表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/17

Flag number 06 「 冒険者との邂逅(中)」


夜中の見張りをダレン、その後にリオンと組み冒険初の朝を迎えた。

目を開くと、細い赤と黒の細く小さな蛇が無数こちらを見ていた。

チロチロと舌を出しながら、クネクネ動く。

ヘビに睨まれたカエルと言うのか、視線を逸らせないでじっとしていると、蛇達が左右に分かれ始めた。

すると、突然リオンの幼い顔が目の前に現れた。


「鼻とか口、小さいなー。」


と、思わず口に出すと、リオンが突然目を覚まして、目と目が合う。

ぎょっとした後に小さな口が開き始めて、悲鳴をあげた。


という夢をみて寝覚めの良くない朝を迎えた直哉は、いつの間にか近付いて裾を掴んで寝ている、リオンの手をそっと離してあげると、幹をつたり下に降りる。

見張りをしている2人は、装備品の手入れをしていた。

挨拶をすませると、気になっている事を聞くことにした。


「昨日は見間違いかと思ったんだけど、リオン君って不思議な体質だね。初めて見たよ。」


「そっすか?まあ、俺達みたいに異種族PTは珍しい方っすね!」

「リオン君は、蛇人族なんですよ。ちなみに私は、羊人族です。」


すると、レレイが頭のターバンを脱ぐと、

頭部のサイドに、小さな2本の角があった。白い角は外から内側に巻かれる形だ。


「俺っちは人族なんだけどな!」


「何だか楽しそうだね。さて、私はもう奥地に行くんだけど…」


「え…ナオヤさんお一人ですか?」

「てっきり仲間を待ってるんだと思ってたっす!だってシングルブロンズっすもん…」


「ん? 一人だけど…まあ、私も冒険者として初めての依頼だったから、仲間とかはまだいないんだよ。というより、3人は初めて依頼受けて森に来たんだよね?何でダブルブロンズなのかな?」


「冒険者は13歳からだけど、仮登録は10歳から出来るんっす!それはシングルブロンズの依頼の内、街中の依頼だけ受けられて、その3年間を経験していると、本登録の際にダブルなれるっす!俺達は3人共一緒にやってたっす!」


多分見た目で大人な直哉には関係無いと思い、説明を省いた部分なのだろう。


「一人で森に……普通、冒険者は3〜5名のPTを組んで依頼を受けるんですよ。報酬は減りますが、安全度は各段に上がるのに凄いです!」


知っていたが、実際筋トレ等をやり過ぎて変人認定を受けた為か、誰にも話しかけられなかったし、直哉自身もそれでやりたい事を出来るならばと思っていた。

彼等は、その噂を知らない様だったが。

何やらこそこそと相談している2人だったが、ダレンがにこやかな顔で振り向いてきた。


「なら、ナオヤさん、俺達とPT組んで見ないっすか?それに、俺達も道具を取りに行こうと思ってたっす!」


少しだけ思案した。

一人の方が全て自己責任なので気が楽だったが、今回の目的は依頼達成の他に、レベルアップと戦闘経験を積むことだ。

確かに人数が多い方が、効率いいかも知れない。

それに、出来れば魔法を覚えたいというのもあるので、色々手解き貰いたいのだ。


「それじゃ、お願いしようかな。」


転移依頼、人を疑ってばかりの期間だった事から、わあ!っと喜ぶ二人を見て、この世界に来て、久し振りに暖かい気持ちになった。


「じゃリオン君が起きてきたら、先ずは3人の荷物を探しに行こうか。」


「ありがとうございます!」

「じゃ俺!起こしてくるっす!」


慣れた感じでダレンは、スルスルと猿のように魔除けの木を登っていった。

少しして、二人が降りてきたので、早速準備を始めた。

出発前に、確認すべき事があるので3人に聞いてみた。


「3人はどんな役割で、何が出来るのかって聞いてもいいかな?ちなみに私は魔法が使えないから、主に前にでて戦うタイプなんだけど…」


「俺っちも魔法より剣で戦うタイプっす!一応身体強化の魔法は使えるっすよ。先頭に立って切り込んでいくのが好きっす!」


「私は、支援型魔法職です。微力ですが身体強化や回復魔法を使います。攻撃魔法と言える程強くはありませんが、炎魔法が使えます。」


「…僕は…拳闘士…です。魔法は使え…ません。」


「リオンは種族的に、丈夫で攻撃力も高いんっすよ!」


前衛3人と後衛1人とバランスいいのか不明だが、準備も終わったので早速奥地へと歩きだした。



奥地へと進むと、周りの景色が変わっていく。

ただの木すら太く高く間隔も狭まる。その葉も枝も生い茂り、陽の光すらまともに入り込めなくなった。

空気すら重くなったかのような苦しい雰囲気に、次第に口数が減り始めた時、リオンがハンドサインで、止まる様に指示を出した。


「…向こうの茂みに…魔物がいる…数は…3

。」


蛇人族の髪蛇には特性があり、目と鼻の間に、恒温動物の温度を感知するピット器官が備わっている。

また、その口内にはヤコブソン器官と呼ばれる匂いの粒子を感じ取り、匂いの発生源を特定する事も出来るのだ。

人族でも索敵用のスキルはあるが、これらは独自の感覚であり、夜や洞窟など暗い場所では、彼等の様な索敵担当は重宝される。

但し、まだまだ13歳という若さのため、リオン自身の索敵範囲は10m程であったが。


「何がいるってことは分かるのかい?」


「…まだ無理…ボヤけてる…感じ。」


「それでも助かるよ。さて、どうしようかな、取り敢えず構えて…」


「とりゃーっす!!」


ダガーに手を掛けると、それより先にダレンが駆け出していく。

少し驚きながらも、次いで駆け出すと、そこには3体のカエルっぽい魔物がいた。

緑と白の斑模様に、他の体部分とは異なり筋肉質で異常に長く太い腕、水かき部分すらゴツゴツとしている。座り込んでいる体勢でも1m近くありそうだ。


「プレストードです!腕の力が強く、捕まると厄介です!また、舌は2m程直線的に伸びて拘束してきます!主にジャンプで移動するのですが、速度は早くありません。気を付けてください!」


レレイより敵の情報が的確に伝えてくれた。説明後に詠唱を始めるが少し時間がかかる様なので、待たずに攻撃を仕掛ける。


前衛組が一人1体を担当する。

直哉は、ダガーを逆手持ちにし、正面に構える。

プレストードが大きな口を空け舌を伸ばしてくる。

それを左側に避け、ダガーで伸びきった舌に、刃を引くように斬ると意外にもバッサリと切れた。

しかし、視線を舌に向けていた為、左脇腹に鈍い衝撃がきた。

痛みはそれ程無かったのだが、何が当たったのかと一瞬見れば、50cmくらいの石が転がっていた。

舌を伸ばしつつ、石を投げ付けたのだろう。

油断したと、反省する。

しかし、斬られたダメージで、腕をバタつか せながら悶えているプレストードの姿を見て、慎重に近づき背後に回ると、脳天へ刃を突き入れる。暫くピクついていたが、完全に動かなくなったようだ。

このタイミングで、身体を緑色と青色の光りが包み込む。


「硬度微強化、筋力微強化。ダレン君!攻め急がないでください!」

「だりゃぁぁぁ!!」


どうやら身体強化系の魔法の様だ。

リオンの方は、距離を保ちながら安定してダメージを稼いでいる様だが、ダレンの方は、正面から斬り込んだ剣をプレストードは腕で防いでいる。見てて若干危なげない。

ダガーを軽く振り血糊を少し落とすと、ダレンの方に向いているプレストードの後ろに回り込む。

ダガーを振りかぶった瞬間、直哉が回り込んだことを確認したダレンが、あっ!と声を出した。

それに何かを感じ取ったのか、プレストードは高く飛び上がり、奇襲が失敗したのだが、距離が取れたと切り替え、焦りはしない。


「ダレン君、左右に別れて対応しましょう。私は左からいきます。」


簡易的な指示で両側から攻め始めた。

直哉側を向いて岩を投げつけるが、避け続け一定の距離を保ち、決して近付かない。

目的は別にあるからだ。

中々当たらないのにイラついたのか、投石が雑になってきた頃、背後からダレンが襲いかかる。


「せいやぁぁぁ!!」


声に反応したプレストードが、そちらを振り返り腕でガードした瞬間、声と同時に蹴りだし、素早く近づいていた直哉が背後から背中を串刺しにした。

飛び交ったため、着地するダレンへと、舌の攻撃をしようとしたプレストードだったが、眼から光が消えて動かなくなる。

すぐさま残りの1匹を見たが、リオンが既に倒している。

戦闘中に他の魔物が近付いてないか、周りを警戒して数分後、無事安全を確保した一行は、息を切らした2人が休憩する間に、レレイと一緒に魔物の素材と魔石を剥ぎ取る。


スライムと違い死体が残る為、剥ぎ取り後に、焼却か洗浄魔法等をする必要がある。

直哉は、事前に消臭ポーションと呼ばれる薬剤を買っていたので、今回はそれを使用した。

処理も終わり皆で集まると、反省会を既に2人でしていたようだ。


「疲れたっす!プレストードなんて初めて戦った!」

「…ダレン…直線的…過ぎ。」

「3人だけだと危なかったですね。ナオヤさん、ありがとうございます。」


3人共に感謝の言葉を言われ、一緒年下の部下との、懐かしいやり取りを思い出し、胸が熱くなり自然と口元が綻ぶ。


「いやいや、私だけでも勝てませんよ。助かりました。」


笑顔でそう言うと、ぽーと惚けた顔で3人が見ている。


「笑顔素敵っすね!」


他の二人も何度も頷くので、恥ずかしくなってくる直哉だった。


「しっかし、すげー強いっすね!」

「本当です!一刀でプレストードの舌を斬って倒すなんて、強化魔法が間に合いませんでした!」


「そんな事ないと思うけど…」


すると、近付いてきたリオンが、直哉の腕や足を触りだす。


「…すっごく…硬い…気がする。」

「プレストードは、リトルゴブリンよりも力が強くて、厄介なんですよ」


聞くと、通常のゴブリン達と同様のトリプルブロンズクラスらしい。

よく逃げずに戦ったものだと今更ながらに思った。

依頼を受ける際に、魔物の情報を聞いていたが、受付嬢も森の深い区域に行くとは思っていなかったため、偏ってしまっていたのだ。


「師匠と呼ぶっす!」


「シングルブロンズなのにかい?」


「関係無いっす!良ければ早速さっきの戦闘について指導頂きたいっす!」


真剣な表情で頼み込んでくる。

他の2人もそれが良いと納得している感じだ。


「今の所、弟子は無理だけど…そうですね、さっきの戦闘についてなのですが、攻撃する時の、掛け声とかで敵に気付かれてましたよね? 周りをよく見て落ちつければもっと良くなりますよ。」


「わーん!良く言われるやつばっかっす!」


ダレンを除く3人が、笑い出して場が和む。

休憩も終わり、再度奥へと歩き出した彼らは、その後も出て来る魔物を順調に討伐していく。


体感的に昼に差し掛かる頃、荷物を置いてきたと思われる、目的の場所が見えたのだが、そこには異形の魔物がいたのだった。





そんな彼等を付けていた人物は、蛇人族のリオンが感知出来ない距離にいた。


「まさか、他の冒険者と一緒に行動するなんて…これじゃ接触が出来ないじゃない!」


この人物はいったい何者なのだろうか…

登場魔物

======================================

討伐ランクE

種族:プレストード

レベル:12

体 力:120

魔 力:0

攻撃力:205

耐久力:170

素早さ:40

知 力:34

所持スキル

怪力Lv2、硬質化Lv1、悪食Lv3、

危険察知Lv1

======================================

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ