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第九話 精心神川(せいしんしんかわ)

 「う、うーん」


 目がチカチカなり、開くとそこには、木の天井だった。


 「あら?目を覚ましたかしら」


 隣には、銀髪ロングヘアをしていた美少女、穂野江さんがいた。


 「穂野江さん、ここは……?」


 「ここは、タケミナカタ様が作った小屋よ」


 「作った?小屋を??」


 「えぇそうよ。作ったのよ」


 嘘だ。


 言っちゃあ悪いけどタケミナカタ様は、両手がないのにどうして作れたんだ?


 もしかして人知を超えた神様パワーでなんとかしたのかな!!


 ワクワクしたような顔が出ていたのか穂野江さんは、サンタがいると信じている子供に現実を突きつけた。


 「残念だけど、神様パワーでは創ってはいないわよ。器用に足で作ったのよ」


 「足で!?」


 驚きであごが外れそうになるけど、それよりも神様パワーじゃあなくて自力で作った事に驚いた。


 「それよりも次の修行があるから行きなさい。外でタケミナカタ様が待っているわ」


 彼女に促され、急いで小屋の外に出た。


 「おっ六真目覚めたか!じゃあ次の場所にいくぞ!!」


 「はっはい!」


 僕は、タケミナカタ様に連れられてある場所に向かった。


 歩いている道中にタケミナカタ様が気にかけたのか話しかけた。


 「体は、大丈夫か?」


 「あっはい大丈夫ですよ!この通り」


 胸を張り、鼻を高々上げてフンスぅと鼻息をあげた。


 「今回の場所は、さっきよりもはあどだから気をつけろよ」


 いつもより真剣な顔で瞳を見つめられ、僕は気合を入れ直す。


 「は、はい!わかりました」


 「話していたら着いたな。ここが次の修行だ」


 そこには、緩やかに流れる川だった。


 どこにでもある自然の川でキャンプ場に行けば大抵ありそうな場所だった。


 「それじゃあここに入れ。そして両手を合わせ、眼を閉じ、つま先で立てよ〜」


 「エッ!?」


 急な無茶振りに顔が百八十度曲がりそうな勢いでタケミナカタ様が向くと隣にはいなかった。


 「じゃあがんばれよ〜」


 足をヒラヒラさせ、陽気な言葉を発しながら草むらに入っていった。


 「えぇ〜〜」


 一人残された僕は、唖然とタケミナカタ様の背中を見つめていた。


 「と、とりあえず入るか」


 川に足の親指をぷるぷるとさせながら水に触れる。


 「冷た!?」


 水はもちろん冷たく身震いしそうだったが渋々と入水する。


 水は、足首辺りしか届かないがそれでも足が氷になりそうになる。


 頬を叩き、気合を入れ、水の冷たさを誤魔化す。


 「よし、とりあえず立ってみるか」


 小石が散りばめられてある所にちょうど足がつける場所を見つけ出し、立とうする。


 「よぉ〜し、いっちょやるかぁ」


 左足を上げ、両手を合わせ、つま先で立とうとするが……。


 「うわ、うわわぁぁぁぁ!!」


 グラグラと体が揺れ、そのまま川の水にダイブしてしまった。


 バシャーンと水音が放たれ、全身が水に濡れてしまった。


 「ハッ……ハックショーーン」


 デカいクシャミを辺りに響かせ、体を擦り、温めようとする。


 「でもこれでへこたれてちゃあ駄目だよな」


 これは意味があるものだと己を奮起し、やる気を出す。


 テレビでよく観た仏教の道で僧が滝で念仏を唱えて、集中力を増すのだと聞いたことがある。


 これはまだ序の口で初心者なのだと勝手に考える。


 それから何度もチャレンジするが滑っては転び、水に思いっきりダイブしたり、小石で擦り傷ができたりした。


 だが確実に近づいている。


 何故ならあんなにもグラついていた体は安定感があり、やがて両手を合わせる。


 そして最終段階の眼を閉じ、つま先で立てたのだ。


 (やった!出来た!!)


 心の中でガッツポーズをしていたら、耳に違和感を感じる。


 (なんだこれ。音がハッキリ聴こえる……?)


 感覚が研ぎ澄まされ、全ての音を入る。


 五つの感覚が一点に集中し、脳を活性化させる。


 もう水の冷たさもなんだか心地よくなる。


 己がここに存在しているのかと疑いたくなるような深い、深い所まで潜水しているような気がする。


 数分、数時間と経ち、体感では一日が二十四時間が経っている。


 まるで一日、そこで飲まず食わずでずーっとそこに立っている。


 仏の道が開かれたような錯覚をした。


 (うん?何かがいる……?)


 僕を視認し、隙を狙っている何者かがいる。


 ソイツは気配を消しているのか、あっちこっちと移動し、足音を殺している。


 だが今の自分は、捉えられる自信が湧き上がっていた。


 左腕を自然に動かし、ソイツの【線】を掴む。


 目を開けると眼の前には、タケミナカタ様の足を掴んでいた。


 「ほー俺の脚を掴むとは、この短期間でよく出来たな」


 「エッ!?あ、ごめんなさい!掴んでしまって」


 僕は、急いでタケミナカタ様の右足から手を離し、冷や汗を垂らす。


 「いやいや、俺の方こそすまねぇな。お前がこれを取れるかどうか試しちまった」


 そう、タケミナカタは、手加減をしていたが己の素早くそして迷いない足技とも断言する技だった。


 誰にも視えず、目視ではまず捉えられない。


 だが下手をすれば、相手の腕を弾いてしまうような一撃にもなってしまう。


 だが六真は、違った。


 余計な力もなく、むしろ包み込むような受け手だった。


 「合格だ」


 「はい?合格??」


 「おう!!上がっていいぞ」


 六真は、川から出た瞬間、その場で正面から倒れた。


 「あ、れ、どう……して……」


 「そのまま寝てろ。安心しろ、俺が運ぶからよ」


 タケミナカタは足でヒョイと軽く六真の背中を掴み、肩に乗せた。


 「は、はいーーぐぅぐぅ」


 六真は、疲れ寝てしまった。


 「まさか、この川を乗り越えるとはな……俺も勘が鈍ったな」


 あの川は、【精心神川】と呼ばれおり、川の流れは、本人の心情を表す。


 そこに入れば、己の心の天秤が少しでも、ほんの僅かでも揺れれば、人体が衰えてしまうという場所。


 視え方は、個々として違う。


 これを乗り越えられるDDO新人隊員百人でも最低一人か二人しか耐えらない。


 ただあの青年は、耐えてみせるどころか、あの集中力は並ではない。そして心を安定させている。


 己の神速を受け止めた青年に対し、タケミナカタは、不敵に笑う。


 「ククッ楽しくなってきたな」


 己の力を振れる日が近いことにゾクゾクしていた。

どうも作者の蒼井です!

読者の皆様元気ですか?

私は、バリバリ元気です。

明日は、月曜日……憂鬱になりそうですが適度に息抜きしながらなんとか過ごしましょう!!

マジで無理しないでね!?

それではまた逢いましょう〜

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