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第八話 ウッドランニング

 僕、六真正士は今ある困難に直面している。


 それは……


 「お、重すぎる……」


 四肢にそして腹にロープで繋がれた岩を引きずりながらこの自然を走ってこいと言われた。


 で、その本人は、なんと国津神の建御名方神たけみなかた様だった。


 穂野江夏さんが所属する隊に入るためには今のままでは、足手まといになってしまう為であろう。


 そう考えて、ここに呼び出したのだろう。


 だが最初は会っていきなり戦闘をし、心が疲弊しているのに次に神様相手に一対一の勝負をしてコテンパンに負けた。


 そして師匠としてタケミナカタ様が修行をつけてくれる。


 でも……。


 「無理だろ。こんなのぉぉぉぉ!!」


 岩の重さは十キロもあり、それも両手、両足そして何故か腹にも巻きつられた。


 合計して、五十キロもあるだろう。


 「う、動けないぃぃぃぃ……」


 縄を解こうとしても硬く結んであるのか外れない。


 しかも。


 「ハァ、ハァ」


 息が苦しくなんだか体もダルい。


 「でも、やるしかねぇんだよ!!」


 無理やり引っ張ろうとした手と足の血管が詰まっている感覚で痛くなる。


 ドンドン苦しくなり、最後には、意識が無くなった。


 「ーーハッ!?」


 どうやら気絶して、何時間たっただろうか?


 左手首に装着してあるサイタイスに表示される時間を確認する。


 だがそこには?マークしか写らなかった。


 僕は、仰向けに倒れた体を起こし、再度歩き出す。


 同じく十キロの岩に繋がれたままだ。


 「もう一回……」


 また歩きそうとするが岩は、ピクリとも動かない。


 そしてまた気絶。


 「もう一回……」


 また気絶。


 そう、三回、四回、もう数えるのも馬鹿らしくなってそこから分からないが変化が起きる。


 ーーズズッ


 「えっ……?」


 何かが動く音を聴き、後ろを振り向くとそこには、わずか数ミリしか動いた岩があった。


 「動かせた?……やった、やったぁぁぁぁ!!」


 岩を数ミリしか動かない。それは、小石を片手で簡単な作業を初めてできたというちっぽけな達成感。


 だが確実に六真の体は、構造を変えていく。


 凡人の肉体である肥大した駄肉は、やがて完璧な肉体に生まれ変わろうとしていた。


 「ヨシッ!このままいくぞ!!」


 六真は、一歩、また一歩と足を踏み出し、森の中を走る。


 森は、進行方向を惑わす。


 ザワザワとざわめき、不安を煽っているかのようだ。


 だがそれでも頭の中では、【走り続けろ】の文字しか浮かばない。


 目から汗が入り、シパシパするがそれでも走る。


 やがて体は軽くなり、一筋の光が目の前に現れる。


 僕は、ラストスパートをかけ、今持てる全ての全力疾走を見せた。


 かかった時間は、約240時間。


 そして最初の地点に待っている柔道着を着たあの人がいた。


 「おっ!六真、お疲れさん」


 「ハッ、はーー」


 僕は、そこで意識を失った。


 「ここまで来るのは、断トツで遅かったがよくここまで辿り着いたな」


 タケミナカタは、満足した笑顔でニッカリとしていた。

どうも毎度お馴染み作者の蒼井です!

11月になり、段々と寒くなりましたね。

読者の皆様は、コタツかストーブ等で暖をとってますか?

私は、エアコンをバチクソに決めております(^o^)

それではまた、逢いましょう〜

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