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第十三話 夢からの来訪者

 朝になったのか眠っていた僕は目を擦りながら上半身を起こす。


 「う、うぅぅん……もう朝か……?」


 辺りを見渡すとそこはいつもの場所ではなくあの時みた真っ白な世界だった。


 「よぉ、目が覚めたようだな」


 「うわぁ!!」


 急に声をかけられ、ビクッと背中が震え後ろを振り向く。


 するとそこには一人の男が立っていた。


 「君はいったい?」


 なぜかどこかで会ったような感覚がある。


 いや、むしろ【コイツが誰か知っている】。


 男は、僕と同じ体型をしていたが顔が黒く塗りつぶされていた。


 「まぁ俺のことは置いといて単刀直入に言うぞ。お前は最後の試験で絶対に負ける」


 「えっ……負ける?」


 「そうだ。お前がこのままいってもあの神には勝てない」


 そう断言されてムッと顔をしかめる。


 「本来、俺はまだ出てこないつもりだったが急遽変更だ。俺が稽古をつけてやる」


 「ちょ、ちょっと待ってよ!なんで君がそんなことをやるん必要があるんだよ!!」


 なぜここに現れていきなり稽古をつけると言い始め、頭が混乱してくる。


 「お前には強くなってもらわなきゃ困る。そして俺には成せなかったことをやってもらう」


 「は、はぁ?」


 頭が追いつかず脳内では、?マークが浮かぶ。


 「やっぱり同じだな」


 「同じ?」


 「そうだよな、やっぱお前は俺と……まぁいい」


 急に濁し、哀しい表情を向けていた。


 「な、何だよ。その成せなかったことって……」


 「まぁとりあえず構えろ」


 全身から冷や汗が滲みだし、一瞬でも動けば殺られる殺意を向ける。


 「くっ!?!?」


 僕は、全身が震え、何もとれずにいた。


 目の前に現れ、真っ直ぐ腕が腹を貫いた。


 「ぐ、ぶばぁぁ」


 「今からお前には【死】を体験してもらう。なぁにほんの一瞬だからよ」


 鮮血が口から垂れ流れ、男の腕にかかる。


 内蔵がくり抜かれた感触が全神経に痛みが走り出す。


 叫び声を上げられずその場で崩れ落ち、瞼を閉じた。


 これが【死】の感覚。


 冷たい海の底で光が差さない真っ黒な闇。


 手足の感覚が失っていく。


 (あぁ……僕、死んだのか)


 そう悟らずにはいられなかった。


 これまでの心臓の音が小さく、小さくなっていき眠気が襲いかかる。


 「おい、起きろ」


 語気が強く飛び起きる。


 「はっ!?」


 「おっ気がついたか」


 「あ、あれ?僕は確か腹を貫かれて死んだはず??」


 周りをキョロキョロしていると近くに何かが手に当たる。


 「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 そこにあったのは、自分の【亡き骸】だった。


 あまりのリアルさに身体が震え、歯がガチガチと鳴り泣き叫ぶ。


 「ピィ〜ピィ〜喚くな。お前が撰んだ道はこうゆうことが起きる可能性があるんだよ」


 「だから俺が直々に来てやったんだ。解ったか?」


 ブンブンと頭を縦に振る。


 「よしっそれじゃあお前には、何回も死を体験してもらうから覚悟しろよ」


 「えっ?」


 そこから黒の青年との修行が始まった。


 タケミナカタさんから受けた修行で多少なりとも自信があったがそんなものは、意味もなかった。


 まず頭を抉られ、腕をへし折られ、足を引き千切られ、四肢を切り飛ばされるなどの様々な感覚が回った。


 その嫌な感覚は、ハッキリと覚えてる。


 死んでもまた復活し、また死ぬ。


 だってこれは、夢の中で死ぬことは一切ないからだ。


 たとえ現実で合っても、この感覚は、忘れないだろう。


 こうした事が続き僕は、枯れた表情をし、項垂れていた。


 「よし、こんなもんか。今、お前は一時的だが【死】を乗り越えた」


 「……ハイ」


 疲れ切った声で返事をする。


 「だがこれは夢の中だからな。現実と夢の堺を間違えるじゃねぇぞ」


 「……ハイ」


 「戦いでは、一瞬でも死を恐れればそこに死神は浸け込む。だが【ビビル】の気持ちを忘れるなよ」


 「びっびびる?」


 呆けた顔をしながら黒の青年と顔を向かい合わせる。


 「そう。ビビル気持ちは大事だぞ。この心意気がなきゃあ引き際を狂わせちまうからな」


 「はぁ」


 「解ってなさそうだが……まぁ後々解るようになる」


 黒の青年は、頭をボリボリと掻きむしる。


 「それじゃあお前には、もう一つ教える事がある」


 「教える事……それはなんだい?」


 「お前には明日の試験に合格できる技を教えてやる。そろそろ朝が近いから短期間で習得させるぞ!」


 「わ、わかった」


 と流されるまま初めての技を習得するために練習を始めた。


 黒の青年が手本を見せてくれる事になり、体育座りでその技を見る。


 「まずは膝を曲げて腰を低くし、しっかりと両足で全身を支え、腕を脇腹まで引く」


 「ふんふん」


 「そこから集中力を高めて拳に力を込める。そして地面を踏み抜く」


 地面が抉り、左の拳に回転をかけながら真っ直ぐに打ちつける。


 風が舞い、一つの弾丸が飛びでたかのような轟音が響き渡る。


 「ウワァ!!」


 目が開けられないほどの強風が吹き荒れる。


 終わったかのか「フゥーー」と息を吐く声が聴こえた。


 「まぁベースは正拳突きと一緒だがお前ならできる」


 「えっ?それだけ??」


 「あぁこれだけ」


 「簡単そうに見えて結構難しいんだぜ」


 ヘヘッと少年みたいな声を出していた黒の青年。


 「よぉしそれじゃあやるぞ」


 「お、おう!!」


 拳の突き方、集中力、全身のバランスなどの基礎を深めていたが一つ些細な事に気がつく。


 「この技の名前ってなんなの?」


 「こいつはその名も……」


 と言おうとしていたが白の世界に眩しい日差しがかかる。


 「もうそろそろ朝か……ほんじゃあ頑張れよ」


 「おっ!おい待てよ!!」


 腕を掴もうとするが意識が朦朧とし、足がもつれてそのまま倒れてしまった。


 「俺の名前は……まぁ次会えたらシュラと呼んでくれ」


 ヒラヒラと片腕を揺らし、どこかに消えて行った。


 そこから僕は急な眠気で眠りについてしまった。


 こうして六真には【死】を一時的に乗り越え、一つ技を習得したのであった。

どうも〜作者の蒼井です!

クリスマスが近づきますが読者の皆さんはどんな風に過ごしますか?

私は一人でケーキをつつきながら食べますね。多分…

まぁとりあえず【人魔転生ーー黙示録】は不定期ですがボチボチと書いていくのでノンビリとお待ちいただけると幸いです。

それではまたお逢いしましょ〜う

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