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僕と彼女のたった一つの約束   作者: 竜泉塚神楽
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出会い

誰にでもあることだろうが入学式というのは意味もなく緊張するということはないだろうか。

そう、俺赤崎夏樹は今とても緊張している。新入生代表として壇上に上がるわけでない。たぶんなれないスーツを着てなれないところまで来ているからだろう。俺の進む道はあの日決まった。あの合格発表で・・・

 あの日俺は、少し風邪気味だった。鼻が詰まって鼻水が止まらないというだけで済んだのはとても良かったのだが、試験に集中できず第一志望の大学をあきらめていた。しかし合格発表の日あきらめていたつもりだったが未練がましく見に行った自分の目を疑った。自分の受験番号があったからだ。

 今日から始まる大学生活を勉強も頑張り彼女も作ってリア充になれるように頑張るぞっと一人で意気込んでいると、舞台のわきから司会の人がでてきた。

「ただいまより平成29年度入学式を開式いたします。」

と定型文から始まりつつがなく進行していた。

「続きまして新入生代表挨拶。新入生代表 野々村朱音」

「はい」

という声とともに代表が舞台に上がった。彼女が舞台に上がった瞬間その場にいた誰もが息をのんだ。アイドルかモデルでもやっているのではないかというくらいの美少女だったからだ。しかし俺は首をひねっていた。それは、彼女の名前をどこかで聞いたことがあったからだ。だが周りの様子では誰もそのような様子がなかった。俺はずっと頭の中をかき回して思い出そうとしていた。すると

「以上を新入生代表挨拶とさせていただきます。」

と挨拶が終わっていた。そのまま式が終わると順番に退席となった。俺は、退席すると彼女はいないかと周りを見渡していた。しかしもう帰ったのかどこにも見当たらなかった。俺はおとなしく電車で帰ろうと駅に向かっていた。もうすぐ駅だなと思っていると彼女がいた。どこか上機嫌に鼻歌を歌っていた。その歌は、俺がまだ小学生だったころに流行っていた小学生や中学生がメインとなり歌や劇やお笑いなどを放送していたバラエティ番組のテーマだった。俺の脳内に衝撃が走った。彼女のことを思い出したからだ。彼女はそのバラエティ番組に出ていた出演者だった。ぱっと思い出せなかったのは、同じ年で同じ出身地ということは知っていたが、まだ女優として活動していると思っていたため、こっちに戻ってきているとは思わなかったからだ。俺は、彼女に声をかけるチャンスをうかがうことにした。駅に着くと彼女は切符を買い改札へ向かっていた。その途中で彼女はハンカチをポケットから落とした。しかし彼女はそのことに気づかず改札を通り抜けてホームへ降りていった。切符を前もって買っていた俺は、そのハンカチを拾うと改札を抜けホームへ降りた。彼女は本を読んでいた。俺は彼女に近づくと声をかけた。

「あの、すみません」

「はい?」

「これ落としましたよ」

と言い拾ったハンカチを手渡した。すると彼女はあわてたようにポケットの中を調べ、驚いた顔をすると

「すみません、ありがとうございます」

と言い受け取った。俺はすかさず

「間違っていたら申し訳ないのですが、昔テレビにでていませんでしたか?」

と尋ねた。すると彼女は驚いた表情をすると

「え?でてないですよ?人違いなのでは?」

「え?でも野々村朱音さんですよね?昔とあるバラエティに出ていた。それにその番組のテーマソング思いっきり歌っていましたし」

「あ、聞いていたんだ。はぁ、うかつだった」

というと彼女は何か決意したかのように

「そうです。わたしは野々村朱音。昔はテレビに出ていたけど今は舞台をメインにして活動しているんだ。それでね、お願いがあるんだけど」

「もちろん、誰にも言いませんよ?知れ渡ってもめんどくさそうだし」

「ほんとう?よかった」

「その代わり、俺と友達になってほしいです」

「わたしでよければいいけどそんなことでいいの?」

「いやいや友達はだいじですよ?これからの人生にとっても」

「わかりました。これから友達としてよろしくお願いします」

「ん、じゃあこれからは野々村って呼ぶから」

「いいけど君の名前、私知らない」

「あ、ごめん。俺の名前は赤崎夏樹。赤崎でも夏樹でも好きなように呼んでね」

「じゃあ赤崎君で、あんまり怪しまれたくないから」

「そんなことで怪しまれたりはしないよ」

「でもあんまり近すぎるとね」

そんなことを話していると目的の駅に着いたので

「まあ、いいや。学部は一緒だし、また今度学校でね。野々村」

「うん。またね、赤崎君」

そういって別れた。



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