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第三十四話 休みーー再開

 「この三日間、良くやったわね六真君」


 「ハ、ハイ」


 ぶっちぎりの苦難を乗り越えた僕は、体が疲弊して意識が混濁していた。


 立つのもやっとであるが、穂野江さんから呼び出しがあり、伝言を聞きに行ったのである。


 「今日一日、ゆっくり休みなさい」


 「……へッ」


 また辛い特訓が待っているのかと身構えていたがそんな事は杞憂だった。


 ポカンッと間抜けな顔をしていたら、クスッと穂野江さんは口元を隠しながら微笑む。


 「貴方は休みなく修行をしていたのよ。このまま無理にやって体を壊したら元も子もないわ」


 確かに……神様との修行やあの特訓で休憩・休みがほとんど取れていなかったな。


 でも……一日中休んでも良いのだろうか。最後の依頼は簡単にはいかないはずだ。


 なぜなら僕には"魔法"が使えないのである。


 依頼には【敵対組織の魔道士を捕縛する】のだが読んで字の如く敵は魔法が使えるからだ。


 だから穂野江さんが用意した魔法対策としてあの特訓が設けられたんだろう。


 僕には、新たな力が開花した【魔目】がある。


 でも……それでも足りない気がする。相手は多分、強いと思うし、まだまだ僕は力が足りない。


 不安と焦りのドロドロとした気持ちが入り混じり、駆られていくのが顔に出ていたのか穂野江さんが気づく。


 「六真君……ごめんね」


 バチンッと頬に痛みが走り、僕は何が起こったのか分からず混乱する。


 「目は……覚めた?」


 「は、はい」


 ガシッと彼女に肩を掴まれ、目と目が合う。


 「良い六真、焦る気持ちは分からなくもないわ……けどねここで貴方が無茶をして、もしもの事があったらいけないの。だからちゃんと英気を休ませなさい」


 彼女の真剣の言葉、表情にハッと我に還り、心を落ち着かせる。


 確かにーーここで無理にでも鍛えてしまえば大事な所で足を引っ張ってしまう。


 そんな事になれば自分は間違いなく【死ぬ】だろう。


 大事な事を教えられ、僕は考え直す。あの人にも言われてたな。


 「すみません。焦り過ぎてました、穂野江さんの言う通りに休みます」


 「わかればよろしい!」


 ニカッと笑顔になった彼女に僕は、ドキッと心臓が高鳴った。


 やっぱり美人だよなぁぁと浮ついた考えを振り払い、自分のテントに戻ろうとする。


 「失礼しました!」


 「えぇ何かあったら連絡するからゆっくり寝なさい」


 「はい、それでは……」


 そそくさと隣にある自分のテントに戻り、中に入るとそこには簡易型のベッドが設置されている。


 そういえば特訓している間、あんまりテント内を見てなかったよな。


 ドサッとベッドに勢いよく横向けに寝そべる。


 辺りを見ようとしたが突然、瞼が重くなり、ドンドン眠気が襲いかかる。そしてーー意識が遠のいた。


 「スゥスゥーー」


 安心したのか僕は久しぶりにベッドで眠りにつくのであった。


 ーーまた夢を見た。白い世界に一人の男がいた。


 「よっ!三日間お疲れさん」


 「シュラさん!?あ、ありがとうございます」


 「良く生き残れたな。まぁ流石にここを乗り越えてもらわなきゃ困るんだがな……」


 ボソッと何かを言った気がするが雑音でかき消される。


 「何か言いました?」


 「いや、なんでもねぇ」


 目の前に現れたのは全身真っ黒で性別はわからないが声だけは男であると分かる。


 この男の人?はシュラさん。僕に二つの技(一点鐘・魔目)を伝授してくれた恩人である。


 「まぁもりあえず座れよ」


 ポンポンと地面を叩き、僕は促されるまま座禅を組む。


 「えぇっとどうしたんですか?急に……」


 「そんな固くなるなよ。まぁいい、それよりも本題だ」


 真面目な表情を向けられ、姿勢を正す。


 「次の相手はちっと厄介だからよ。ここでも修行してもらうぜ。無論拒否権はない」


 サァァーーと血の気が引いていく。ん?今なんていったんだ??


 また修行するよりもシュラさんとの修行だけはしたくはない!!


 なぜならあの時の狂った状況は嫌でも思い出したくない……


 自分の"死"を乗り越えてもらうとかで何度も殺され、死体の山を積み重なるのをこの眼で視た。気が遠くなるほど……


 しかも自分の死んだ感触が神経にへばりついていくのを延々と感じる。


 死んだ感触は例えば腹に風穴を開けられたのが残るのだ。


 まぁそれとは違うのもあるが夢の中だから現実のように本当に死なない。


 なぜならここは"夢"であり、復活できるからだ。


 しかも現実と夢時間は同じではなくここは体感として比較的にゆっくりなのだ。


 僕は逃げようとしたがガシッと腕をシュラさんに掴まれる。しかも僕はあんなに鍛えてるのに振りほどけない。


 「オイオイ……逃げるなよ。時間は"たっぷり"あるからよ」


 顔を振り向かなくても分かる。ウキウキとした声で僕は身震いが止まらない。


 「それと聞きたい事がある……」


 「ァ、ハイ」


 僕は逃げるのを諦め、覚悟を決める。あの時とは違うんだ!


 「穂野江は元気か?」


 「げ、元気ですよ!」


 『そうか』と安心して声をしたシュラさん。何かあったのかなと気になるがーー


 「それじゃあ始めるかぁぁ!!」


 「や、やるしかない!!」


 僕は、内心休むはずだった修行を始まり絶望しそうになるが切り替え、シュラさんと組み手が始まることになった。

どうも〜作者の蒼井です!

読者の皆様、お久しぶりです。

こんなに投稿が遅くなってしまい申し訳ないです…(T_T)

実は先週、インフルにかかってしまい、投稿が出来なくなり、しばらく執筆をお休みにしていたのですみません。体調優先とさせて頂きました。

次第に良くなり、今…やっと投稿できました!

長くなりましたが不定期ですがノンビリとお待ちしていただけたら幸いですm(_ _)m

それではまたお逢いしましょ〜う(^O^)/

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