桜、、一人寂しく
『もう、、この桜も終わりだね、、』
悲しげな瞳で妻の有紗が言った。
だって【花が白いから、、】
元々は真っ赤な花を咲かせていた老木の桜。
若木の頃から毎年毎年花を咲かせた。
若い頃は赤く、全盛期は綺麗なピンク。
そして老木になり白くなった。
有紗は【おばあちゃん】から聞いていた。
【桜の木の下にはね、、死体が埋まっているんだよ。その死体を養分にして、血を吸って赤く花を咲かせるんだ。】
そしておじいちゃんが行方不明なのも知っていた。
次の年、老木の桜は樹勢を取り戻し真っ赤な花を咲かせた。
一人有紗はそんな桜を寂しく眺めていた。