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第二十五話 入院

 目を覚ますと目の前には真っ白な天井。


 「う、う〜ん……」


 「六真君!!」


 ガタッと椅子から立ち上がり、隣に居たのは穂野江さんだった。


 「穂野江さん……ここは?」


 「近くの病院よ。どうして貴方、あんな大怪我をしてたの!!」


 上半身は包帯でガチガチにテーピングされ、左腕はギブスをしていた。


 「実はターゲットの鬼に出くわしたら、人が三人ぐらい倒れてて……そのまま戦闘に」


 ボンヤリとする頭を働かせ、思い出しながら穂野江さんに伝える。


 「まぁ良いわ。あの子が治療魔法をかけて私に伝えてくれなきゃ死んでたわよ……貴方」


 穂野江さんはグラッと膝を倒し、一雫の涙を流す。


 「すみません……心配かけて」


 「良い……勇気と蛮勇は違うわ。そこを履き違わないで」


 「はい……」


 真剣な表情をしているが悲しくさせていたのが身に沁みり心に刻む。


 そういえば朧気ながら天ちゃんを呼び出していたような?


 「そうそう、あの子も心配しているから呼び出しなさい」


 サイタイスの召喚プログラムを起動して召喚する。


 「六真様!ご無事で良かったです!!」


 召喚した途端に天ちゃんが抱きついてくる。


 「オワァ!?」


 鼻から彼女の香りが漂う。涼しげで優しく落ち着く匂いがする。


 いかんいかんこんな事をしたらバレる。


 だが天ちゃんはそのことを気にしてはいなかった。というか気づいていなかった。


 グスン、グスンと耳元で泣いているのがわかり、落ち着かせるために背中をポンポンと優しく撫でる。


 「大丈夫だよ天ちゃん。あの治療魔法のお陰でホラっ。こんなにピンピンになったよ」


 グッと両腕を曲げて胸を張り上げる。一種のマッスルポーズをしてみる。


 「そうですか……良かったです。我が主よ……私は人の子を救えました」


 天ちゃんは窓の空に祈りを捧げている。まるで一人の聖女様だ。


 「それであの……巻き込まれた三人は?」


 「大丈夫よ。彼女のお陰で一命は取り留めたわ」


 「良かったぁ〜」


 ドサッとベットに寝そべる。


 自分がとったあの行動は間違いはないとは言い切れないけど、でも後悔はしなかった。


 そう安心した。


 「六真君。ここで二日間、安静にしてなさい」


 「えっでも魔法で治ってるのにですか?」


 「治療魔法は万能ではないのよ」


 僕が不思議そうにしていると穂野江さんが説明をしてくれた。


 「治療魔法は軽い怪我ならまだしも深い部分までいくと応急処置にしかできないのよ」


 「ええっと例えば、包丁での切り傷なら治せるけど腹を刺されたりするなんかの負傷は難しいって事ですか?」


 「そうね。その認識でだいたい合ってるわ」


 「貴方の場合は骨が複雑に折れていたりしてくっつけるまででもやっとだわ」


 「へぇ〜凄いですね穂野江さん」


 なるほど。つまりは外見では治っていても中はボロボロなのか。


 「完全には治ってないから絶対に安静にしていなさいよ」


 「話を戻すけど献血とかもできないし、体力の回復だって難しいのよ」


 治療魔法にはまだまだ深いものがあるんだなぁ。


 「やっぱり魔法にしてもデメリットは必ずあるんですね」


 ウンウンと縦に頭を振る穂野江さん。


 「ありがとうございます穂野江さん、天ちゃん」


 「いえ、私は成すべき事をしましたから」


 謙遜する天ちゃん。


 「良いのよ。私も成すべき事をしたし、後々魔法も詳しく説明することだったから」


 穂野江さんはスタスタと歩き、どこかに行こうとする。


 「それじゃあ六真君。ターゲットの情報をもう少し詳しく聞きたいけど今日はゆっくり休みなさい」


 「あっ……はい」


 「それと入院生活をするための道具はそこのタンスに入れといたから」


 「ありがとうございます。あ、そういえば家……」


 家の事を心配する。穂野江さんに頼もうとするが先に読んでいたのか。


 「大丈夫よ。家は私が管理するから……それとも一緒にいた方が良い?」


 僕は顔を真っ赤にしてそれは恥ずかしいのでフルフルと横に振る。フフッと微笑み返す穂野江さん。


 そうして彼女は六真がいる病室から出ていった。


 暗い病院の二、一階の中間の階段で穂野江は立ち止まる。


 「何してるのよ私は!!」


 バンッと壁を叩き、唇を噛む。


 自分が守ると言ったのに彼を守ることが出来なかった事に腹を立てる。


 「穂野江夏……しっかりなさい貴方は守るべき者を護るのよ!!」


 手を振るわせ、自分の手で。


 パチンッと頬を叩く。


 「よし……!!」


 穂野江は歩き出す。自分の役目を成功させ、彼が隊員として認められるように。

どうも〜作者の蒼井です!

今年最後の投稿となります。

それでは良いお年を〜!

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