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第二十話 伝言

 家に帰って五時三十分。


 ノンビリと夕飯の下準備をしていた六真正士。


 ガチャリと玄関の戸が開いた音がする。


 帰ってきたのかな?


 「ただいま。六真君」


 「お帰りなさい。穂野江さん」


 まるで夫婦の会話で少し照れる。


 穂野江さんはリビングに来て椅子に座る。


 「六真君、少し手を止めてくれないかしら」


 「は〜い、ちょっと待ってください」


 手をぱぱっと簡単に洗い、穂野江さんと向かいになる椅子に腰掛ける。


 「どうでしたか。連絡は上手くいきました?」


 「えぇうまくいったわ。それでは本題に入るわよ」


 穂野江さんが真剣な眼差しでこちらを見据え、僕はぴしっと背筋を正す。


 「貴方には、この三つの依頼をこなしてもらうわ」


 ピコンピコンと左手首にかけてあったサイタイスが反応し、ディスプレイが表示される。


 そこには三つの依頼の名前と詳細が映し出されていた。


 一つには、【迷える天使の捜索】


 内容は、善行をこなす天使がいる。その天使はやりすぎる善意で悪に貶められ、堕ちてしまう可能性有り。速やかに捜索すべし。


 二つには【裏路地に現る暴鬼の討伐】


 最近になって裏路地に強き者を求めて、暴れている鬼あり。一般市民に被害が及ぶ前に討伐せよ。


 最後の【敵対組織の魔道士の捕獲】


 悪魔に惹き込まれた敵対魔道士は悪魔を呼び出すゲートを開こうとする噂があり。この事が確かで有ればすぐに捕獲、もしくは暗殺するべし。


 などであった。


 一つ一つ、確認するとその標的である容姿、年齢、名前(一部ない)が一つ目の依頼である【天使の捜索】は完了してるかもしれない。


 「この依頼をこなせば、貴方は晴れて私達……DDO隊員としてなれるわ」


 「はい。ですが穂野江さん……もしかしたらこの一つ目の依頼で天使の捜索を達成してるかもしれないです」


 「エッ!?」


 穂野江さんは手のひらを口元で覆い、驚きの声を上げる。


 「本当に……?」


 「本当ですよ!!」


 疑いの目を向けられ、証拠を見せようと召喚しようとするが。


 「どうやって呼び出せるんだけっけ?」


 サイタイスを手探りで操作しようとした。


 すると勝手にサイタイスが『召喚プログラム……起動』と音声が流れた。


 ピカッーと閃光が放たれ、眼を閉じる。


 シュ〜と煙が立ち込めるとそこに影がでていた。


 「それは私のことではありませんか?」


 透き通る声を響かせ、金色の髪をなびかせる聖女(天使)が現れた。


 「天ちゃん……」


 「嘘……貴方、いつの間に?」


 「いやぁ~実は今日、散歩にしているときに偶然、仲間になっちゃって」


 「散歩をしているときぃ〜??」


 「あはは……」


 「あのぉ……」


 おずおずと天ちゃんが手を挙げる。


 「その天使というのは私かも知れません」


 穂野江さんは自分のサイタイスを確認するとどうやら当たりだったそうでフラフラと壁に寄りかかる。


 「ハァ〜まさか、もう会って……しかも仲間にしてたなんてね」


 完全に予想外だったそうで額に手を当て天井をみやげていた。


 「何か申し訳ないことをしてしまいましたか」


 「いえ、貴方は気にしなくて良いよの……」


 ハァァと深いため息をつく。


 「えっと穂野江さん大丈夫ですか?」


 「大丈夫、大丈夫よ」


 背中をさすり、落ち着かせる。


 「まぁとりあえず一つの依頼はこなしたわね」


 「はい!」


 「この調子で二つの依頼も達成していきましょう」


 と息巻いたが僕は、一つ気になることがある。


 「天ちゃんはどうなるんですか」


 天ちゃんは、不安そうに両手を握っていたがそれは杞憂に終わった。


 「それなら大丈夫よ。だけど貴方は主として認められたから相応の責任を持ちなさい」


 「は、はい……!!」


 僕は、一人の天使のマスターになったことを肝に銘じたのであった。


 そして残り二つの依頼に闘志を燃やす。

どうも〜作者の蒼井です!

元気に執筆を続けていますよ。ほどほどに書いております、ハイ。

このまま順調に行きたいと思うので読んでくれたり、感想を言ってくれたら、感謝感激です(T_T)

それではまたお逢いしましょ〜う(^O^)/

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