13
13
妹と触手鎧が繭に包まれた翌日。
メイドから、結晶に変化があるとの報告を受け、家族でゲストルームへ移動した。
部屋の隅にある、アリシアの入った結晶の繭には、皹が入り激しく明滅を繰り返していた。
時間が経つごとに、明滅の速度は上がり、皹も深くなっている。
そして、一際眩しく輝くと一転して完全に輝きは失われ、繭は砕け散った。
繭が砕け散ったあとには、1人の少女が横たわっていた。
そう、アリシアの面影を強く残した少女が。
しかし、彼女は一目でアリシアではないと言える特徴があった。
顔つき、体格は妹であるアリシアそのものではある、ただ、一家の特徴であった白銀の髪は僅かに蒼系統の色が入り蒼銀に、そして、水晶の角が生え、四肢と目尻には鱗が、更に尾てい骨の辺りから立派な尻尾が生え、先端が魔剣フリージアになっていた。
そんな妹なのか、別の何かなのか判別に困る少女に注目していると、背後から"ニチャァ"と湿った音がして、肉の繭だった物の下に少女が倒れていた。
浅黒い褐色の肌に、鴉の濡れ羽色とでも言うような漆黒の髪。
お母様よりも低いと思われる身長(恐らく130cmくらいだろうか?)に、アリシアに似た顔。
一部甲殻に覆われた悪魔のような尻尾。
そして、額から伸びる一角獣の物と思われる角、側頭部に生えた龍種のような太い角と、そこから上に向かって生えたオーガの物と思われる角によって、まるで角で出来た王冠を被っているようだった。
全裸で倒れている2人をベッドへ寝かせ、部屋の掃除と2人の見張りをメイド達に任せ部屋をあとにした。
2人が目を覚ましたのは、繭から出て2日後の昼だった。




