落第の印 ①
少女はある孤島の中心部、神殿の中にある比翼の舞台に呼び出されていた。
比翼の舞台は、静寂な空気が漂い、しっかりとした意識を持っていないと気を失いそうな緊張感がある。この場合の奥には5人の面影がすだれによって隠されている。ここで、各国の行く先や重要課題が話し合われ、一つの歴史の幕を閉じさせたこともあったという。
そういった重要な場所に呼びだれれた少女は、緊張の面持ちを隠しきれず、硬い表情のままでいた。
「よく来ました。そう緊張しなくても大丈夫です」
「……、」
すだれの奥にいる女性が威厳のある声で少女に語りかけるが、少女は硬い表情のまま。
いや、より一層緊張感がましたかもしれない。
少女の緊張が高まっていくのも無理はない。
この場合は各国の重要な議題が話し合われることのほかにも重要な場所でもある。
それは、この島のありとあらゆる面についての決定が行われる。当然、島民の運命をもだ。
この孤島が各国に影響を及ぼして来た理由の一つにこの島の人間が各国へ派遣され様々な任務を果たして来た。要人の警護や秘密の情報のやり取りなど表向き健全なものから、密偵や暗殺など世には公表できないものまで……。
少女はこの場合、比翼の舞台に呼ばれた以上何らかしらの危険な任務が与えられると覚悟していた。
もちろん、どんな任務であってもやり遂げられる自信はある。
あるが、だ。
当然危険な任務であるからこそ、想定外の出来事も起こりうる。
そういった場合には死も覚悟しなければならないだろう。
そんなことを少女が考えていると、少女の頭上に1枚の葉っぱが舞い落ちて来た。
「取りなさい」
張りのある声ですだれの奥にいる女性が言う。先ほどと同じ女性のものだ。
少女は警戒しながら葉っぱを右手で掴む。
すると、葉っぱは一枚の紙に変化し、一人の少年が描かれていた。