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第二十四話 暴鬼との邂逅

 下校する時間。教室の窓から夕焼けの陽が覗いていた。


 穂野江さんと友人の陣に一緒に帰らないかと声をかけたが


 「すまねぇ六真、今日はバイトがあって無理なんだ本当にすまん!」


 パンっと両手で謝る陣。


 「ごめんなさい六真君。学園の手続きがまだあるか先に帰っておいて」


 申し訳なくやんわりと一緒に帰りたいけど無理な雰囲気を出す穂野江さん。


 そうして二人の友人に断られ、トボトボと帰っていく僕。


 悲しい帰路の事は忘れて、夕飯の献立を考えながらいつも寄っているスーパーに足を運ぶ。


 数分歩いていくと薄暗い路地裏に目がつく。


 DDO隊員の正式に認められるための依頼の一つ【裏通りの鬼を討伐せよ】を思い出す。


 しかもその鬼は夕方もしくは夜に出現するらしい。


 「まさかな……」


 杞憂に終わらせようとその場を離れようとする。


 「ガッハァ!」


 「グァ……」


 微かに人の声が聞こえた。しかも怪我をして苦悶する声。


 脚が震える。あの時と同じ状況を思い出して脚がすくんでしまう。


 「クソっ!?嫌な予感がすると思ったら!!」


 そんな恐怖を押し退け、バッと駆けていく。


 今の自分には昔とは違って対抗できる。そしてここで見捨てて帰ったらきっと後悔する!!


 路地裏に入るといかにもチンピラっぽい男が三人倒れていた。


 舐めた態度をとった相手に喧嘩を吹っかけたのだろう。


 だが相手が悪かった。


 「だ、だずげでぐれぇ」


 「だのむぅ……じにだぐねぇ」


 「……」


 二人は体中に青あざができ、しかも足がグニャリと完全に折れていた。


 もう一人は声を発しておらず、口をパクパクさせて泡をふいていた。


 「ヴッ!!」


 惨状に吐きそうになるがなんとか耐える。


 恐怖に身体を支配されるがちっぽけな勇気を振り絞る。


 「お前が……やったんだな」


 「……」


 目の前にいたのは、やはりターゲットであるあの【鬼】だ。


 額に二本のツノ。紅く鮮血を帯びた肌。


 威圧する視線を向け、ブルブルと震えが止まらない。


 身長は二百cmもある圧倒的巨漢。


 鬼はさっさと構えろと訴えかけている。


 僕はガチガチに緊張しながら構えをとる。


 怖い……逃げたい……気持ちでいっぱいだ。


 けどここで逃げたらこの怪我をした三人は間違いなく死んでしまう。


 そうしたらきっと後悔する。そんなことは絶対にしたくない!


 「ウォォォォォォ!!」


 無謀な突撃をして鬼に迫る。


 恐怖という感情を殺し、拳と脚の殴打を振り上げる。


 「……」


 鬼は全て見切っているのか避けて、こちらに反撃してくる。


 「グッ!」


 顔面に岩のように硬い拳が当たり、ふらつくが気合で耐え抜いてみせる。


 もうあの技しかない!


 「フゥゥゥゥ……ハァァァァ」


 鼻から空気を吸い、口から吐き出し心を落ち着かせる。


 正拳突きの容量で思い出し、腰を深く落とし膝を曲げる。


 脇腹まで左腕を引く。


 そして今日、偶然出逢ったアンちゃんから教えてもらった通りの拳の握り方をする。


 小指から順に折り曲げ、イメージは壁を中から打ち崩すように。


 「ほう……こい」


 鬼は完全にガードの体勢を解き、ノーガードである。


 真正面から受け止める気である。


 舐められているのか強者としての余裕を魅せているのか。


 そんな事はどうでもいい。


 今の状況を変えるにはこれしかないんだ!!


 地面を抉り出すように脚を踏み出し、鬼に急速接近する。


 そうして弾丸のように回転した拳を放つ。


 「一点鐘!!」


 完全に当たった感触があるがそれよりもあの時の感覚を身に着け、火事場の馬鹿力であろうかついに【一点鐘】を一時的には物にしてみせた。


 「やった!!」


 六真は完全に決まったと思った……だがそれは違った。


 「なっ!?」


 「甘いな。だが見事な一撃だった」


 一点鐘を突いた拳を片手で掴まれてしまったのだ。


 (ほっほどけない!?)


 なんという馬鹿力で掴まれて距離を取られないよう拘束される。


 「その勇気に評して、これをプレゼントしてやるよ」


 「グッ!?」


 剛腕が六真の土手っ腹に近づいてくる。


 腹に当たり、内蔵・腹筋が掻き回り抉られ壁に叩きつけられる。


 壁にクレーターができ、背中から血が流れる。


 ズルルと身体が落ちていき、地面に倒れる。


 「じゃあな、また会おう小僧」


 「まっ……まで……」


 意識が朧気に鳴りながらも手が鬼を捕まえようとするが届かない。


 鬼は暗い路地の奥に行ってしまった。


 「クッ……あの子を呼ばなきゃ」


 サイタイスを操作し、あの子……【天ちゃん】を呼び出す。


 『召喚プログラム……起動』


 ブゥゥーーンと音が鳴り、天ちゃんの召喚に成功した。


 「後は……頼んだ」


 ドサッと手が地面につき、六真は瞼を閉じた。


 バサッと翼をはためかせ、そこに現れたのは天使だった。


 目の前に倒れているマスターの六真と三人の男達の怪我に驚く。


 「六真様!?このお方達も、待ってください!今、治療魔法をかけますから!!」


 後の事を天ちゃんに託し、意識を失った六間だった。


 「あの小僧……あの短期間であそこまで強くなるとは」


 一点鐘を受けた鬼の腕は、プルプルと痺れていた。


 「楽しみだなぁ〜アイツが俺と対等にヤレル日が待ち遠しいぜ」


 そうして鬼は強者のヒトを探すため、己が強くなるために強きヒトを探しにいくのであった。

どうも〜作者の蒼井です!

今年もあと少しで終わりますねぇ……

来年はどんな一年になるか楽しみですが読者の皆様はどうでしょうか?

それでは良いお年を〜(^o^)/

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