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少女への寄生が終わり、俺は新しい自分の身体に合わせて、鎧の再構成を開始した。
この、異世界と思われる場所で俺は、触手鎧になった。
そう、触手鎧とはいえ、あくまで鎧。
しかし、俺個人としては、西洋甲冑のようなガチガチの鎧鎧よりも、好きなアニメの戦場で唄う乙女達のギアや、モンスターの素材を生かしたモンスターでハンターなゲームの鎧の方が好みではある。
新しい鎧を構成するため、心臓替わりのメインコアとは別に、胸元、二の腕、太ももに全部で5つの紫水晶のようなコアを設置。
そのコアから触手を身体に這わせ、鎧を作ることにした。
まずは、身体を触手で覆い、ロンググローブ、サイハイソックス、競泳水着のように、ピッチリと身体のラインが分かるアンダースーツを構成する。
ロンググローブの指先、第一関節を濃い紫色にし、それ以外の場所も白をメインに、濃い紫、淡い紫、金色で染め、首筋までスーツを覆い直し、股の部分は前後に布を垂らしスカートっぽく仕上げた。
これで、アンダースーツは完成したが、ぶっちゃけそこらの鎧よりもアンダースーツのみで勝ってる気がするので、動きの妨げにならないよう装甲部分は最低限に抑えたい。
全身甲冑の銀等級冒険者のパイセン曰く「正しく斬るなら兎も角、1本の剣では5匹と斬れん」らしいから、剣なんて触ったこともないトーシローの俺には使えない。
だから、オレンジの歌姫のように自らの拳を武器にするつもりだ。
よって、攻防一体の装甲を腕と脚に装着し、ある程度頭部を守れればいい。
全体的に、オレンジの歌姫を参考に鎧としての装甲を生成する。
この世界には、どうやら魔力があるらしいので、腕部装甲に魔力を噴出して加速するスラスターを作る。
脚は、グリップを良くするために、爪先と踵に爪のような機構を作った。
完成した装甲の試運転として、洞窟の壁を魔力で加速させた拳で殴ってみることにした。
「…フッ!」
クシャ、ドゴーン。
「み、みぎゃー」
魔力で加速させた拳が洞窟の壁に衝突した瞬間、手首の耐久限界を超え、手がぐしゃぐしゃに潰れた。
「あ゛あ゛~」
手首を押さえながら思う、オレンジ歌姫のパイセンは偉大であったと。
いくら防御力を上げても、人体の構造上、脆い関節を強化しなければ、自らの力の反動で身体が壊れてしまう。
オレンジ歌姫のパイセンに倣い、魔力推進の使用時は籠手からナックルガードが出る構造にし、肉体への浸食率を上げ、肉体の強化を行った。
肉体改造と手の修復が終了し、豚ゴリラとその首に刺さった剣を見た。
「駆け出し冒険者っぽい格好のわりに、剣だけはやたら高そうなんだよな。【鑑定】スキルみたいなのがあれば、豚ゴリラの正体が判るのにな」
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オーク
Lv.23
♂
成人男性より少し大きな人型の魔物。
種族的にオスのみしか存在せず、他種族のメスを拐い苗床にする。
筋力は、人種の3~5倍と強い。
幼い子供を拐うケースもあるため、見掛けたら討伐を推奨する。
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「ほぇ?」