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俺の名前は、大黒 悠29歳、低身長と少女のようにも見える中性的な童顔が悩みの、彼女居ない歴=年齢(彼氏気取りの友人は居た)のしがないリーマンだ。
…いや、だった。
営業回りの途中だったはずなのに、気付いたら洞窟のような岩に囲まれた部屋に居た。
手足の感覚がおかしいうえに、目の前には、血溜まりが広がり、ゲームの駆け出し冒険者みたいな格好の美少女が、緑色の肌の豚ゴリラのようなUMAと相討ちになって息絶えていた。
こんな状況で、失神しなかった自分を誉めてあげたいくらいだ。
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あの後、いろいろ見ていたけど、一歩も動けなくて、思いっきり「動け~!」って念じたら、"にゅるん♪"と何かが生えた感覚がして、別の視点から自分が見えた。
そこにいた俺は、内側に触手が生えた鎧だった。
うねうね、にゅるにゅると触手を動かすことはできたけど、その場から動くことも、しゃべることもできなかった。
この身体になったことを認識したからか、どうすればここから移動できるのか理解できた。
それは、宿主を探して契約することだ。
触手鎧とでも言うような俺の種族は、ダンジョンでアイテムのふりをして獲物を待ち、自らを装備した人間の陰部に結合し、排泄物等を喰らい、宿主を守る。
しかし、女性が宿主になると、純潔を散らされ、子宮内にも寄生されるため、月のものも捕食されてしまい、子をなすこともできなくなるらしい。
そんな俺の目の前にあるのは、2つの新鮮な死体だ。
その死体に寄生し、取り込み自らの身体にすればこんな洞窟からおさらばできる。
緑色の肌で禿げ頭の、豚ゴリラは寄生する候補から除外するとして、もう1つの死体が15歳くらいの美少女のものである。
そう、美少女なのだ。
俺は、男のナニに触れたいわけではないけど、美少女になるのもちょっと遠慮はしたい。
しかし、時間が経てば死体は腐り、触手鎧を着たゾンビの出来上がりだ。
早く取り付き、身体に根を張り、完全に取り込みきってしまえば、死体ではなく生きた肉体になり、腐ることもなくなる。
豚ゴリラに寄生しても、腐った死体に寄生してもモンスターとして、討伐される未来しか想像できない。
つまり、俺に選択肢は最初からなかったわけだ。
覚悟を決めた俺は、触手をそろりそろりと伸ばし、少女の胸に開いた大穴から体内に侵入した。
本来なら、陰部から体内に侵入し、装備者の腸に寄生するのだが、少女の胸に開いた大穴のおかげで、血管を通して全身に隈無く寄生することができた。