『ムンク問題』
『ムンク問題』
㈠
ムンクと言えば、『ムンクの叫び』だ、と誰もが声を高らかにして言うだろう。あの絵、あれはムンクの叫びだよ、聞かれた人はそう答えるだろうし、自分自身を疑っていないし、かくいう自分も、あの絵を、ムンクの叫びだと思って居る。
㈡
ところが、大問題である。あの絵は、『叫び』と言うそうだ。ノルウェーの画家のエドヴァルド・ムンクが1893年に制作した、『叫び』だそうである。つまり、ムンクと言う画家が描いた、『叫び』のことを、みな、ムンクの叫びと言い出したのだろう。
㈢
つまり、ムンク問題とは、皆思って居たムンクの叫びと言う作品が、丁寧に、正確に言えば、ムンクと言う画家が描いた、『叫び』だった、と言う問題である。無論、伝わればいいのだが、筆者も、あの絵自体を、『ムンクの叫び』という作品だと勘違いしていたという、根本的な間違いの話なのであった。