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日替わり?!レアガチャ勇者様!  作者: 窓際ななみ
うらぎりのしてんのうの章
41/63

第四十話 迷宮探索!

「なにこれ?」


 迷宮探索に乗り出した私たち。私は、ザッハが持っていたL字型の奇妙のロッドに目をやった。

 

「……ダウジング・ロッド……という素晴らしいアイテムです……!」

 

 ザッハは、これみよがしのドヤ顔で、ダウジング・ロッドと呼ばれる物を両手に持って構えると歩き始めた。私たちは、とりあえず黙ってザッハについて行くことにした。

 迷宮内の道は、森の中を歩いている感じだった。木々に覆われて周りが視界が遮られてしまっており、日没までにはまだ時間があるというのに、辺りは薄暗かった。そして、歩けど歩けど同じような背景が続くため、飽きて集中力が欠けてしまうようだった。

 それでも、ひたすら歩き続けると、続く道が三つに別れている場所にでる。


「やっぱりまた道が変わっているわね。……はぁ、……毎回マッピングするのは疲れるのよね」


 何回か挑戦して気づいたのだが、時間が経つと道が変わってしまうのだ。迷宮のマッピングをしていた私は、ため息をつくとマッピング用に購入した帳面に印をつける。マッピング自体は、迷宮から戻るために必要になるのだが、やはり毎回書き直すのはとてつもなく面倒くさかった。


「ねぇ、パンナお姉ちゃん。どっちに行くの?」


 コウメちゃんが、私に聞いてくる。私は、ちょっと頭を悩ませる。


「今までは、適当に選んで、結局迷ってしまったのよね……。」


 ……とはいえ、特に正解となるルートに心当たりもなく、冒険者の感に頼るしかない状況ではあった。


「……こっち……」


 しかし、ザッハは迷うこと無く、右側の道を歩き始める。手に持ったダウジング・ロッドを見ると、右側の道を指し示すように、ゆらゆら揺れていた。


「ザッハちゃん! これもしかして、正解の道筋を教えてくれたりしちゃうの?」


アンゼリカは、驚きの表情で目を輝かせザッハの持つダウジング・ロッドを見つめている。


「……原理は不明だけど、これで地下水や鉱脈とかの位置が分かるらしい……、と道具屋のおじさんが説明してくれた……」

 ……原理は不明なのね。

 若干の不安はあったものの、正解ルートに心当たりも無いため、今回はザッハに任せることにした。私はマッピングを継続しつつ、ザッハの後ろを歩いて行く。

 アンゼリカに続いて、コウメちゃんもダウジング・ロッドに興味津々のようだった。たまに、ザッハの手元を覗き込んで、観察したりしていた。

 

「やっぱり、珍しい?」


「うん、本当に人間って面白い道具の使い方をするよね」


「……そうね」



*****



 そして、私たちは、かなりの時間をあるき続けた。日も傾きかけたようで、更に辺りは暗くなっていった。森の茂みがどんどん過剰になっていく。できれば、夜になる前には決着をつけたい所だけど。


「……あっ……!」


 ザッハが驚きの声を上げる。持っていたダウジング・ロッドを見ると、今までとは動きが違って、小刻みに震え出している。

 

「すごいね……。どうやらこの道が正解のっぽいようだね」


 コウメちゃんは、驚いた様子だった。


「パンナちゃん! 気を付けて!」


「ええ、アンゼリカ……!」


 ここまで一切狂獣に出くわさなかったのだが、この森の奥から急に嫌な気配が漂ってきた。アンゼリカは、槍を構え戦闘態勢に入る。そして注意深く先陣を切って、道の先頭を歩き始める。私たちは、アンゼリカの後ろを警戒しながら続いていく。

 しばらくあるくと、森から開けた場所に出ることができた。奥には、巨大な岩山があり、そのふもとには、大きな洞窟の入り口が幾つもあった。


「どうやら、あれが、狂獣の巣のようね。」


「……ダウジング・ロッド……すごい……!」


 私もこの結果は驚いたが、実際使っていたザッハすらも、魔物の迷宮を抜けることができて驚いていた。私が狂獣の巣を確認しようとすると、アンゼリカが私を制止した。


「どうしたのアンゼリカ?」


「パンナちゃん、動かないで。どうやら、私たち既に狂獣に狙われているっぽいよ!」 


 そして、アンゼリカが半歩足を動かすと、中央の洞窟の暗闇から、何かが恐ろしい速度でアンゼリカ目掛けて飛び出してきた。

 アンゼリカは、構えていた槍を払い、その飛んできた「何か」を弾き飛ばす。

 

「くぅぅぅぅぅ! 重い! パンナちゃん、後ろに下がって!!」


 私は、急いで後ろに下がると、短剣を構えて、中央の洞窟を注視する。すると、その洞窟の影から何か細長い突起物が、徐々に姿を現れ始めた。

 それは、私たちの数倍もある体に巨大な触手を何本も持った、中央に大きな目を持った気味の悪い狂獣の姿だった。いままで色々な狂獣を見てきたが、確かに、こんあ狂獣は見たことがなかった。


 幾つかの触手は、先端が異様に膨れ上がっていて、うねうねと動いていた。


「ねぇ、何か聞こえない?」


「え?」

 

 コウメちゃんの言葉で、私は少し耳を澄ませてみる。すると、小さいながらも何やら呻き声が聞こえてくる。触手の膨らんだ先を注視していると、突然、触手の先端から人間の手が飛び出してきた!


「た、たすけ……!」


 男の声がはっきり聞こえるも、直ぐに触手が激しく動き出し、飛び出した手は再び飲み込まれていってしまう。


「も、もしかして、あの触手で人を食べているんじゃ……。それに、あれ、私たちの前に入っていった冒険者なんじゃ……」


「えぇぇ! あの膨らみに人が入っているの!? ど、どうしようパンナちゃん! これじゃぁ、迂闊に攻撃できないよ!」


 どうやら、まだ完全に捕食されてはいないようだが、早くしないと手遅れになってしまう!何か良い手段がないか考えていると、突然、狂獣が苦しみ出し体や触手から体液を流しだした。更に、触手の先の膨らんだ先からは人間の血と思われる赤い液体が吹き出すと、男の悲鳴が辺りに響いた。


 私は気がつくと、コウメちゃんを制止しよと声をかける。


「コウメちゃん! 待って! あの触手の中に、まだ生きている人がいるの!」


 しかし、コウメちゃんは不思議そうな顔する。


「どうして止めるの? 彼らが死ぬのは、力不足の自業自得なんじゃないかな?」 

 

 コウメちゃんは、躊躇うことなく、私に答えたのだった。

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