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Flag number 05 「 初めての冒険であう強敵 」

ゴツゴツした石壁に囲まれた暗い空間に、

青い緑色に光り輝く無数の魔法陣が空中に散らばっていた。

その中央に立つ黒い影は抑え切れないといった嬉声をあげている。


「これで四つの封印が解ける!ははは、あと二つの封印を解けば、世界は混沌に包まれるのだ!!」


ゆらゆらと陽炎のように揺れるその影の正体はいったい…



「…これがあの…」


街を出て、ビギナーズフォレストの奥地へと歩いていた直哉の前に、モゾモゾと蠢く物体があった。

某有名ゲームの人気キャラクターである、あのスライムだ。

少し観察してみると、30cm程の土気色っぽいドロドロの中に、赤く光る核が存在していた。

ドロドロ部分は物を徐々に溶かす酸性を備えているが、弱点はその核を砕くということを、事前に聞いていた為、焦ることはない。

慣れれば子供でも楽に倒せると言われる程だ。


早速討伐してみようと、ダガーを右手に持ち、ソロソロと慎重に近付いていく。

スライムは、モゾモゾと生えている草を捕食するのに夢中なようだ。

ダガーが届く距離になった瞬間、急にスライムが飛び交ってきた。


「おっと…今だ!」


びっくりしたが、余裕でかわせるスピードだったので慌てず体を捻り、スライムが着地すると同時に、ダガーをスライムの核に向けて突き刺す。

パキッと音が鳴ると、スライムの体が気化するように消えていった。

初めての討伐に感動した直哉だったが、実はスライムは冒険者の間では、嫌われている存在だ。

倒しても素材を残さないため、駆除依頼以外では金銭にならない。

そこで敢えて、野良スライムを見逃して、駆除依頼を待つ事が多いのだ。


若干の高揚感に包まれつつ、発見したスライムを片っ端から討伐すること10匹目に、微かに身体に違和感を覚えたため、もしやと思いステータス確認をしてみたら、レベルアップしていた。


======================================

名前:斎藤・ロットン・直哉

種族:異世界人

称号:巻き込まれた一般人

職業:冒険者

レベル:2

体 力:45 ➡ 60

魔 力:25 ➡ 40

攻撃力:25 ➡ 40

耐久力:31 ➡ 46

素早さ:34 ➡ 49

知 力:70 ➡ 80

器用さ:70 ➡ 80

固有スキル:

異世界言語変換、成長補正【弱】

習得スキル:

身体向上補正Lv1、疲労回復速度Lv1

======================================


流石に最弱のモンスターなので、経験値は少ないがそれでも、当初の倍程強くなっている。これを見て気持ちも楽になって来た。

さらにやる気になって、発見即討伐とプチプチやっていると、木に成っている果物を発見した。

取り敢えず採取してから、ナイフで小さく切り込みを入れる。そして果汁を腕の皮膚に付け、ヒリヒリした感触が無い事を確かめて、軽く舐める。

時間を置いて舌に違和感が出なければそれは食べられる果実になるのだ。

いわゆるパッチテストと呼ばれるもので、毒素等を人体で敏感な部分を使って、判断する事が出来るらしい。

テレビ番組でやっていたと後輩から話しを何度も聞いていて良かった。

6つ程もぎ取りとまたプチプチ作業に戻る。



暫く進むと、川辺に出た。

飲み水用に少し汲んでおく。

焚き火したときにでも、ろ過装置は作っておこう。


2本目の瓶を貯め終わった時に、後ろの茂みから何か飛びだしてきた。

見ると、水色のスライムのようである。

こちらに飛び交ってきたので交わして突き刺す。

既に慣れた手順であったが、若干さっきの寄り素早くて耐久もあるようだ。

まあ、場所に寄ってスライムの色も変わるのかなってくらいで納得した直哉は、さほど興味を持たず、上流へと歩き出し、水色に変わったプチプチ作業へと戻った。


「この世界の川って澄んでて気持ちーな。何だろう、文明低いから汚染とか土壌整備とか進んでない?とか?」


適当な独り言を呟きながらもプチプチしていくと、今度はコールタールの様に真っ黒いスライムが出てきた。


「拙い…核が見えない…」


黒すぎて弱点の核が見えないのだ。

戸惑っていてもスライムは待ってくれる訳はない、タールのようなドロドロ部分を投げ付けてきたので、避けながら闇雲に斬ってみる。

しかし、効果は無いようで、斬って別れた部分から、またスライムが誕生している。幸い投げ付けたドロドロの方は増殖しないようだ。

少し考えたあと、ダガーをその場に置いて、武器を取り替える事にした。

幸いにも此処は川辺だ。ある程度大き目の石を持ち、黒スライムに走り出した。

飛んで来るドロドロ部分を石でガードしつつ、黒スライムに覆いかぶさるよう潰してみた。

核を壊した感触があり、気化して消えていったのを確認方法した後は、もう1匹も同じ様に潰して処理した。


「黒スライムは速くないから、今後はこの手でいけるな。」


汚れたダガーを川で洗い終わると、また歩き始めた。

途中にも数匹の黒スライムが現れたが、問題なく処理していく。

5匹程に囲まれた時は、面倒だったので川に流したりする荒技をやる職人になっていた。


上流へと近付いたのか、滝が見えてきた。


ドドドドドッ!という音が喧しくてさっさと通過しようとした際、滝の近くに巨大な紫色のスライムがいた。

体長は1mを少し超える位だ、こちらに気付いたのか、そのスライムの上空に、二つの魔法陣が突然現れた。

一つの魔法陣の中心から、炎で型どられた鷲が飛んで来る。


「おおっ!危ない…魔法ってやつかな?」


もう一つの魔法陣からは、先程の黒スライムが飛んで来る。

それは後々対処出来ると、焦ることはしなかったのだが、回避した炎の鷲と黒スライムがぶつかった瞬間に爆発が起きた。

中々厄介な組み合わせだったのに関心した。

近付こうにも、既に紫スライムの周りに、黒スライムが配置されている。


自爆特攻なんてするつもりが無い直哉は、弓を構えた。

まだすばしっこい小動物系に当てられる程上手くないが、1mの的だし、その大き目の核を狙うくらいならやれると、自身に言い聞かせてる弓矢をセットしていく。

相手のスピードは速くない、注意は炎の鷲とその爆発だけだが、どちらも川を背にしておけばそう怖くない。


耐久勝負となった両者は、弓矢が35本命中する頃に決着はついた。

大きな核にヒビが入ると、紫スライムの体が気化していく。

消えたのを確認し、残った黒スライムを順次潰したり川にどんぶらこさせていく。

全ての処理が完了した頃に、陽が傾き始めた。

元々野宿を予定していたため、とある場所を探さなければならず急いで滝を登ろうとした際に気付いた。

滝の裏に洞窟があったのだ。


「洞窟の奥かぁ…灯りないし…レベル足りてないだろうし、時間もないから今回はパスで。」


またいつか行ってみようと、先に進んで行くのであった。

簡単に崖を登りきった腕力に、異常だろうと思いステータス確認をしてみた。


======================================

名前:斎藤・ロットン・直哉

種族:異世界人

称号:巻き込まれた一般人

職業:冒険者

レベル:22

体 力:60 ➡ 360

魔 力:40 ➡ 340

攻撃力:40 ➡ 340

耐久力:46 ➡ 346

素早さ:49 ➡ 349

知 力:80 ➡ 100

器用さ:80 ➡ 280

固有スキル:

異世界言語変換、成長補正【弱】

習得スキル:

身体向上補正Lv3、疲労回復速度Lv3

短剣術Lv3、弓術Lv2、不動の心

======================================


「…レベル22って上がりすぎてないか? …主だったのかな?スキルもちょっと上がってるし結果オーライだ。」


済んだことは気にしないで、強くなったことを喜ぶことにした直哉は、どんどん奥地へと歩き出した。




その頃、直哉が街からつけてきた人物は木の上にいた。


「ミニスライムやアクアスライムはまだしも、アビススライムとさっきのは魔道スライムじゃ…ダブルシルバーの討伐依頼レベルだよね。この森で活動するような魔物じゃないよね…やっぱり勇者というのは本当なのかな?」


実際には、ただのスライムとしか思っていなかっただけである。

同中で倒したスライム達の経験値により、レベルアップしていなければ、確実に逃げていただろう。

弱点がはっきりしているスライムに助けられた直哉であった。




その数刻後、夜の帳が下りる頃、滝の裏にあった洞窟から1体の影が出てきた。



「さて、封印を解除出来た!残りは二つ!もう世界の終わりが間近…ん? 入口に待機させていた魔道スライムはどうした?…まあいいか。さっさと次に行く事にしようか。」


夜の闇に飲まれる様に、その人物は消えていった。



またも偶然、物語の主人公が序盤に会う、暗躍するボスフラグを回避する直哉であった。

登場魔物

===========================================================

討伐ランクC

種族:魔道スライム

レベル:32

体 力:230

魔 力:560

攻撃力:70

耐久力:106

素早さ:55

知 力:300

所持スキル

魔力増加、無詠唱、同時詠唱、眷属召喚Lv3、火炎魔法Lv7

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