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第三十五話 指揮

 「おはよう六真君、昨日は良く眠れたかしら?」


 「ハイ……眠れましたよ。良く……」


 なぜだろう、昨日丸一日眠ったはずなのに僕は気分が沈んでいた。


 「大丈夫?ご飯の時、君を呼んだけど中々起きなくて心配したよ」


 穂野江さんが心配する気持ちが伝わってくる。そんなに寝てたのか僕……。


 「それに君のテーブルにご飯を置いといて、片付けをするためにテントに入ったら見事に完食してたけど……どうやったの?」


 そんな事をしてたのか僕!?なんとかその状態を思い出そうとしても分からなかった。


 「アハハ、まぁ寝ながら食べてたんじゃないですかね……タブン」


 「器用ねぇ貴方……」


 若干驚かれたが特に異変もないし大丈夫だろう。


 昨日丸一日休んだお陰で体調は万全で身体は羽のように軽い。


 それで今回、穂野江さんからまだ教える事があると呼び出されて外にいる。


 三日間の特訓を終えた僕だったが今回は何をするのだろうと考える。


 体術に関してはだいぶ成長した実感はあるし、魔力を感知する能力を手に入れ、精度も高めた。


 そして魔法攻撃の防ぎ方(実際に受けて)を少しだが掴めたし、これ以上何があるのだろうか。


 そう思案し、悩んだ顔が表に出ていたのだろう。穂野江さんが気づかれた。


 「そうね。君が不思議に思うのも無理ないわ」


 「あっすみません……」


 『謝らなくても良いのよ』と言われてしまい申し訳なくなる。


 「それで今日は何をするんです?」


 肝心の本題を僕は穂野江さんに聞いてみる。


 「今日は君に"仲魔にした悪魔と協力して戦う"戦闘訓練をしてもらうわ」


 「連携戦闘訓練ですか……でも何でこんなに遅れたんですか?」


 そうだ。今後、悪魔と戦うのに僕一人だけじゃ心許ない。


 「遅れた理由はまず、君自身の戦う力が無かったからよ」


 「……」


 確かに相手は異質の存在……そんな奴等に対抗できる手段も力もあの時は無かった。


 そんな悪魔と戦うには実力がなければ話にもならず、殺される。もちろん従わせることもーー。


 最も重要なのがサイタイスによる【会話を成り立たせる】ができるプログラムである。


 このサイタイスがなければ、悪魔の言葉が分からず人間には聴こえない言語で喋るだろう。


 こんな世界に一般人が一歩、足を踏み込んでいる。


 そしてまだ僕はまだDDO隊員として認められてないのも事実である。


 だけど今の僕なら出来ると穂野江さんは教える事を決めたんだろう。


 「まぁ分かりました。それでどうしたら良いんですか?」


 「とりあえず君が仲魔にした二人を召喚して、話しはそれからよ」


 僕は促されるまま左手に装着したサイタイスを操作する。


 前に教えられた通りに召喚プログラムを起動し、二人を呼び出す。


 『天使・エンジェル、鬼・羅暴鬼ラバキ……召喚します』


 ブゥゥーーンと音を鳴らし、地面には魔法陣が刻まれる。そして空から一筋の光が射し込む。


 光に包まれた純白の翼をはばかせ、聖女が姿を現す。


 もう一方では猛々しく紅く染められた肌、二本のツノを生やした鬼がでる。


 『召喚成功』とサイタイスはキゥゥンと熱を放出し、役目を果たす。


 「六真様、今日はどうかしたのですか?」


 僕に無垢で純粋な瞳で見つめる天ちゃん。


 「オイオイ、急に呼び出しやがって……こっちはせっかく酒のつまみを探してたんだぜ」


 どうやら召喚したタイミングが悪かったのか不機嫌にこっちを睨みつけるラバキ。


 ……後で謝っとこう。


 二人を召喚した僕は穂野江さんからの次の指示を待つ。


 「穂野江さん、二人を呼びましたけど……これから何をするんです?」


 「よし、それじゃあ始めるわよ」


 穂野江さんはサイタイスを操作し、何かの準備を始める。


 なんだか背中がゾクゾクと悪寒が這い回る。この感じにどこか見覚えがあるような……。


 すると僕らの周りに四方の壁が出現し、逃げられなくされた。


 「ほ、穂野江さん!?これってまさか!!」


 「そうよ、あの時のバトルシミュレーション、この子が相手を務めるわ」


 目の前に突如、鳥が現れる、サイタイスの分析ではバーチャルバード・電子鳥獣エレトニックバーディス


 見た目は青い翼をはためかせ、くちばしと足の鉤爪はどんな物でも切り裂くだろう。だが動きには機械じみているのか自然ではない。


 「さぁ上手く指揮してバーディスを倒してみなさい!」


 「い、いきなり実戦かよ……で、できるのか」


 ハァハァと呼吸が激しくなり緊張が駆け巡り、手汗がでる。


 「六真様、落ち着いて下さい。貴方様ならきっと乗り越えられます、そのために私は全力で力を貸します」


 そっと僕の背中を優しくさすり、安心させるために微笑む。


 「そんなリキむな、今のお前ならアイツを倒せるぜ。というよりこんな戦に混ぜてもらえるなんてな血が騒ぐぜ……クク」


 二人に励まされ(一人は楽しんでいるが)、僕は吹っ切れた。


 「よし!いくぞ!!」


 ーーそうして戦いの火蓋が切られた。


 「クケェェェェ!」


 バーディスは翼をはばかせ、風を巻き起こす。


 「う、ウワァァァァ!」


 足の裏にグッと力を入れ、飛ばされないようにするが気を抜けば吹き飛ばされる。


 「う、うぅぅ……」


 天ちゃんはバーディスが起こす風に対応するが力不足で上手く翼で飛べないのだろう。


 「やるじゃねぇか!あの鳥!!」


 ラバキは涼しげにこの強風の中立っており、バーディスを獲物として捉えている。


 だが最悪なのはバーディスが起こす風は段々強くなり、肌を切り刻む。


 この状況が続けばいずれ……全滅するだろう。


 「クッこのぉぉ!」


 僕は地面にある手のひらサイズの石をバーディスに投げつける。


 がしかし石はバーディスに届かず細切れに砕かれた。


 「クケァァァァ!!」


 さらに風を巻き起こし、ついに身体が耐えきれず壁に激突しかけた。


 「ウワァァァァ!」


 「おっと大丈夫か?」


 壁に叩きつけられそうになったがいつの間にかラバキが僕を庇ってくれた。


 「六真、お前は一人で戦ってる訳じゃねぇ。しっかりお前なりの策を考えろ」


 「あっ……」


 そうだった、僕は一人で戦っている訳じゃない。頼もしい二人の仲魔がいるんだ。


 まずこの状況を見てみよう。


 風が渦巻き、今は立っているのもやっとだが時間が経つにつれて強くなっている。


 フィールドには嵐に囲まれていると思った方が良さそうだな。


 風に対抗できる手段として風魔法が妥当だが使える者はここにはいない。


 天ちゃんは魔法は使えるが主に光による癒やしだけである。


 優しすぎる天ちゃんには誰かに"攻撃"するのは無理だろう。


 僕とラバキは肉弾戦による打撃中心しか出来ないのが悔やまれる。


 どうするーーどうする……。


 よ〜し、こうなったら一か八かだ!


 「天ちゃん、一旦全員に回復魔法をかけて、そうしたら後方から支援を!」


 「ラバキは僕をアイツの所まで投げ飛ばしてくれ!あの鳥を撃ち落としたらトドメを頼む」


 僕は二人に知恵を振り絞った作戦を伝える。


 「イイゼ、やろうじゃねぇか」


 何も言わずに引き受けるラバキだが。


 「そ、そんな無茶苦茶です!あんな風の中に突っ込んでしまえば六真様のお体が傷を……」


 天ちゃんは僕の身を案じ、心配する。


 「天ちゃんごめん……でもこれしか方法が思いつかないんだ。大丈夫だから信じて!」


 真っ直ぐにニカッと自分の想いを伝える。


 「……分かりました。六真様、どうかご武運を!」


 想いは伝わっているが納得はしていないだろう。けど天ちゃんは信じる。跪き、両手を合わせ、天に祈りを捧げ願う。


 「我が主よ……この者らに奇跡の祝福を……」


 すると三人の身体が淡く発光し、みるみる傷が治っていく。


 「天ちゃんありがとう!よし、いくぞラバキ!!」


「オォシ、覚悟はイイナァ!イクゾォォ!!」


 右腕を掴まれ、ブンブンと容赦のない力で僕を振り回す。


 「オッゴォォ……ウゥゥ!!」


 目がまわり、口から吐きだしかけるが集中力を高める。


 「行って来い!!」


 バーディスに向かって遠慮なく砲台の球のように突っ込む。


 「ギッグッアァァ」


 体に圧力がかかるのと同時に強風による斬撃の痛みが走るが我慢する。


 「ギィギャ!?」


 面を食らったかのように驚くバーディスだがそんな真正面に飛ぶ球を安々と避けられる。


 「ギャギャ」


 幼稚な作戦だと思われ嘲笑われる。


 今に見てろぉぉ……。


 僕は右腕に集中力を高めた力で一点鐘を放つ。その衝撃でバーディスにもう一回近づく。


 ーーバァァァァン!!


 轟音が鳴り響き、勢いを変えて六真は近づく。


 「ウォォォォ!!!!」


 「ギャ!?!?」


 油断していたのかバーディスは避けられず、僕とすれ違うようになる。


 「油断したな……一点鐘!」


 「ギャッ!?」


 左腕に溜めていた渾身の一撃(一点鐘)をバーディスの腹に叩き込み、地面に落とす。


 だが、バーディスもそう簡単にやられないのか六真に反撃し、鋼鉄の翼で胸にはたきつける。


 「後は任せたラバキィィ」


 ーーヒゥゥドォォン!!


 地面に叩き落とされたバーディスは空に逃げようとする。


 「ギッ!?」


 ズキンと腹から痛みが走る。さっきの攻撃でフラつき中々、飛び立てられなかった。


 「よ〜し任せろ。よくもやってくれたなトリィィ」


 ボキボキと指を鳴らし、バーディスに近づくラバキ。


 「ギ、ギィギャァァァァ」


 『やめてくれと』と叫ぶような悲鳴が響くが誰も助けは来ない。


 「あばよ……首砕き」


 バーディスはラバキの剛腕によって首をへし折られーー絶命した。


 「勝ったよな……けど、どうしようちからがでない」


 「六真様!?今、助けます!!」


 六真は集中力を出し尽くし、脳や筋肉の疲弊もあり受け身も取れず、地面に激突しかける。


 天ちゃんが颯爽と飛び込んで、ギリギリ六真を抱き抱え、助かった。


 「お疲れ様でした六真様」


 「ありがとう……てんちゃん」


 バトルシミュレーションが終わり、四方を囲んでいた壁が消える。


 「お疲れ様。六真君」


 僕は天ちゃんの肩を借りてフラフラと立つ。


 「はい、でも結果は良くなかったですよね……」


 「そうね。でも良くやったわ」


 僕は天ちゃんの肩を離れようとしたが不安そうな顔をされ、『大丈夫だよ』だと伝える。


 ラバキは楽しかった戦いが終わってがジィィと物欲しそう(つまめよこせ)にとなんか眺められている。多分……酒のつまみ探しを邪魔されたからだろう。


 戻ったらお礼にラバキのつまみをコンビニで買っておこうかな。


 そうして僕は二人の仲魔をサイタイスに戻した。


 お疲れ様、二人共。ありがとう……。


 こうして悪魔との連携訓練が終わるはずだった。


 ーーだがドスンッと地面から腰に衝撃波が流れる。


 「な、なんだ!?」


 辺りを見渡すとそこには山を超えるーー1体の巨人が現れた。

どうも〜作者の蒼井です!

読者の皆様、お元気ですか?

今、世の中には風邪が流行していますので耳にタコが出来てるかもしれませんが体調にお気をつけて毎日を過ごしましょう。

それではまたお逢いしましょ〜う(^O^)/

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