で浄化しているが穂野江の補助もして『ハァハァ』と息が荒くなる。


 「ナルライヤ・ソアラガナ!!」


 ヒゥゥンと風が吹き荒れ、地面に刻まれた魔方陣が札に吸い込まれる。


 「完成した。もう良いわ!これを彼に!!」


 穂野江は天使に己の脳に記憶した最も強力な解呪の札【シャアル】を手渡す。


 「分かりました!ですが穂野江様は!?」


 「私の事はいい、彼にダイダラボッチ様の額に貼り付けるよう彼に伝えなさい。早く!!」


 天ちゃんは穂野江の方に振り返ろうとしたが戦っている主のために翼を全力で羽ばたかせる。


 「ハァハァ……疲れたぁぁ。後は頼んだわ……」


 保険をかけ、魔方陣の中に六芒星が彼女の身を包み込む。


 穂野江はグッタリと倒れ、消耗した精神力を回復させるために意識を深い海に静める。


 「ウォォォォ!」


 ダイダラボッチの声が轟き、地面に亀裂が流れ駆ける。


 「避けるぞ!ラバキ!!」


 魔目で地面から魔力が放出し、流れていくのを視認し、それが危ない物だと感じ取る。


 「あぁ分かってるよ!」


 ラバキには魔力を感じ取れているのかは分からないが勘が働いているのだろう。


 「来るぞ!」


 俺達は地面から隆起する土の槍を躱し切る。


 「これじゃあ近づけねぇぞ。どうする」


 「……分かってる!クソッ」


 土の槍が俺達を襲い、ドンドンと巨人から離れていく。もう駄目なのかよ……。


 「六真様ぁぁ!!これをーー」


 穂野江さんを守っていた天ちゃんがこっちに翼をはためかせ、僕に何かを手渡す。


 これってもしかして!?


 「これをあの御方の額にお貼りつけてください!お早く!!」


 「分かった!天ちゃんありがとう」


 天ちゃんは僕に託すと安心した表情をした。僕はサイタイスに彼女を戻した。


 「天ちゃん、穂野江さん……二人の想いを無駄にはしない!」

どうも〜作者の蒼井空です!

春も近づき、暖かくなってきましたね〜

それとこんなに遅くなってしまい読者の皆様には申し訳ないです(T_T)

それでもこの【人魔転生ーー黙示録】を読んで下さりありがとうございますm(_ _)m

これからもボチボチと執筆していくので応援していただけたら幸いです。

それではまたお逢いしましょ〜う(^O^)/

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