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目を覚ますと、目の前には美少女の寝顔が。
というまるで、酔っ払って朝チュンみたいなシチュエーションにフリーズすること30秒あまり。
その美少女の顔が、異世界に触手鎧として転生したあとに寄生した少女のものだと理解するのに30秒。
目を見開いた少女と見詰め合うこと1分。
「「キャーーーーーーーーーー」なのじゃ」
絹を裂く乙女の絶叫に、メイドさん達がベッドに駆け寄って来た。
2人ほどメイドさん達が部屋をあとにし、妾等は残ったメイドさん達に簀巻きにされ、お風呂へドナドナされた。
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全身をピカピカに磨き上げられ、呆然としている間に服を着せられて、ママ様の前に連れていかれた。
「あらあら~、とても似合っているじゃない」
「狩人組合に行くぞ」
なぜ、狩人組合に行くのか訪ねると、身分証を発行しに行くらしい。
ママ様と母様に一緒に手を引かれている、蒼系少女の「ステータスカードなら、わたくしは持っているじゃありませんの?」という疑問に、母様が「身体が変わってしまったんだから、あれは使えないだろう」という答えが。
「それに、こっちの娘はそもそも持ってないしね~」とママ様は言いつつ妾を見る。
目が覚めてから、一人称やら口調やらが色々変わっているのは気になるが、一先ずは置いておき。
妾等の住むこのフレミア王国では、子供が5歳の誕生日を迎えると、狩人組合か教会でステータスカードを作る。
大抵の人は、狩人組合の組合票とセットで発行できる組合を選ぶが。
そして、本来は一生モノであるステータスカードを肉体改造レベルで身体が変わってしまった、またはそもそも持ってないためにギルドに向かっている。
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ステータスカードの発行自体はとても呆気なかった。
異世界転生モノあるあるの、水晶球に触れて"ピカッ"ってヤツです。
まぁ、触れたのは水晶球ではなく専用の部屋に据え付けられた水晶柱だったのだが。
ここで、異世界転生モノあるあるパート2が発動した。
よくあるパターンは、水晶球に主人公が触れると"カッ"っと閃光が走り"パーン"と水晶球が爆ぜるという感じだったが、妾は[名前が無いのでステータスカードを発行できません]じゃった。
くそぅ。




